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ブランド連想とは?企業ブランディングの最重要テーマ

# ブランド戦略
# 企業ブランディング

ブランドの実体とはそもそも何でしょうか?
それは一人一人の人の頭の中に残っている商品・サービスに関する記憶の集合体です。
そして「商品〇〇について思い浮ぶことを何でも言って下さい」と問われた時、思い浮かぶ記憶のまとまりのことです。この記憶のまとまりをブランド連想と言い、ブランドが発揮する力に大きな影響を与えます。

本記事ではさらに詳しくブランド連想とブランド力の関係性を紐解いていきます。


監修プロフィール

小川 共和

東京大学文学部仏文科卒業後、電通に入社。
本社マーケティング・ソリューション局次長、電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)専務取締役経て小川事務所を設立。

著書に『マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』『マーケティングオートメーションでおもてなし~ITがマーケティングにしてくれること』『戦略から始めるエンゲージメントマーケティング』(クロスメディア・マーケティング)


ブランドとはなにか

マクドナルドと聞いて何を思い浮かべますか?ベンツと聞いて何を思い浮かべますか?それは一人一人によって皆異なりますが、以下のようなものになるでしょう。

この記憶の集合体は、シンボルを中心に連想のネットワークとなっています。これがブランドです。

シンボルはブランドの記憶の目印となっており、さまざまなブランドに関する連想をまとめあげる役割を持っています。

つまり、ブランドシンボルがあることで、記憶のまとまりであるブランドを形成しやすいといえます。また、ブランドシンボルはロゴデザインやマークである場合もあれば、何らかの記憶に残る形であることもあります。

ブランドシンボルについて詳しい記事はこちら↓
『ブランドシンボルとはブランドロゴのこと? ~企業ブランディングは目印(シンボル)が重要~』

ブランド連想とブランド力

ブランド連想とブランド力はどのような関係か考えたとき、先ほどの図のようにブランドシンボルの周りに連想している記憶(連想)が多ければ多いほどブランドの発揮する力(ブランド力)が強くなるのです。
つまり

ブランドの連想の数が多い≒ブランド力が強い

といえます。

連想の内容はさまざまですが、連想の数がブランドの力を生むのです。
そのブランドに関して思い出すものが多いほど、よりそのブランドを選ばせる力が強くなるのです。

ブランド連想とブランド力に関する実験

調査方法

私自身かつて、ブランドの連想とブランド力の関係を調査したことがあります。
まずブランド連想に関しては

「ブランド〇〇と聞いて思い浮かぶことを何でも自由に書いて下さい。文字や絵でも何でも大丈夫です。いくつでも書いてください。」

と質問し、行だけが書いてある白紙に自由に書いてもらいます。そして実際に思い浮かんだ連想の数を数えていきます。

そしてブランド力については「ブランド〇〇についてあなたの気持ちは次のどれですか?」と問い下記の4つの選択肢の中から選んでもらいました。

①「他の商品より価格が高くても買う」
②「他の商品と同じ価格なら買う」
③「他の商品より安ければ買う」
④「他の商品より安くても買わない」

この指標は価格プレミアム(※)と呼ばれるブランドが力を発揮する効果を表す代表的な指標のひとつです。

この二つの調査を組み合わせ、ブランド連想とブランド力の関係を調べました。

※価格プレミアム:顧客がある商品の価格のうち、ブランド価値に対して上乗せされている分の価格(多く払ってもいいと考えている価値の部分)

実験結果

100人に対し上記のブランド連想とブランド力に関する質問をし、7つの商品とサービスカテゴリー(1カテゴリー5ブランド)で調査してみましたが、結果は全て同じでした。

この図のように、連想数が少なければ④「他の商品より安くても買わない」と答えており、連想数が多ければ多いほど、①「他の商品より価格が高くても買う」または②「他の商品と同じ価格なら買う」と答えた人が多くなり、どのブランドにおいてもほぼ例外なく正の相関が描かれました。

こちらのグラフからも、平均連想数が多い企業は「他の商品より価格が高くても買う」と答える人が多いことがみてとれ、ここからも「ブランド連想の数が多い ≒ ブランド力が強い」ということがいえます。

ブランド連想とブランド力に対する企業ブランディングの仮説

上記の調査は商品・サービスカテゴリーで行っており、「企業ブランド」の連想とブランド力の関係の調査は行っておりません。

そのため、これはあくまで私の仮説になりますが、商品・サービスブランドだけでなく「企業ブランド」に関しても同じことがいえるのではないかと私は考えています。

企業名を聞いて思い浮かべる連想の数 ≒ 企業ブランド力

企業ブランド力は前述した①「他の商品より価格が高くても買う」などの価格プレミアムの指標もありますが、「就職したい」「投資したい」といった指標や、「好感が持てる」「一流企業だと思う」「社会に役立つ企業だと思う
「サステイナブルな企業だと思う」「SDGsにちゃんと取り組んでいる企業だと思う」といった指標でも良いと思います。

もっとも企業ブランドの場合は、「悪名高い企業≒否定的連想が多い」ことが予想されるため、否定的な連想はカウントしないなどの工夫が必要だと思います。(※)

ブランド連想の現状からブランド戦略を導き出す

1.企業ブランドの連想調査をする

調査の計画・立案方法をもう少し具体的に知りたい人こちらの資料をDL

2.集計をする

以下のような項目で集計をします。

企業ブランド毎にブランド力の強さ(例、①「他の商品より価格が高くても買う」と答えた人の割合)とブランド連想数の関連を調べ、ブランド連想数とブランド力の関係を検証。

高いブランド力を示している人(①「他の商品より価格が高くても買う」と答えた人)の多くの人が連想している内容を抽出。

意識してる企業(競合他社など)では連想数が多いが、自社では少ない連想を抽出。

自社の重点課題(例:SDGs、体・健康に良いなど自社が注視している評価)に関する連想数を調べる。

3.強化する連想内容の規定する

「連想の数は力となる」という上記1の検証結果に則り、2で行った集計から、自社にとってどのような連想が足りないのか、どのような連想はもうすでにされているのかが明確になるため、自社として今後強化すべき連想内容を規定します。

例えばⅣの場合、自社の注力課題がSDGsだが、それに関する連想がされていなかったら、今後強化すべき連想内容は「SDGsに関する事」となります。

4.連想を刷り込むための施策の考案と実行

3で規定した連想内容を実際にターゲット(ステークホルダー)に連想されるよう刷り込むべく伝えるべきコンテンツと伝える手法(タッチポイント)を策定し、実行します。

5.効果測定

一定期間後(例:実行1年後)に再度企業ブランドの連想調査をして成果を把握します。
これを繰り返し、PDCAを回すことで連想数を増やしていきブランド力の強化ができます。

ブランド連想調査から考えるブランド戦略仮説例

戦略仮説例

調査結果:「価格が多少高くても買う」と答えた人は他の人と比較し商品Qの連想数が3倍以上だった。

施策:「価格が多少高くても買ってもらう人」を増やすため、自社としては販売数が多いとはいえない商品Qの認知・存在感を広告やウェブサイト、SNSで増加させる。

戦略仮説例②

調査結果:「弊社に就職したい」の問いに「是非就職したい」と答えた人の8割、「やや就職したい」と答えた人の5割、「どちらとも言えない」「あまり就職したくない」「全く就職したくない」と答えた1割が創業者の口癖「◇◇◇」を連想していた。

施策:優秀な学生をもっと採用するため創業者〇〇氏の口癖「◇◇◇」を企業のメインメッセージとしてウェブサイトの採用ページは勿論、トップページでも、採用イベント会場でも、また採用広告、企業パンフレットでも大きく訴求する。

戦略仮説例③

調査結果:目標とし、意識している企業が皆〇〇事業の連想が多いのに、自社は少ない。

施策:サステイナブルな企業というレピュテーションをもっと獲得するため今まであまり訴求してこなかった〇〇事業の実像・実績を展示会、プレスリリース、セミナーで強く訴求。
ウェブサイトにも専用コーナーを設け、ブログ記事含むコンテンツマーケティングを強化する。

戦略仮説例④

調査結果:「自社に親しみを感じる」「自社に好感を感じる」と答えた人の9割は〇〇(動物)を連想していたが、企業としての正式シンボルマークの連想は2割以下だった。

施策:企業への親しみや好感度をもっと獲得するため、広告のキャラクターだった〇〇(動物)を企業ブランディングのシンボルとして、社内外全ての制作物で表記する。

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ブランド連想と「思い出の小箱」

以前私がいた電通では「ブランド=思い出の小箱」といっていました。

ブランドとは、目印(シンボル)のついた箱に、沢山の思い出(連想)が詰まっているものだということです。

思い出(連想)が沢山あればあるほどブランドは強いといわれていました。

ところが今、この考え方に若干の変化が出てきたと思います。

時代の変化に伴うブランディングの変化

現在は、何をするにもすぐにスマホで検索できます。商品情報の記憶はマーケティングにとってもはやあまり重要ではなくなってきたともいえます。

「スマホが思い出の小箱化」しているのです。

その分、自らが体験したことの記憶が重要になってきているのです。

企業ブランディングにおいても「商品情報の記憶」から「個人的体験の記憶」へと軸足が移っていると言えるでしょう。

年々注目されるようになったCX(CustomerExperience)がマーケティングの中心に躍り出てきた背景にはこのようなスマホ検索による記憶の必要性の変化があると思います。

「(AIDMAのように)商品情報を提供するマーケティング」から「より良い顧客体験を最重視するマーケティング」へとマーケティング自体が変化しているのです。

まとめ

ブランドの実体はブランドシンボルを中心とした記憶(ブランド連想)の集合体といえます。そしてブランド連想が多ければ多いほどブランド力は高くなるのです。

つまり、ブランド力を高めるにはブランド連想の数を多くする必要があり、まずは自社がどのようなブランド連想がされているのかを調査で検出します。そうしてどのブランド連想を増やすことが自社の戦略課題に合っているかがみえてくるでしょう。

また、スマホの普及に伴いブランディングは「商品情報の記憶」ではなく「個人的体験の記憶」がより重要になってきています。CXは今後欠かせないキーワードになってくるでしょう。