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ブランド・エクイティとは?その意味や構成要素、メリットを解説

# ブランド戦略

マーケティングやブランディングに励むビジネスパーソンは一度は「ブランド・エクイティ」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

飽和社会といわれる現代において、製品の品質や機能的価値のみで商品・サービスの差別化をすることは難しくなってきています。

そのような世の中でブランドの価値を向上させることは企業の競争力アップに繋がります。そのブランド価値を資産と捉えるのが「ブランド・エクイティ」です。

本記事ではブランド・エクイティの意味やその構成要素、メリットなどを詳しくお伝えします。

ブランド・エクイティとは

ブランド・エクイティ(Brand Equity)とは、「ブランドの持つ資産価値」という意味を持っています。

企業はさまざまな資産を持っています。例えば、株式・預金といった金融資産、本社ビルや工場の不動産資産、技術・商標権・ノウハウなどの知的資産、社員、販売ネットワークなども企業資産です。

このような企業資産のうち、「ブランド」も一つの企業資産と捉えたものがブランド・エクイティという概念です。

「ブランド」は周囲の評価や信頼、知名度といったものを含んだ無形のモノです。しかし、商品・サービスの売上や企業の成長といった企業価値に大きな影響を与えています。

この影響を踏まえ、無形資産として評価されるようになったのがブランド・エクイティなのです。

そもそも資産とは、将来の利益を見込んで保有するものですので、ブランド・エクイティにおいて「ブランド」は単に維持すればいいというものではありません。資産価値を向上させるために、ブランド育成や投資といった積極的なマネジメントをしていく必要があります。

このように企業の努力でブランド・エクイティは確立され、さらに向上させることが可能です。しかし、一方でブランド・エクイティはマイナスに転じることもあります。

例えば、そのブランドが顧客の期待に沿わない商品・サービスを展開したり、何か不祥事件を起こしてしまうなど、顧客に不信感を与えてしまうことがあれば、どんなに人気なブランドでも一気にブランド・エクイティは下落してしまうでしょう。

ブランド・エクイティはブランドのもつプラスの面だけでなく、マイナスの部分も含めた総合的な価値なのです。

ブランド・エクイティの構成要素

ブランド・エクイティの構成要素のモデルとして有名なのは、カリフォルニア大学名誉教授が提唱した「アーカーモデル」です。

アーカーモデルにおける構成要素は以下の5つとされています。

ブランド認知

「ブランド認知」とはそのブランドの存在がどれだけ知られているのかを表します。人は商品やサービスを選ぶ時、初めて見るブランドよりも知っているブランドを選ぶ傾向にあります。それは、知っているブランドに対する安心感や信頼感からでしょう。

そのため、世の中で多く認知されている有名なブランドはより高い資産価値があると評価されます。

近年、「ブランド認知」という言葉は単に名前を知っているかどうかだけではなく、そのブランドの文化や歴史、商品・サービスにかける想いなど、より深い部分がどれだけ顧客に理解されているのかという意味で使われることが増えてきています。

ブランド連想

ブランド連想とは、顧客がブランド名を聞いて連想する全てのモノやイメージを指します。

例えば、「マクドナルド」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?Mのロゴ、黄色と赤のカラー、ハンバーガー、ポテト、手軽に食べられる、ハッピーセットでおもちゃがもらえる、学生の頃よく行っていた、「I`m love it」の宣伝文句・・・など、広告や口コミ、自分の体験や思い出などが元になってさまざまなイメージが連想されるかと思います。

そのブランドに関して思い出すもの(連想)が多いほど、よりそのブランドを選ばせる力が強くなります。そのため「ブランド連想数≒ブランド力」と言い換えることができます。

要するに、ブランド連想が多ければそれだけブランド力が高く、逆に連想がされることが少ないブランドは、ブランド力が乏しいと言えるのです。

顧客がそのブランドに対し、ポジティブかつ多くの連想をしてもらえるようブランディングを行うことで、自社のブランド価値、そしてブランド・エクイティ向上に繋がります。

ブランド連想について詳しい記事はこちら↓
ブランド連想とは?企業ブランディングの最重要テーマ

知覚品質

知覚品質とは、顧客からみたブランドの品質への評価を指します。実際の品質や企業側が判断する品質ではなく、あくまで顧客や世の中の人が認識しているブランドの品質イメージです。

この品質には、商品・サービスの機能やスペックなどの機能的要素だけでなく、信頼性や雰囲気といった顧客が主観的に判断するさまざまなものが含まれています。

そのため、どれだけ企業側が「高品質商品です」と謳い、実際に高品質だったとしても、顧客がそう感じていなかったら知覚品質は低いということになるのです。

商品・サービスの品質向上も重要ですが、信憑性や説得力を持ち顧客にポジティブなイメージを伝え知覚品質を高める事も大切なのです。

ブランドロイヤリティ

ブランドロイヤリティとは、そのブランドに対する顧客の忠誠度や愛着のことで、要するに「このブランドを選びたい」という顧客の気持ちのことを指します。

ブランド・エクイティのなかでも非常に重要な要素です。

ブランドロイヤリティが高いほどそのブランドに対して愛着を抱いており、競合他社に似た商品・サービスがあっても簡単に乗り換えるということがなくなります。

結果的に顧客のリピート率は上昇し、企業の成長と安定に繋がるのです。

ブランドロイヤリティについて詳しい記事はこちら↓
ブランドロイヤリティとは?そのメリットとロイヤリティ向上のためになにを行うのか

その他ブランド資産

その他ブランド資産というのは、ブランド以外の無形資産を指します。特許や商標権、著作権、取引先や顧客との関係性、独自技術やノウハウなどが代表的な例です。

商標権や特許権を取得することは、独自の技術や自社が開発した商品・サービス名、シンボルなどを競合他社から守ることに繋がります。このようにブランドを守る力も資産としてみなされます。ブランドの価値を支え利益を生む無形なものも、ブランド・エクイティなのです。

ブランド・エクイティを確立するメリット

ブランド・エクイティを高め、確立すると企業側、顧客側の双方にさまざまなメリットがあります。

顧客側のメリット

  • ブランドの知名度によって安心感を得て購入できる
  • ポジティブなブランドイメージによって、優越感や満足感が得られる

企業側のメリット

  • ブランドを指名して購入してくれる顧客が増加するため、売り上げが伸びる
  • 競合他社との価格競争に巻き込まれなくなる
  • 他社との差別化になる
  • 顧客が継続購入してくれるようになり、リピーターやファンが増える
  • 価値プレミアムが向上する(価格プレミアムとは、商品を購入する際に、他の商品よりも多少値段が高くても購入してしまう差分の価格を指します)

そして、ブランド・エクイティを確立させる最大の利点は、このようなさまざまなメリットが結びつくことで、長期的視点で市場の競争優位性が確保され、結果として大きな利益を生みやすくなることでしょう。

ブランド・エクイティの確立はより安定した経営の実現に大きく貢献するのです。

ブランド・エクイティピラミッドとは

ブランド・エクイティピラミッドとは、ダートマス大学のケラー教授が開発したブランド・エクイティの構築プロセスをピラミッドで表現したものであり、ブランド・エクイティを理解するためのフレームワークとして活用されます。

ブランド・エクイティピラミッドは、顧客が商品・サービスの利用前から定着化するまでの心理的な変化や体験を段階的に表しています。

上記でお伝えしたアーカーモデルよりも顧客視点で作られており、感覚的にわかりやすく、実用性が高いのが特徴です。

以下では、ケラーモデルを構成する4つの要素を見ていきます。

①ブランドの認知(アイデンティフィケーション)

ブランド・エクイティピラミッドの最下層にあたる「ブランドの認知」(アイデンティフィケーション)はアーカーモデルの「ブランド認知」と同義で、ブランドの存在がどれだけ知られているのかというブランドへの認知度を指します。

ブランド・エクイティの土台であり最初のレベルです。この段階では、顧客はまだ商品・サービスをよく知りません。また、知っていても利用前でしょう。

顧客に対してどのような商品・サービスを提供しているのかと同時に、そのブランドの文化や歴史、想いといった深い部分までの認知を広め浸透させていくため、できるだけ多くの人々へ認知を獲得していくことが重要になってきます。

この段階では、自社のターゲット層に効率的かつ効果的なアプローチができるタッチポイントを選定し、わかりやすくブランドの魅力を訴求していくことが大切です。

②ブランドの意味付け(ミーニング)

次の段階はブランドの意味付け(ミーニング)です。ここは顧客が初期利用した際、商品・サービスの理解や評価をする段階です。

顧客は商品・サービスを利用することで、どのような価値が得られるのかを体験しながら理解します。

ここではブランドの「パフォーマンス」「イメージ」の2つの視点から考えます。

「パフォーマンス」は商品・サービスの機能面など顧客にとって実利的な価値があるのかどうか(理性的側面)、そして「イメージ」の視点では、使いやすさや見た目など顧客が商品・サービスを利用した時の印象やイメージ(感情的側面)を指します。

顧客はこの両視点をもとに、引き続き商品・サービスを利用していくかを判断しています。

そのため、企業はこの2つの視点から顧客にどのようなイメージを抱かれているのか、評価されているのか、その評価が企業の意図したものかどうかというのを、知る必要があります。

この段階の顧客に対しては、基本機能を理解しやすくしたり、使いやすい商品・サービスの設計や、初期利用インセンティブを与えるなどポジティブな体験やイメージを与える事が大切です。

③ブランドに対する反応(レスポンス)

ここは、顧客の定期的な利用から商品・サービスのことを評価する段階です。実際にブランドの商品・サービスを利用したときの顧客の反応(レスポンス)をみていきます。

これはアーカーモデルの「知覚品質」に似た概念といわれています。

ここも「理性的評価」「感情評価」という2つの要素から構成されているため、双方の視点からみていきます。

実生活で利用した際の「役に立つ」「便利」といった機能的にポジティブな印象が「理性的評価」であり、「安心感」「好感」「信頼」といった利用した顧客の感情で判断されるのが「感情的評価」です。

この2点によって商品・サービスの良し悪しが顧客によって判断され、長期的に利用していくかが決まってきます。

この段階では、継続的に利用したいと思える仕組み(ポイントの蓄積や継続したことで得られるインセンティブなど)の演出や体験、商品サービス購入後のアフターケアといった施策が必要になってくるでしょう。

④ブランドに対する共感や同調(リレーションシップ)

ブランドに対する共感や同調(リレーションシップ)はアーカーモデルのブランドロイヤリティと同義であり、商品・サービスへの愛着や忠誠心といった顧客と強固な関係性を築いた段階です。

ブランド・エクイティピラミッドの頂点であり、ここに到達した顧客はブランドのファンであると言えます。

ファンになった顧客は、ブランドと顧客間そして顧客同士までもが心理的な絆で結ばれています。また、ファンは自発的に周囲にすすめたり、商品サービスについてポジティブな発信をしてくれるなどブランドのサポートをしてくれる可能性が高いです。

ブランド・エクイティを向上させていくためには、このファンを増やしていくことが重要なのです。

ブランド・エクイティの構築事例

ブランド・エクイティを確立した日本企業として有名なのは「無印良品」です。

商品カテゴリーを絞ったりとニッチな業界の中でナンバー1を目指す企業が多い中、無印良品はあえて絞らず、生活用品から衣類まで幅広い商品を取り扱いながらブランド・エクイティを確立しています。

それを可能にしているのが、「シンプル・ナチュラル」といったコンセプトによるブランドイメージの統一です。

実際に無印良品と聞いてシンプルなデザインの商品が頭に浮かんだ人は多いのではないでしょうか。

徹底したブランドイメージの統一と反映によって、現在では日本のみならず世界各国でも「無印良品といえばシンプル・ナチュラル」というイメージで受け入れられ、ブランド・エクイティの確立に成功したのです。

まとめ

ブランドという目に見えないモノを企業の資産として捉えたものがブランド・エクイティです。資産としてその価値を高めるためにもブランドを育成し、価値を維持・向上していくことは企業自体の価値を左右する大切な要素になります。

ブランド・エクイティを確立出来れば企業の競争力は大きく向上し、安定した経営が実現するのです。

しかし、ブランド・エクイティの確立は一朝一夕でできるほど簡単なものではありません。継続的な施策や戦略が必要になってきます。

まずは、自社のブランドはブランド・エクイティの観点からみるとどのように見えるのか、ブランド・エクイティは確立出来ているのか、改めて考えてみることが大切でしょう。

ブランド・エクイティの重要性についてさらに詳しく知るにはこちら↓
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