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従業員数100人以下の企業の知名度アップに企業出版が最適な理由~「広く浅い知名度」でなく「狭く深い知名度」を狙う~
知名度アップの施策といえば、マス広告であるテレビCMや駅構内の大きな広告などを思い浮かべるでしょうか。
もちろん、セールスを行う際に自社のことを知ってもらっている場合は話しもスムーズに進んだり、名前を知っている商品と知らない商品の場合、手に取るのは知っている商品である可能性が大きいです。
このように、顧客や消費者に知ってもらえている状態は自社に有利に働く場合があります。ですが、冒頭で紹介したような施策は、かかる費用もかなり大きく、小規模事業者では広告予算を確保していない場合もあるでしょう。今回の記事では、小規模事業者の方へ向けた知名度アップの施策について、考えるべきポイントとともにご紹介します。
【監修プロフィール】
小川事務所代表
小川共和
東京大学文学部仏文科卒業後、電通に入社。
本社マーケティング・ソリューション局次長、電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)専務取締役経て小川事務所を設立。
著書に『マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』 『マーケティングオートメーションでおもてなし~ITがマーケティングにしてくれること』 『戦略から始めるエンゲージメントマーケティング』(クロスメディア・マーケティング)
わずかな広告予算しかない場合は?
テレビCMで商品名を有名な俳優に連呼してもらえば、知名度は上がります。ですがそのために◯十億円の予算を用意できるでしょうか?大抵の企業はこの金額をすぐに用意することは難しいでしょう。
ですが、だからといって知名度アップを諦める必要はありません。セールスをする際に必要十分な知名度を獲得するには他の方法があります。
まず、知名度には3つの種類があります。
3つの知名度について詳しくはこちら↓
『3つの知名度を理解して、最適なマーケティング施策を実施しよう』
この中でも、セールスに必要な知名度は「第一再生知名度」(マインドシェア)です。
注目すべきは「第一再生知名度」(マインドシェア)
例えば、アンケートで「缶コーヒーで知っている商品名を幾つでも答えてください」という問に対して、最初にその商品を答えてもらうことが「第一再生知名度」です。
再認知名度はもちろん、再生知名度よりさらにスコアは低くなりますが、これを獲得できれば購入意向にも響きます。「缶コーヒーと言えば◯◯でしょ」という記憶、すなわち最も強く印象に残っているのですから。
「広く浅い知名度」ではなく「狭く深い知名度」を狙う
広告予算数千万円、または1,000万円に満たない事業者の知名度アップは、◯百万人、◯千万の人への再認知名度ではなく、見込み顧客の第一再生知名度を獲得することを狙いましょう。
その人数が例え◯千人だとしても、第一再生知名度を獲得することは簡単ではありません。その人が最初に思い浮かべる企業・商品にならなければならないからです。
競合企業・類似企業より強く深い印象を残せる施策を実行しなければ、最初に想起される存在になるのは難しいでしょう。
「強く深い印象」を与える施策とは?
到達する人が少数であっても「強く深い印象を残す施策」とはなんでしょうか?これは、広告やキャンペーン、WEBサイトの普通のページでは難しいですが、
・WEBサイトの商品詳細ページ
・開発責任者が語る開発哲学、開発秘話
・熱烈なファンユーザーが熱く語る商品の素晴らしさ
などは、WEBサイト上であっても深く強い印象を残すことができます。また、ホワイトペーパー等のオリジナルのダウンロード資料、自社オリジナルの質の高いセミナーも相手に強く深い印象を残せます。
ですが、最も強く、最も深い印象を与えられる施策は書籍ではないでしょうか?書籍が相手に与えるインパクトはとても強く、広告はもとよりセミナー、展示会、生のプレゼンテーションより強く深い印象を与えます。
例えば、デジタルよりリアルである方が伝わりやすかったり、物がないよりあったほうが伝わりやすかったりします。また、セミナーや展示会などは通年で行っている企業はありますが、その際に書籍を一緒に紹介していると説得力が増します。
また、上記のような施策を行っている企業は多いですが、マーケティングの施策として書籍を出版する企業はほとんどありません。(社史等は別です)人は、書籍を出版した相手に敬意を感じ、深い専門性を認めるのです。
本の出版がマーケティング施策として見なされなかった理由
マーケティング施策の計画を立案する際に、書籍出版を選択肢の一つに考えるマーケターは少ないでしょう。なぜなら、ベストセラーにでもなれば別ですが、書店にすらほとんど並ばない書籍だと宣伝効果も期待できないと思われているからです。
実際に読んでもらえれば、または手にとってもらうことができれば、書籍は深く強い印象を与えますが、実際には何人の人に届けることができるでしょうか。リーチは恐ろしく狭いでしょう。
このような「リーチの狭さ」というのがマーケティング施策の選択肢とならない一番の理由で、「知名度を上げるためには書籍出版」という方法は今まで想起されなかったのです。
「狭く深い知名度」にはリーチは必須ではない
実際のセールスを考えると、自社を知っていて欲しいのは自社の顧客になりそうな潜在顧客です。自社の顧客になりそうもない◯百万人に知ってもらっても、自社の商売には繋がりません。
マーケティングの施策において重要なのは「知っている人の数を増やす」のではなく、「自社の顧客になりそうな人に、専門家としての実力を強く深く印象づけること」なのです。名前を知ってもらうだけではなく、実力を把握してもらうことで、顧客の次の行動を促すことに繋がります。
書籍は自社(自分)が蓄積している知識・専門性を相手に深く理解してもらうことができ、さらにストーリー立てて説明するため、相手の共感を得ることにも長けています。
ネット検索で表示させ、名前を認識してもらう
実際のセールスを考えると、自社のことを知っていて欲しいのは「自社の顧客になりそうな潜在顧客」です。そのような潜在顧客には、どのように知ってもらうのでしょうか?
潜在顧客は自社の課題について模索しており、網羅的に情報を探していることが多いです。そして、情報収集をする際にはネット検索をする場合がほとんどです。つまり、ネット検索で課題を検索しているときに自社の名前が上位表示されることで、自社の名前を知ってもらうチャンスになります。
そして、実際にWEBサイトに訪問された際に他社よりも深い専門性を強く深くアピールできるコンテンツがあることが重要です。これは、検索をした人個人へのアピールをする必要もありますが、検索エンジンにもアピールする必要があります。検索エンジンに認識されないと上位表示に繋がらないからです。また、Googleの検索エンジンは書籍に対する評価が高いため、書籍を出版していることで検索結果の上位に表示されやすく、優位になります。
※ナレッジパネルは、ナレッジグラフに存在する対象(人、場所、組織、物事など)を検索したときに Google に表示される情報ボックスです。あるトピックに関する概要を簡単に確認できるようにするためのものであり、ウェブ上で利用可能なコンテンツについて Google が把握している内容に基づいています。(Google supportより)
本の出版による知名度アップ成果も測定できる
マーケティングである以上、施策の効果は可視化できる必要があります。とくに、「書籍出版により本当に知名度は上がったのか?」がわかる必要があります。この場合、どのような手段で測定することができるでしょうか?
世の中での自社名の認知について調査する方法として、アンケート調査がありますが、これは難しいでしょう。アンケート調査で知名度アップの効果を検出できるのは、テレビ広告や話題の商品発売等、多くの人が知っていそうな施策を打った場合です。これが書籍の場合、全国的にベストセラーにでもならない限り、書籍出版は当てはまりません。
では、この場合の効果測定の方法ですが、Googleの「キーワードプランナー」を使うことをおすすめします。キーワードプランナーで自社名を検索することで、自社名が世の中でどの程度検索されているか、知名度があるのか(再生知名度)の代替指標になります。キーワードプランナーを使うことで、書籍出版をした際にはもちろん、セミナー実施等のアンケート調査では検出されないような小さな動きによる知名度アップについても測定することが可能です。
知名度測定方法について詳しくはこちら↓
『知名度の測定方法完全ガイド!ノウハウから具体的な施策まで』
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