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ブランディングの基礎知識!ブランド構築の手法や様々な種類をご紹介
近年、ビジネスにおいてブランディングという言葉を頻繁に耳にするようになりました。
ブランディングについて正しく理解しているでしょうか?
ブランディング=広告戦略ではありません。
また、ブランディングは一括りにされることが多いですが、対象にするターゲットやブランディングしたいものなどによって様々な種類があります。
ブランディングを本格的に行うにあたり、自社が実施すべきブランディングは何であるのか、その効果や重要性はどのようなものなのか、きちんと見定めて取り組まなければなりません。
本記事では、ブランディングの基礎知識やブランド構築のステップ、そしてブランディングの種類や、実際の施策など詳しく説明していきます。
ブランディングとは?
ブランディング(Branding)とは企業価値を高め、そのブランドのファンを創出することを目標とした施策です。自社ブランドのイメージを構築・形成し、作り上げたブランドの存在意義を定め、それを軸に市場における自社や商品・サービスのポジションを明確化し、広く消費者に認知させていく活動です。
ブランドとは
まず「ブランド(Brand)」とは、元々自分の家畜と他人の家畜を間違えないよう、焼き印を押して(焼き印を押すことを「Burned」といった)区別していたことから由来しており、「銘柄」「商標」などで区別することを「brand(ブランド)」と呼ぶようになりました。
現在においてブランドは、競合他社の商品やサービスなどと区別・差別化され、自社独自の役割や価値があるモノ(企業や商品、サービス、事業など)といえます。
そして、機能・デザインだけでなくロゴや商標、名称、カラー、キャッチフレーズ、パッケージデザインといったもの全てで他社と差別化しそのブランドを形成しています。
ブランディングとは
そして「ブランディング(Branding)」とは上記で示した通り、その「ブランド」を構築・形成していくために行うさまざまな活動を指す言葉です。
つまり、ブランディングを行うことで、自社のブランド存在意義を定め、それを軸に市場における自社や商品・サービスのポジションをより明確にし、広く消費者に認知させていきます。
ブランディグが成功すれば、消費者や顧客、ステークホルダーから
「カメラ買うならこのメーカー」
「この企業の商品なら安心」
「このロゴのレストランは安くておいしい」
という様に顧客や消費者に想起してもらえるようになり、ブランドに対してイメージや価値、信頼などが伝わっている状態を作ることができます。
この時、顧客に想起されるブランドイメージは、抱かれたいイメージをしっかりと明確化していることが重要です。
勝手に顧客に抱かれるイメージではなく、抱いてもらいたいブランドのイメージをブランディングを用いて積極的にアピールし、ブランド力を高めていくのです。
ブランディングについてさらに詳しい記事はこちら↓
『ブランディングとは?正しい意味や使い方をわかりやすく解説!』
ブランディングとマーケティングの違い
ここで一度ブランディングとマーケティングの違いを見ていきましょう。
どちらも昨今のビジネスで多用される言葉ですが、何が違うのか正確に把握している人は少ないのではないでしょうか。
ブランディングについては前述した通り、消費者が思い描くブランドイメージを企業が構築していくための活動であり、自社のファン創出のために企業価値を高めることが目的といえます。
一方、マーケティングとは、ターゲットを絞り、そのニーズに合った価値を持つ商品・サービスを生み出し、それを顧客に届けるために情報発信していくことで利益を得ていくことといえます。つまりマーケティングとは簡単にいうと売るための仕組みを作り、展開・発信していくことなのです。
より簡単に端的にマーケティングとブランディングを表した図でみるとさらにわかりやすく違いをみる事ができます。
マーケティングは左の女性が自分で自分の良いイメージを右の女性に向けて発信していますが、ブランディングの方は左の女性がすでに右の女性の良いイメージ(抱いてほしいイメージ)を抱いています。
つまり、
マーケティング :自分から相手にイメージを積極的に発信しアピールすること
ブランディング :相手に自分が抱いてほしいイメージをを持ってもらう努力
と考えると二つの違いが分かりやすいでしょう。
この二つはお互いが密接に関わり合っているため、マーケティングとブランディングは別物として考えるのではなく、地続きで戦略をたて実行していくことでより効果的に力を発揮できます。
ブランディングとマーケティングの違いについて詳しい記事はこちら↓
『ブランディングとマーケティングの違いとは?』
ブランディングのメリット
販売支援
品質・価格・機能が全く同じ二つの商品を比べたとき、片方は「企業名や商品名を全く知らない製品」でもう一方は「馴染みのある企業名、商品名の製品」だったらどちらを購入するでしょうか?多くの人は後者を選ぶかと思います。
ブランディングを行うことで、「この企業の製品なら安心」「この商品SNSでみたことある」などの安心や好感のイメージを顧客に抱かせることができます。
そのため、ブランディングが成功すれば、顧客が商品を選択する際、購買の意思決定に影響を与え、販売支援につながるのです。
価格競争からの脱却
近年、高品質・低価格は当たり前の世の中になりました。
自社の商品がどれだけいい商品でも、競合他社が似た商品を低価格で販売していたら、自社はさらに低価格で提供しなくては、という考えが当然出てきます。ブランディングができていない状況だと、この価格競争に巻き込まれやすくなります。
しかし、ブランディングを行うことで、他社と差別化され、社会的価値が向上し「ブランド」という付加価値が付くことで、価格を下げなくても顧客に支持されるようになります。
顧客ロイヤリティの向上(ファンの創造)
顧客ロイヤリティとは一度の購買ではなく、長期的に愛着を持ち自社商品を選び続けてくれているかどうかを判断する概念です。
顧客ロイヤリティが高いと、定期的な購買だけでなく、自分でその商品、サービスを周りの人へ勧め宣伝するアンバサダーとして協力してくれる存在になります。(ロイヤルカスタマー)
簡単に言うと、その企業や商品、サービスのファンになってくれるのです。
ブランディングは顧客ロイヤリティを高め、このファン(ロイヤルカスタマー)を創造し増やすことが最終的な目標です。ブランディングが成功し、その商品やサービスが顧客の期待を裏切らないものであるなら、顧客ロイヤリティの向上が狙えるのです。
優秀な人材の確保
ブランディングによってその企業の価値や魅力を世の中に訴求できていれば、顧客に対してだけでなく、優秀な人材も自社に共感・理解し好印象を抱き、応募してくれる可能性が高くなります。
昨今では優秀な人材の確保は難しくなっています。そのため、採用に特化したブランディングも注目されています。
社員のモチベーション向上
ブランディングは外部への働きかけだけでなく自社社員のモチベーションのアップにもつながります。
なぜなら、ブランディングを行うとそのブランドの方向性が明らかになり、それを社員が理解・共感することで、会社全体で同じ方向を向いて進むことができるからです。
ブランディングは、外部への働きかけとしてのブランディング(アウターブランディング)だけでなく、内部への働きかけとしてのインナーブランディングも重要になってくるのです。
ブランディングのステップ
上記でお伝えしたようにブランディングはさまざまなメリットがあるため、ビジネスでは欠かせないものとなっています。
ではブランディングはどのように進めていくのでしょうか。
以下では、宮村岳志著『ブランディングファースト メソッド編』にて紹介されているBranding DRIP Method(ブランディング・ドリップ・メソッド/BDM)を用いてブランディングを進めるステップを解説します。
Branding DRIP Method(以下BDM)とはコーヒーを淹れ提供する過程になぞらえ、
①SETUP(セットアップ)
②DRIP(ドリップ)
③SERVE(サーブ)
の3フェーズからなるメソッドになります。
SETUPフェーズ
BDMになぞらえてコーヒーで例えると、どうやってコーヒーを淹れるのか、どんなコーヒーが飲みたいのかという準備段階のフェーズです。
SETUP(準備)フェーズのステップ
①ブランディングに対する経営者層の理解を得る
②ブランド確立に必要なパーパスの設定(Why)
①ブランディングに対する経営者層の理解を得る
実は、ブランディングの成否を握っているのは経営層など企業のトップの方々なのです。年々、ブランディング=広告戦略だと思っている人は少なくなってきていますが、まだブランディングに対して正しい知識を持っている人は多くありません。
そのため、実践にいきなり入るのではなくまずは土台となるブランディング知識の理解を深めることが先決なのです。
もちろんトップだけでなく、チームメンバーの理解は必要不可欠です。そして最終的には社員全員がブランディングについて深い理解と共感から一丸となりブランディングに取り組むことが理想です。社内へのブランディングの浸透に関しては、のちほど詳しくお話いたします。
②ブランド確立に必要なパーパスの設定(Why)
次に考えるのは「ブランドパーパス(目的)」です。この時重要なのは「What」ではなく「Why」から構成することです。「私たち(自社)は何ができる」ではなく「なぜこのようなビジネスをしているのか」「なぜこのようなブランドにしたいのか」を考えていくのです。
「Why」は人を共感させ、動かす力を持っているのです。
パーパスを設定することで、そのWhyに共感したファンを作ることができます。そうすることで事業規模に関係なく、確実に社会から求められ、持続的に残るブランドを目指すことができます。
そしてこのパーパスを定める際はシンプルに分かりやすく、ありきたりな内容よりも尖った内容である方が、他社との差別化や世間の浸透・共感されやすくなるでしょう。
Whyの重要性については有名なゴールデンサークル理論でわかりやすく説明されています。
詳しくはこちらのパーパスブランディング記事へ(ゴールデンサークル理論)↓
『パーパス・ブランディングとは?意味や成功事例を解説』
DRIPフェーズ
適した豆や水、道具、そして挽き方を調べ、選択し、実際に豆を挽きフィルターを通して抽出するまでの過程の段階です。
DRIP(抽出)フェーズのステップ
③4つの視点から分析と情報収集
④ブランドマップの作成
⑤ブランドアイデンティティを設定する
⑥インナーへの浸透
③4つの視点から分析と情報収集
まずは自社の持ちうる武器を知るために視野を大きく広げ、情報を集めます。武器を輝かせる何かや、ユーザーから求められているもの、競合と異なる魅力など、多様な面からの情報収集が必要です。
そのためには市場・自社・ターゲット・志の4つの視点で考えるといいでしょう。
・市場
これはどこで戦うのか、自社のカテゴリーはどう分けるのかという視点になります。経済的な視点だけでなく、時代の流れやトピック、政治などについても意識しながら、自社がどんな立場で戦い、ブランドを確立すべきなのかを探ります。
・自社
この視点では自社の弱みや強みを可視化していきます。ここでは「ユーザー目線での俯瞰」が重要になってきます。
なぜなら、ユーザーからはほとんどの場合、競合他社との比較でみられるからです。また、自身が強みだと思っていることがユーザー目線だと違ったという事は往々にしてあることであり、そのギャップこそがヒントになることもあるのです。
・ターゲット
ブランドの商品・製品をどんな人に買ってもらいたいかを考えていきます。年齢や性別だけでなく、経済力や趣味嗜好などさらに詳しく踏み込んだターゲット像である「ペルソナ」を設定することが一般的です。
・志
経営者の強い思いや志が根底になければ強いブランドは生まれません。そのこだわりを明確化し、そのブランド「らしさ」を加えるための要素です。
上記4つをぐるぐると何度も回しながら考えていきます。ひとつに凝り固めず何度も回すことが重要です。
どの分野も密接に関わりあっているため、時代によって市場が変わればターゲットも変わり、また、深堀していくうちにターゲットの捉え方が変われば市場も変わってくるからです。
そしてこれらの情報収集や調査を行うには、活用できそうなフレームワークを積極的に使用して分析を行うのがおすすめです。
代表的なものでいえばSWOT分析や3C分析、PEST分析、STP分析などがあります。
フレームワークについてはこちらの記事をご参考ください↓
『STP分析とは?マーケティングの基本を解説!』
④ブランドマップの作成
③で情報を徹底的に広げ、収集したらそこから本当に重要なブランド要素を選択・凝縮し「ブランドマップ」を抽出(ドリップ)していきます。
ブランドマップとはブランドのパーパス・ビジョン・バリュー・スピリットの4つからなるブランドの地図です。
・パーパス:代わることの無いブランドの存在意義
・ビジョン:中長期的にブランドが目指す姿(ブランドコンセプト)
・バリュー:ビジョン達成のために持つべき機能的・情緒的価値
・スピリット:ビジョン達成のために守りたい社員の行動規範となるもの
具体的には、集めた情報を「消費者インサイト」というフィルターを通して必要な要素を抽出することでブランドマップを形成していきます。
消費者インサイトとは、ユーザーも気付いていない行動の陰に隠された本音や動機のことで、潜在ニーズよりもさらに深い消費者の思いです。
この図のようにニーズは氷山に例えられます。表面に見えている顕在ニーズの水面下には潜在ニーズがあり、そのさらに深い部分にはインサイトが隠れているのです。
そもそもニーズとは一体なんでしょう。
ニーズについて詳しい記事はこちら↓
『シーズとニーズとは?2つの違いを徹底解説!』
昨今のモノが飽和している社会において、顕在・潜在ニーズを解決する商品やサービスは既に市場に多く存在するようになってきました。そのため、注目されているのがこの消費者インサイトです。
このインサイトを発見し、それを満たせるブランドにしていくことは差別化の一番の近道になります。自社の集めたさまざまな情報からターゲットのインサイトを解決できるような要素を抽出しブランドマップへ落とし込みます。
そして、ブランドマップに落とし込む際は、このすべてをシンプルでわかりやすい言葉にすることが重要です。
以上を踏まえて、ブランドマップ制作時に意識することは以下の4点と言えます。
・インサイトを捉えてそうなもの
・世の中や他社になく、差別化に繋がりそうなもの
・ワクワクできそうなもの
・言葉の力があると感じるもの
ビジョンやミッションについて詳しい記事はこちら↓
『ビジョン(vision)とは?ミッションとバリューの関係性を解説』
⑤ブランドアイデンティティを設定する
④で定めたブランドマップを軸に、ブランドの旗印となるブランドアイデンティティを確立していきます。
ブランドアイデンティティとは、ブランドマップで明らかになったことから、企業自身が「こうなりたい」「顧客にこう思ってもらいたい」と思い描く理想の自画像です。
現状抱かれているブランドイメージから、どのようなイメージに代わってほしいか、具体的に打ち出します。
ブランドアイデンティティについてさらに詳しい記事はこちら↓
『企業イメージと企業ブランディングは同じ?企業イメージを変える方法や企業アイデンティティーとの関係性について解説!』
『ブランドアイデンティティとは?意味や効果、事例をわかりやすく解説!』
⑥インナーへの浸透
ここでSERVEフェーズの前にインナー(社内)ブランディングの重要性について触れていきます。
本来インナーブランディングはSETUPの段階から同時進行で行い続けることが望ましいです。なぜなら、ブランディングに関わる従業員だけでなく、全社員へ浸透させるには少なくとも1〜2年はかかるからです。
インナーブランディングの浸透には理解を促すだけでなく「共感」が重要です。ブランディングは社内一丸となって行わなければなりません。そうすることで、結果的にブランド力の強化につながります。
SERVEフェーズ
さて、自社独自の美味しいコーヒーができたら顧客やユーザーにどのようにお届けするのか考えるのがこのフェーズです。
SERVE(提供)フェーズのステップ
⑦すべてのタッチポイントをデザインする
⑧ブランドを発信していく施策を考える(アウターブランディグ)
⑨効果を検証する
⑦すべてのタッチポイントをデザインする
タッチポイントとはユーザーやステークホルダーと企業の接点を表しています。
広告やPR、Webサイト、パンフレットだけでなく、パッケージや店舗、接客する従業員、ロゴ、SNS、などすべてのタッチポイントをデザインする必要があります。
このときのデザインとは、見た目を美しくするクリエイティブは勿論ですが、プロダクトやプロモーションの設計からデザイナーと共に考えることで、新しい切り口や見え方が生まれるでしょう。
ブランディングとデザインは切っても切り離せない関係であることは、過去の記事でもご紹介しています。
ブランディングデザインについてはこちらの記事をご覧ください↓
『ブランディングデザインとは?企業ブランディングにデザインが必要な理由について』
また、タッチポイントとしてロゴは重要な役割を持っています。
企業のロゴについてさらに詳しい記事はこちら↓
『企業ロゴ(logo)デザインの重要性を解説!ロゴデザインに込められたストーリーとは?』
⑧ブランドを発信していく施策を考える(アウターブランディグ)
ブランドをどのように世間に訴求していくか施策を考えていきます。昨今ブランディングのプロモーション施策というとCM・広告・Webサイト・パンフレット・イベント・動画・本・SNSなどさまざまな手法があります。
とにかく記憶に残るものをなんでも手当たり次第にやればいい、と思ってしまうかもしれませんが、ここで重要なのは「自社のブランドマップにあった」プロモーションを実施することです。複数のプロモーションを行う場合はブランドに適した手段を考え、それらがバラバラにならないように統一感を持たせる必要があります。
どれだけいいプロモーションができても、ブランドマップの軸からずれてしまっては、逆効果になってしまいます。例えば、広告の上品な雰囲気に惹かれてWebサイトに来たのにそのサイトが派手な色使いでインパクト重視ではユーザーに「何か違う、がっかり」と思われてしまう可能性が高いのです。
ではここで近年注目されているブランディングのプロモーション施策を2つご紹介します。
・SNS
SNSを用いたブランディング施策はSNSブランディングと呼ばれており、情報の拡散力やスピード、そして顧客へのアプローチのしやすさから多くの企業で注目されています。
また、SNSはUGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)を生み出しやすいプラットフォームです。このようなユーザーが自発的に発信する「面白い」「美しい」などの情報は人の心を刺激し、感動の共体験につながり多くのシェア・リツイートを獲得できます。
・企業出版
企業出版という手法をご存じでしょうか?
企業が書籍をだすことでターゲット顧客や求職者をファンとして定着させるブランディング手法です。集客やブランディングといった経営課題を解決し販路拡大も期待できます。
他の媒体と比べて本は信頼性が高い、ディープなコンテンツです。企業が伝えたい事を表面上だけでなく深くまで伝えることができます。また、本を軸とすることで他媒体への展開も可能で、長期的な効果が期待できます。
現在注目されるストーリーブランディングとも相性が良く、新しいブランディング施策として取り組む企業も増えてきています。
企業出版について詳しくはこちら↓
『企業出版とは?一番わかりやすい入門編~メリットや事例、費用まで~』
『企業出版のメリットまとめ7選!』
⑨効果を検証する
どれほど計画を立てても成功するとは限りません。ブランディングのPDCAを回すためにはブランディングの効果検証を行わなければなりません。
しかし、ブランディングは顧客の心理に関わるため、明確に数値化し測ることが難しいものです。売上や利益の数字だけではブランディングの効果は正しく測定できません。
しかし、数字やデータはPDCAを回すうえで重要です。数値として可視化する方法については以下の記事でご覧ください。
ブランディングの効果測定に関して詳しい記事はこちら↓
『企業ブランディングの効果測定方法とは?』
ブランディングの種類
ブランディングの種類は、企業や商品、ターゲットによって異なっており、必ずしも正解があるわけではありません。
今の時代の流れや、自社に足りないものを考え、より多くの人に影響を与えるためにはどのようなブランディングが必要かを考えましょう。
ブランディングの種類を明確にし、それに合ったブランディング戦略を立てることによって、より自社のターゲットとする相手にマッチしたアプローチができます。
ブランディングは、大きく分けて3つに分類できます。
・何を対象にブランディングするのか
・誰が(どんな企業が)ブランディングするのか
・誰をターゲットにブランディングするのか
以下では3つに分類した6種類のブランディングについて説明します。
企業ブランディングと商品ブランディング
「何を対象にブランディングするのか」という分類の場合、「企業ブランディング」と「商品・サービスブランディング」の2つのブランディングが存在します。
企業ブランディング
「企業ブランディング(コーポレート・ブランディング)」とは、企業価値を高め、顧客や株主など、ステークホルダーに共有したい価値やイメージを高め、社会的イメージが向上するための取り組みのことを指します。
顧客に抱いてもらいたい自社へのイメージを積極的にアピールすることで、企業としてのブランド力を戦略的に高めていくことができます。
企業独自の価値やイメージを社会や市場に浸透させていくことは、競合他社への差別化や人材採用、社内統一にも繋がります。そして、企業ブランディングにおける最終目標は顧客ロイヤリティを獲得することとされています。
顧客ロイヤリティが高まることで、企業への愛着からファンが生まれます。ファンとなった顧客は、リピート購入が見込めるうえに、SNSなどで口コミを情報発信し、良い評価を広める手伝いをしてくれます。ひとりのファンから高く評価されることは、多くの新たなファンをつくる可能性を持っているのです。
また、企業ブランディング一つで市場内にいる自社のポジションが決まるため、非常に重要です。
企業ブランディングについて詳しい記事はこちら↓
『企業ブランディングとは?~基礎知識からメリット、成功事例まで~』
『企業ブランディングの目的は販売支援?それだけじゃない!企業ブランディングの目的をご紹介!』
近年企業ブランディングにおいて注目されるパーパスブランディングとは↓
『パーパス・ブランディングとは?意味や成功事例を解説』
商品・サービスブランディング
商品(製品・プロフダクト)・サービスブランディングは、自社商品やサービスのブランドを確立するために行うものであり、どんな商品・サービスを顧客に売るのかを考えるブランディングといえます。
近年、ただ「良いモノ」というだけでは顧客に選ばれなくなってきています。
例えば、どんなに高品質な商品やサービスも、パッケージが他と比べ劣っていたり、優れている点を消費者に認知、理解されていない場合、他の品質のよくない商品と同等のものとして捉えられ、顧客から選ばれなくなります。
商品、サービスの価値や魅力をパッケージデザインや商品名、宣伝方法などをブランドのコンセプトに基づいて設計し、ブランディングを通して、競合商品、サービスとの違いを訴求していく必要があります。
また、商品・サービスブランディングを行うことでその製品やサービスに「付加価値」がつきます。おなじ値段のPCや携帯よりMacやiPhoneが人気である理由もそこに隠されています。Apple製品に対する品質の信頼や、カッコよさ、Apple製品を使う事で得られる優越感などの様々な「付加価値」を感じる事ができるからです。パッケージやデザイン、店内の雰囲気やサービス、商品にまつわるストーリーなど、様々な要素が「付加価値」となりえるのです。
このように「付加価値」を与えることは、多少値段が高くても選ばれるようになり、市場内の価格競争からの脱却が見込めるのです。
BtoCブランディングとBtoBブランディング
「誰がブランディングするか」という分類の場合、「BtoCブランディング」と「BtoBブランディング」の2つのブランディングが存在します。
BtoCとBtoBの違いについて詳しい記事はこちら↓
『BtoCとBtoBの意味とは?顧客と手法の違いをわかりやすく解説』
BtoCブランディング
BtoCブランディングとは、BtoC企業が消費者に対して行うブランディングのことです。
そもそも、BtoCとは、Business to Consumerの略であり、企業(business)が一般消費者(Consumer)に対して行うビジネスモデルのことを指します。
一般的にBtoC企業は、ターゲットである消費者の購買意欲を喚起するため積極的にブランディングを行う必要があるとされています。
BtoC企業にとって商品のブランド力は購買行動に直接つながる要因になります。
ブランディングを行うことで、商品のイメージ向上や競合他社との差別化に繋がり、効率的に業績を伸ばすことにつながります。
BtoBブランディング
BtoBブランディングとはBtoB企業が企業(法人)に対して行うブランディングを指します。
BtoBとは、Business to Businessの略で、企業(business)が企業(business)に対して行うビジネスモデルであり、法人同士での取引を目的とした企業活動を指します。
以前までは、BtoC企業に比べ、BtoB企業が行うブランディングというのは重視されていませんでした。
なぜなら、BtoB企業の取引先はパッケージやデザインなどではなく、合理性に基づいて製品やサービスを選ぶ事が多いため、ブランドイメージは必要とされておらず、また、BtoB企業は購入に至るまでの期間の長さや、価格の高さから、BtoC企業のように「そのブランドの名前を思い出して、衝動買いする」という事は起こらないとされていたからです。
しかし、昨今ではBtoBブランディングは自社製品やサービスの訴求において欠かせないものとして重要性が向上しています。
BtoBブランディングは、企業担当者をはじめとする多くのステークホルダーや社会に向け、「期待感情」を作っていく取り組みになります。
BtoBブランディングによって商品やサービスの魅力や価値の訴求により期待感を創出することは、アポイント率の向上に繋がるのです。
また、上記で述べたように、BtoB企業の見込顧客はBtoC企業に比べて検討期間が長く、商材価格もBtoBの方が高額になります。その際、ブランド力のない企業の商品は、多くの競合他社と比較検討され、価格競争に巻き込まれることになります。
BtoBブランディングによって差別化されることは、価格競争からの脱却につながるのです。
また、BtoBブランディングは差別化だけでなく、口コミや紹介の獲得、採用活動、社内統一にも有効に働くなど他にも多くのメリットがあります。
アウターブランディングとインナーブランディング
「誰にブランディングするか」という分類の場合、「アウターブランディング」と「インナーブランディング」の2つのブランディングが存在します。
アウターブランディング
アウターブランディングとは、消費者や顧客など社外に対して企業やブランドに関するアピールを行う活動を指す言葉です。主なターゲットは顧客やステークホルダー、また、採用においては応募者になります。
普段、様々な場面で目にする広告や、ポスター、店舗のデザインやパッケージといった所に至るまで、顧客とのタッチポイントで抱かれたいイメージの創出を行います。
アウターブランディングは商品やサービスに対して特定のイメージが抱かれるため、企業の収益を大きく左右するポイントでもあります。
アウターブランディングを行うことで、企業やブランドイメージ定着やイメージ向上の他に、競合との差別化や新規顧客やリピーターの確保など様々な効果を得られることで、長期的な収益の向上につながります。
アウターブランディングについて詳しい記事はこちら↓
『アウターブランディングとは?意味やインナーブランディングとの違いについて解説!』
インナーブランディング
インナーブランディングとは、企業が自社の従業員に向けて行うブランディングのことを指します。
対象となるターゲットは経営層、マネジメント層などを含む社員全体で、自社の理念やビジョン、ブランド価値などに対する正しい理解・認識を深め、共感してもらうことで理念やビジョンの浸透を促す事を目的としています。
インナーブランディングを行う事により、従業員が企業のブランドやサービスについてしっかりと理解することは、社員の愛着心の向上につながります。結果として、顧客やステークホルダーに対するブランド価値を高めることにつながるなど、得られる効果は多く、様々な企業で実施されています。
ブランディングの効果は主に企業価値や商品価値を高めるものとされ、下記でご紹介するアウターブランディングが一般的に周知されています。
しかし、昨今においては「ブランドはインナーから生まれる」とされ、インナーブランディングが注目されています。
なぜなら、どれだけ外向けに理想的なブランドイメージを構築できたとしても、インナーである自社の従業員にブランドイメージと違う要素があった場合、そのような部分と接点を持った顧客やステークホルダーは、「実際はブランドイメージと違う」という感想を持ってしまう可能性があります。そのため、インナーへ働きかけるブランディングは重要視されているのです。
インナーブランディングについて詳しい記事はこちら↓
『インナーブランディングとは?意味や手法について解説!』
その他のブランディング施策
この記事では「何を対象にするのか」「誰が(どんな企業が)するのか」「誰をターゲットにするのか」で大きく分けて種類をご紹介しましたが、現在ブランディングの施策は多岐にわたります。
何を使ってブランディングに注力するのか、何のためにブランディングするのかなどによって手法はさまざまです。
たとえば、時代に合わせSNSを活用した「SNSブランディング」や、企業の信念や創業のストーリーを発信する「ストーリーブランディング」、人材獲得のための「採用ブランディング」、などがあります。
さまざまなブランディング施策ご紹介
SNSブランディング
SNSは手軽な検索ツールとして一般的に使用されるようになりました。拡散力が高く情報伝達のスピードが早いため、顧客や消費者への直接的なアプローチが可能であり、ブランディングに積極的に利用されています。
SNS利用者は年々増えており、20代においては9割近くの人が利用しています。SNSはその手軽さと使用率の高さから消費者や顧客とのタッチポイントとなりやすく、効率的に潜在顧客の開拓が可能であり認知拡大に大きく役立ちます。
SNSブランディングについて詳しい記事はこちら↓
『企業ブランディングに欠かせないSNSブランディング方法とは?5大SNSの特徴比較から運用方法まで徹底解説』
ストーリーブランディング
これからのブランディングにおいて、ますます必要になってくるのは顧客の心を動かす「ストーリー」を持つことです。
制作過程や企業理念などストーリーを用いて企業や商品、サービスのブランディングを行う事をストーリーブランディングと言います。
ブランディングで何よりも大切なことは世界観を統一し、方向性を一貫させることです。
ブランドにおける核となるストーリーをつくることで、それを主軸にブランディングを展開していくことができます。
ストーリーブランディングはその企業や商品、サービスの機能的価値ではなく情緒的価値を生み出してくれるため、成功すれば価格競争からの脱却が見込めます。
ストーリーブランディングについて詳しい記事はこちら↓
『心動かす最強のストーリーブランディングを構築するのは3つのレベルのストーリー!』
採用ブランディング
多くの企業で優秀な人材の確保が難しくなっています。
また、せっかく入社しても企業と新入社員とのミスマッチから若者の早期離職が増加し、コストをかけて採用をしても、人材が定着しないことに頭を抱える企業も増えています。
採用ブランディングとは、採用において自社をブランド化し、採用したい人材に最終的に就職先として選んでもらえるように会社の魅力を発信する採用活動のことを指します。採用ブランディングは、結果的に企業全体のブランドイメージの向上にもつながる重要な活動なのです。
採用ブランディングについて詳しい記事はこちら↓
『採用ブランディングとは?人材獲得に有効な企業出版』
今後のブランディングで意識すべき3つのこと
ブランディングは時代の流れと切り離せません。
主にブランディングにおいて意識しなければならないのは以下の3つです。
①本物が求められる時代
②広告が効きにくい時代
③価値観が大きく変わる時代
以下では詳しく説明していきます。
①本物が求められる時代
最近は、安くて高品質の商品やサービスが溢れる世の中になり、大企業はともかく中小企業が「平均点」で勝負するのは困難といえます。そのような時代の市場で通用させていくには「本物」の魅力は必要不可欠です。本物の魅力はそのブランド、そしてコンセプトから生まれます。
②広告が効きにくい
ひと昔前までは、ブランドの宣伝といって思い浮かぶのは広告やCMだったように、あまり有名ではないブランドでも広告で知られて買ってもらえる可能性は十分にありました。しかし、今は多くの人々は目に映る広告の大半をスルーしてしまう傾向にあり、広告の期待値は年々さがっているとされています。
もちろん広告は宣伝として有用な施策です。しかし、広告が効きにくい時代になっているということは意識するべきでしょう。
③価値感が大きく変わりつつある時代
①本物が求められる時代と②広告が効きにくい時代の土台となるのがこの③です。古い価値観の人間が魅力的と感じるものが次世代にも刺さるとは限りません。これからのブランド確立には若い世代の志向や、時代の流れとしてSDGsの目標などを踏まえたブランディングや経営戦略、商品開発が必要となってくるでしょう。
とくにSDGsは世界中で多くの注目を集めており、積極的に取り組む企業も増えてきています。今のうちからSDGsを意識したブランドづくりはこれからの未来に繋がるでしょう。
SDGsブランディングについて詳しい記事はこちら↓
SDGsブランディングとは?企業価値向上への取り組み
参考:『ブランディング・ファースト〈メソッド編〉』(著者宮村岳志/監修者:山田一郎/クロスメディア・パブリッシング)
実際のブランディング事例
数多の競合との差別化でブランディング
「現代のハンバーガースタンド」をコンセプトに掲げ、日本にも進出しているハンバーガーショップであるシェイクシャック(shake shack)。
多くの競合がいるなか、店内の世界観・色使いの統一や、メインプロダクトであるハンバーガーのクオリティで、ファストフード的なブランドとは一線を画した新しいハンバーガーショップとしてブランドの地位を確立しています。グッズ等も展開し、ユーザーとのタッチポイントを増やし、ファンを増やしています。
参考:『ブランディング・ファースト』(著者:宮村岳志/クロスメディア・パブリッシング)
強いこだわりでブランド力アップ
オーガニックにこだわった小売チェーンを展開している、ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)。
人と地球に良質な食品による栄養を提供することをパーパスに掲げています。このようなMVVをかかげる企業はそれほど珍しくないかもしれませんが、ホールフーズはすべての食材に徹底的にオーガニックであること、地産地消であることにこだわっています。また、安くておしゃれなエコバッグを多数展開し、プラスチックごみの削減に貢献しています。
さらに、従業員がブランドのタッチポイントであるという意識も社員に根付いており、インナーブランディングも徹底されています。このような一貫したこだわりは強いブランドを生み出します。
参考:『ブランディング・ファースト』(著者:宮村岳志/クロスメディア・パブリッシング)
書籍出版で業界の有識者としてブランディングに成功
マーケティングオートメーションツール(MA)Hubspotや、顧客管理ツール(CRM)Zohoの導入に加え、それらを利用した営業・マーケティング支援が主な事業内容であるカッティングエッジ。
専門的な分野であるため、Zohoの使い方に特化した内容の書籍を出版することで、その分野のスペシャリストとして地位を確立しました。書籍は信頼性や高い専門性をアピールしたい際、有効に活用できるブランディングツールです。
出版後は、二次利用として書籍の1,2章をダウンロード資料として自社サイトへ掲載するなど、出版マーケティングとしても活用しています。実際に問い合わせ数が格段に増えるなど、ビジネスに大きく貢献しています。
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まとめ
本記事ではブランディングについて基礎知識やブランディングの構築ステップ、さらにはブランディングのさまざまな種類について説明しました。
一括りにブランディングといわれることも多いですが、このように種類やそれに応じた効果や必要性を知っていることで、本当に自社に必要なブランディングを見極めることができます。それぞれ自社の強みに応じて、臨機応変に対応することが大事です。
そしてブランディングに取り組もうと思ったらブランドの構築ステップでご紹介した「Branding DRIP Method」を試してみてください。
また、ブランディングの種類も紹介したものすべてという訳でなく、情報媒体の数や手法の多様化により年々その数を増やしています。
それぞれの商品や企業にとって最適なブランディングを行うことこそが企業を成功に導く第一歩といえます。
本記事が自社のブランディング施策の参考になれば幸いです。