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出版マーケティングとは?取り組み方や成功事例を詳しく解説
「出版マーケティング」という言葉を聞いて、みなさんはどんなことを思い浮かべますか?集客やブランディング、採用などの企業の様々な課題の解決を目指して本を出版することを「出版マーケティング」といいます。この記事では、いくつかの事例を交えて、企画から制作、販売、PR施策までを戦略的に行い、企業や経営者の抱える課題の解決方法をご紹介します。
出版マーケティングの詳しいプロモーション施策についての記事はこちら↓
『出版マーケティングの具体的なプロモーション施策』
目的によって出版の形式が違う
書店に行くといつも新しい本が溢れています。毎日新刊が200冊出ていると言われています。今ではリアル書店だけではなく、ネット書店を利用する方も多いでしょう。出版不況と言われていますが書籍の売上数は減っている中、実は販売数は増加傾向にあります。私たちがいつも目にしている書籍には、大きく分けて3つの出版のタイプがあります。
商業出版
一般的なのが「商業出版」です。出版というとこの「商業出版」をイメージすることが多いでしょう。リアル書店に置かれている多くの本は、このタイプです。こちらは出版にかかる費用をすべて出版社が負担します。それらは書籍の売上でまかなうため、売れるための本作りをします。そのため、どのような企画でどの著者に依頼するかなど、基本的には出版社が決めます。そのため出版までのハードルは高く、著者の意向が通りづらいこともあります。また、出版日や部数などは出版社が決めます。
自費出版
それに対し、著者が費用を負担するのが「自費出版」です。最近では電子書籍やネット書店の普及により身近なものとなり、新聞の広告などでも目にするようになりました。自作の小説や詩、自分史などを個人で思うままに作れるのがメリットでしょう。低予算から制作可能ですが、書籍の流通が限られてしまうことが多く、「商業出版」に比べ初版数も少ないです。
企業出版
このふたつの出版のメリットを併せ持つのが「企業出版」です。「自費出版」と同様、費用を企業もしくは個人が負担します。大きな違いは「商業出版」と同じようにプロの力を借りながら本作りをする点でしょう。プロの編集者やライター、デザイナーなどとともに書籍を制作します。また、タイトルや内容をコントロールできる点や、印税がある点などもメリットでしょう。
そして「企業出版」において、単に出版することが目的ではなく、企業のブランディングやマーケティング、集客や売上の向上などを目指し本作りするのが出版マーケティングです。しばしば、ブックマーケティングとも呼ばれます。企画から制作、販売、PR施策までを戦略的に行い、企業や経営者の抱える課題を解決するのです。
出版マーケティングの取り組み方
出版マーケティング(ブックマーケティング)とは、具体的に何をするのでしょうか。 大きく分けるとプランニング、プロダクション、プロモーションの3つのステップがあります。詳細はこのあとご紹介しますが、ただ思うままに本を書くだけでは「自費出版」と変わりません。いまある問題を本の力でどう解決していくのか、プランナー、編集者、ライター、デザイナー、営業が一丸となることで企業の持つコンテンツを最大化することが可能になるのです 。
1. 「本」というメディアのメリットを理解する
では、書籍にするメリットは何でしょうか。以下のように書籍はビジネスにおいて思わぬ効果を発揮します。
メリット① 信頼度の向上
書籍を出版したという事実そのものが企業や個人の信頼を高めます。また、著者という立場はその分野において「プロフェッショナル」「第一人者」だと言えるでしょう。
メリット② 認知度の向上
「商業出版」と同様に全国の大型書店に書籍が並ぶことにより、企業の認知度向上に大きく貢献します。また、書店はビジネスマンや情報感度の高い人が集まる場所です。書店に展開するということは、その情報を求めている読者=潜在顧客へアプローチできるということなのです。
メリット③ PR効果
書籍自体にも広告効果がありますが、他のメディアと連動することで新聞やテレビ、雑誌など各メディアへの広がりも期待できます。出版をきっかけに企業の注目度が高まり、書店のみならずさまざまなメディアへ取り上げられる可能性があるのです。
メリット④ 情報の集約化
企業の歩んできた道のりや創業時の出来事、事業内容など一冊の本にまとめることで情報の整理、集約化に貢献します。また編集者の視点により今まで気づかなかった新たな魅力や発見も期待できます。
メリット⑤ 採用支援や理念の浸透
ミッションやビジョン、経営方針を社員に理解させるのは規模が大きくなるほど難しいことかもしれません。それらをストーリーにすることで理解が深まるだけでなく、自社が出版したことでロイヤリティ向上にもつながります。
メリット⑥ 長期的な活用ができる
テレビや新聞広告、WEBとは違い、書籍は息の長いメディアです。それぞれの特徴を活かしながらPR活動を行います。書籍を出版して数年後に反響が来るというケースもよくあります。
出版マーケティングはあらゆる業種に対応することができます。たとえば、IT系、コンサルティングや士業、不動産、投資会社や健康・美容系、教育系などさまざまです。とはいえ、なかなかご自身ではイメージしづらいかもしれません。実際の事例をご紹介しましょう。
事例① 人材会社のケース
この企業は、創業したばかりの若い会社で、経営者も社員も若年層でした。会社の名の認知度も低く、営業面や採用面においても課題を感じていました。この企業のビジネスや取り組みを一冊の本にしたところ、ネット書店内にて1位を獲得。プロモーション等も合わせて行い、出版前からの業績が500%アップ。毎月の新規契約数も10件以上増加しました。また、経営者の想いをストーリーにまとめたことで採用にも効果を発揮。社員数も出版前に比べて250%アップしました。
事例② 不動産投資会社のケース
新規顧客獲得に課題のあったこの企業は、新聞広告やホームページなどで主催するセミナーの集客を行っていましたが集客数に伸び悩んでいました。また、潜在顧客へのアプローチの方法を模索していました。自社のサービスや事例を新たな切り口で本に落とし込んだところ、発売後の出版記念セミナーは瞬く間に満席。セミナー集客と新規顧客獲得を同時に実現することができました。その後長い期間、書籍からの新規顧客が途絶えることなく続きました。
事例③ 食料品製造会社のケース
従業員数数万人を超えるこの企業は、企業理念の浸透など社員教育に課題がありました。またM&A後ということもあり、会社のベクトルを一致させる手立てを探しており、書籍制作をしました。経営層から創業時の苦労を聞きノンフィクションのストーリーとして仕上げ、社史として年表や歴史などをまとめたところ、離職率の低下に効果を発揮しました。今では、新入社員の教育ツールとしても活用しています。
このように、認知度の向上や業績の向上、集客率の向上や企業理念の浸透など、目的に合わせて書籍を作ることで、経営の課題解決に効果的なツールとなるのです。
2. 出版の目的とゴールを設定する
出版マーケティングをしようと決めた時、次に行うのは課題の整理です。いま抱える課題は何なのかを整理し、出版のゴールを設定することが重要です。最初にそれらを明確にすることでこの後の道筋を立てることができます。ここがぶれてしまうと書籍内容や読者ターゲット、販売戦略まで大きく影響します。書籍を使ってどんな問題を解決したいのか、その先のゴールは何なのか最初に熟考してください。ここで代表的な活用例をご紹介します。
対外的な課題
- 商品やサービスの認知度の向上
- 企業のブランディング力の向上
- 集客や売上の向上
- 採用支援
対内的な課題
- 企業理念や経営方針の浸透
- 優秀な人材の育成
- 離職率の低下
- エンゲージメントの向上
ゴールを設定することで読者ターゲットも明確になります。また、出来上がった書籍をどのように活用するか考えておくと書籍制作がスムーズになるでしょう。
- 書店経由でリードを獲得
- セミナーで配布
- WEB広告と組み合わせ集客用に配布
- 周年のイベントに合わせて配布
など大まかでも構わないので、イメージしてみてください。
3. プランナーと企画を立てる
自社(あなた)の強み、実績や伝えたいことを整理しよう
さて、ここからはいよいよ書籍の企画を考える段階です。一般的な書籍の場合、少なくとも6~8万字程度の文字量が必要です。まずは、プランナーとともにあなたや自社の強みをテーマに書籍を書くことが出来るか、今までの実績や伝えたいことを整理してみましょう。また、出版時期のすり合わせもここで行います。企画内容によりますが、一般的なビジネス書の場合大体企画立案から出版まで、最低6ヶ月くらいはみておきましょう。発売時期の決定とともに、PR活動や出版記念イベントなど発売後のプランニングについても決めていきます。
読者(=ターゲットペルソナ)にどのように伝えるか
次に、読み手=読者ターゲットのほしい情報かどうかも考慮しましょう。同じ内容でも、初心者向けと上級者向けでは企画の切り口が違います。届けたい情報をどうすれば読み手にアピールできるのか熟考してみましょう。また、自分たちでは当たり前だと思っていたことが、案外第三者から見ると面白いものであったりニーズがあったりするものです。独りよがりな企画にならないために企画を立案する際は、第三者の意見も取り入れていくことをおすすめします。
読者(ペルソナ)像をしっかりとイメージしよう
現在のトレンドや類書などを知るために書店にも足を運びましょう。書籍は一過性の広告とは違い息の長いメディアです。話題性だけを狙うような企画に比べ、ロングセラーを狙った書籍のほうが成功の確率が高まることがわかっています。自分の本が書籍のどのジャンルやテーマに置かれるのか把握することは非常に重要です。
また、ターゲットがどの地域にいるのかチェックするのも忘れてはいけません。ビジネス書が売れやすい場所は東京駅や新宿駅などターミナル駅です。けれども、それぞれの書店によって得意なジャンルや売れるテーマが違います。書店によって顧客層も違います。大まかで構わないのでターゲットのペルソナを把握できると、書籍の企画内容のイメージがしやすくなります。
4. 出版社と一緒に本を制作する
出版社とのキックオフミーティング
さてここからは制作に進みます。キックオフミーティングでプロの編集者、ライターと顔合わせをし、出版に向けて全体のスケジュールや書籍内容のイメージを共有します。
もくじ(本の設計図)の決定
キックオフミーティングを踏まえ、もくじの作成に移ります。もくじは書籍の設計図です。もくじを羅針盤としてブックマーケティングのプロジェクトは進行していきます。どうすれば読者に魅力や伝えたいストーリーをうまく伝えることができるのか、あなたの持つコンテンツをもとにさまざまな切り口や可能性を考えます。
取材・ライティング
もくじ構成が決まったら、そこからは取材です。編集者とライターが著者に取材を行います。もくじ構成をもとに取材を進め、1回の取材時間は2時間程度、それを4回実施します。
取材が終わると、ライターによる執筆が始まります。書き進める前に、最初に少し導入部分など取材の一部をライターに書いてもらい、原稿の語り口調やテイストを確認するとよいでしょう。
編集
執筆期間が終わると今度は編集作業です。編集では、本の見せ方や見出しなどをブラッシュアップしていきます。また、分かりづらい言い回しや整合性が取れているかなど原稿をよりわかりやすくなるように仕上げていきます。その作業と同時並行で、書籍のカバー制作も行います。編集された原稿を著者確認しながら、文章に間違いがないかなど校正のチェックを行います。入稿から大体2週間から3週間で書籍は完成します。
5. 書籍を流通・展開する
全国への書店マーケティングとWeb施策
さてここからは、再びプランナーの登場です。全国の主要書店への配本と同時にさまざまな施策を仕掛けていきます。書店と連動してリアルでもマーケティング展開行ってまいります。たとえば、発売と同時に読者ターゲットに合わせた新聞への広告やAmazonでのランキング1位取得作戦など、あなたの書籍に応じた最適なプロモーションを行います。同時にデジタルを使ったプロモーションも行います。書籍専用のLP作成や書籍内容を抜粋してコンテンツマーケティングを作成するなど、書籍と連動したデジタルプロモーションを実施します。そこでは、Webを活用して顧客リストの収集や分析など今後のマーケティング施策へ繋げます。
本のプロモーション施策で確実にターゲットへ届ける
発売に合わせて各主要メディアへのプレスリリースの配信も行い、メディアへの掲載を狙います。そのほか、出版と同時に出版記念イベントやセミナーなど、プランナーがあなたのプランに合わせて計画したプロモーションを進めていきます。出版後、各書店での販売動向や書籍購入者や書店員からのフィードバックをプランナーがまとめ分析します。これらは書籍の完成から大体2ヶ月程度の期間で行われます。
まとめ
書籍を使った出版マーケティングについてご理解いただけたでしょうか。ご紹介したようにただ本を作るだけでは経営課題を解決することはできません。読者ターゲットが知りたくなるようなご自身の斬新なアイディアやサービスを、その背景にあるドラマをストーリーにして伝え、課題に合わせたマーケティングやプロモーション施策を組み合わせ行っていくことが成功へと導くのです。
どんな本ならば自社のビジネスに利益を与えるのか、それを考え抜くことが企画の鍵でしょう。見込み客の獲得が目的ならば、ターゲットのニーズやマーケットに沿った内容に、経営理念の浸透やビジョンの共有が目的ならば創業当時のストーリーや創業者の人となりなどイメージアップに繋がるようまとめ上げます。自社のサービスや商品の認知度を高めたいのであれば、その開発の背景にある苦労や物語を伝えることでファンを増やし、さらには競合他社との差別化を図ることが期待できます。
あなたのビジネスの成長拡大の手段として、ぜひ出版マーケティングを検討してみてはいかがでしょうか?株式会社クロスメディア・マーケティングなら、専属のチームがあなたの抱える課題を解決します。