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売れる本の「タイトルの付け方」とは?考え方や決め方をご紹介

#出版マーケティング
#企業出版

せっかく本を出版するなら、より多くの人に読まれるような本を作りたいですよね。

では、多くの読者に手に取ってもらえるような本にするには、どんなポイントを押さえておけばいいのでしょうか?

さまざまな要素の中でも特に大切なのが「タイトル」です。タイトルは、短い単語や文章で本のコンテンツを要約する大切な役目を担っています。また、読者の興味・好奇心をかき立て、購買行動へ導く役割も同時に持ちます。

今回は、ベテラン編集者が実際に行っている「売れるタイトルの考え方」のポイントをメインにお伝えしていきます。

また、後半では、実際の本を例にしながら、「読者に興味を持たせるタイトルの考え方」のテクニックと書店・書棚でタイトルを目立たせる「タイトルの見せ方」の戦術についてもご紹介していきます。

さいごは2021年のビジネス書ベストセラーもまとめていますので、そちらもタイトル考案のときにお役立てください。

タイトルの考え方とは

「このウェブサイトやブログ記事のコンテンツは、自分にとって必要か、不必要か?」

インターネット上では、ユーザーはその判断を3秒でしているといわれています。これと同様のことが、書店に読者が来店したときに起きています。読者の心を掴むには、読者と本の最初のタッチポイントである「タイトル」がとても重要な役割を果たします。そのため、出版社の編集者は、タイトルを含めた表紙へのインパクトやデザインに、多くの時間を割き、入念なつくり込みをしているのです。

それくらい重要なタイトルですが、読者の興味・関心を惹きつけるタイトルづけは、どのような手順で進めていくのでしょうか?

具体的な手順

①打ち出したいキーワードを書き出す

みなさんが出版したい本の内容や方向性は、どこまで決まっていますか? 本のタイトルは本の中身の代弁や要約にも繋がるので、タイトルと本の内容は必ずリンクしていなければなりません。本の方向性や、読者・世間に打ち出したいテーマが決まったら、それに関するキーワードを書き出します。

(例)
読者ターゲット:マネージャー層のビジネスパーソン
キーワード:リーダー、チームビルディング、成長、変革、
      組織文化、マネジメント、育成

このほかにも、「自分で考えて動く」「チャレンジする」といったマネージャーが抱える部下への願望など、その本の企画・内容を基にキーワードを挙げていきます。このように、キーワードを書き出すことによって、タイトルのアイディアの幅が広がり、より的確なタイトルを見つけるのに役立ちます。

②過去のベストセラーのタイトルを参考に発想する

最近の社会のトレンドや、これまでのベストセラーのタイトルを参考にし、タイトルを考えます。

しかし、売れた本のタイトルに寄せすぎると、たとえ本の中身が良くても、読者には二番煎じに感じられてしまうため、手に取ってくれません。

当たり前ですが、ベストセラータイトルを100%まねるのではなく、発想の参考にしつつも、具体性の部分でオリジナリティを出していくことが重要です。

基本的には、過去10年のベストセラータイトルを追うことが多いですが、もっと以前のベストセラーのタイトルを参考にすることもあります。ファッションのトレンドが時代を巡るように、本のタイトルも過去のベストセラーの考え方が再び活きることはよくあります。

実は、タイトルの発想は本が発端ではないこともしばしばあります。映画やドラマ、漫画などからもタイトルのインスピレーションをもらうこともあります。

③さまざまな型のタイトルをまず書き出し、そこから絞っていく

タイトルを考えるとき、編集者によっては、まず十数個から数十個のタイトル案をとにかく書き出す場合もあります。そこから厳選していき、最終的には、それぞれタイプが違う5つくらいのタイトルまで絞ります。著者の方には、タイトルをある程度絞った段階で、意見をいただきます。

こうして、多方面からタイトルを考えることで、書籍の企画との相性や、読者ターゲットの特性にマッチした、最適なタイトルを見つけ出していきます。

また、クロスメディア・パブリッシングでは、タイプの違うタイトルを案出ししていくとき、過去10年間で売れた本から分析した「11個のタイトルの型」を使うこともあります。

過去10年のベストセラーを分析した「11個のタイトルの型」の記事はこちら↓
『本のタイトルの付け方とは~だれでも実践できる11の型~』

【上級編】売れる本にするたのタイトルの考え方とタイトルの見せ方

ここまでは、本のタイトルの考え方の手順をお話してきましたが、ここからは、売れる本にするためのより細かなタイトルの考え方におけるテクニックと、実際に本にするときのタイトルのデザイン(表紙のデザイン)に関する詳しい戦術を実際の本と絡めて解説していきます。

曖昧なタイトルで読者の興味をひきつける!タイトルの考え方

クロスメディア・パブリッシングのあるベテラン編集者は、わざと読者に「ん?」と思わせるようなタイトルをつけて、読者の目をひきつけ、意図的にページをめくらせる手法でタイトルを考えた本をいくつか作っています。

例えば、書籍『最高の体調』(鈴木祐/クロスメディア・パブリッシング)はタイトルが抽象度が高すぎて、サブタイトルや帯で補助説明が必要です。しかし、その高い抽象度こそが戦略なのです。

これはつまり、心理学の認知的不協和を利用した心理テクニックの要素が組み込まれています。

すべての要素をタイトルに入れると、「タイトル=本の内容」になってしまい、中身を読んだ時のギャップや驚きなどがなくなってしまうので、『最高の体調』には、適度に20%~30%の謎をタイトルに加えて、意図的に「気にならせる」というテクニックがありました。

タイトルデザイン(表紙)から徹底的に他の本との差別化を図り、ベストセラーを目指す

タイトルの文字コンテンツも重要ですが、本を売れる本にするためには、書店で置かれる棚・置き方や、書店に訪れるターゲット層を考慮した戦略的なマーケティング思考も必要になります。

タイトルのテキストカラーやタイトルデザインなどは、単品で見たときの印象と、お店でほかの本と一緒に並んだときの印象が違うことが多々あります。

書店に並んだとき、

「その本が置かれる棚ではどんな色が目立つのか」

「文字の大きさはどのくらいがいいか」

「タイトルを含めた全体の表紙デザインのバランスをどう見せるか」

などにまで配慮する必要があるのです。

弊社から2022年2月に発売された『シン・営業力』は、赤地に白のテキストでタイトルが書かれています。このデザインに決定した意図としては、今働き盛りの世代に人気がある『シン・ゴジラ』と印象を合わせたということもありますが、書店で置かれる場所も想定され、作成されました。

『シン・営業力』が配本されるビジネス書の棚は何色の本が多いかご存じでしょうか?

実は、近年ビジネス書は白地に黒のテキストでタイトルが書かれたものが比較的多いのです。そのため、赤地に白テキストでタイトルがデザインされた本書は、配本時の他ビジネス書との差別化も図りデザインされました。もちろんこれは、赤色が目立つからいいというわけではなく、カラーリングの選択は、その時々の市場によって、変化させる必要があります。

『シン・営業力 』(天野眞也/クロスメディア・パブリッシング)

近年のビジネス書年間ベストセラーとは?

序盤で、タイトルを考える手順として、過去のベストセラーを参考にして、ベースを考えるとありましたが、みなさんは最近のビジネス書ベストセラーをご存じですか?2021年ビジネス書年間ベストセラーをご紹介しますので、タイトル考案の参考にお使いください。

2021年のビジネス書年間ベストセラー(太字がメインタイトル)

1.人は話し方が9割
2.本当の自由を手に入れる お金の大学
3.よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑
4.1%の努力
5.「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本
6. リーダーの仮面 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法
7.1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書
8.  嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
9   今さら聞けないお金の超基本/今さら聞けない投資の超基本
10. 世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド
※書店内部流通データより抜粋

まとめ

タイトルの考え方の手順から、キャッチコピーの考え方、戦略的な抽象度まで、タイトルには、多くの分析データとマーケティング・心理戦略が隠されていました。

売れる本において、読者との最初のタッチポイントであるタイトルはとても重要ですが、たとえ素晴らしいタイトルを生み出しても、それだけで売れる本にすることは不可能です。当たり前ですが、そのタイトルには、世の中に強く求められるほどの内容(企画・コンテンツ)が伴っていなければ、ベストセラーになることは難しいでしょう。