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コーポレートアイデンティティとは?その構成要素とメリットを解説!
「コーポレートアイデンティティ」という言葉はビジネスパーソンなら一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、コーポレートアイデンティティという言葉の正しい意味や目的については、正確に理解していない人も多いでしょう。
コーポレートアイデンティティは、企業を運営していくうえで非常に重要な要素です。
本記事では、コーポレートアイデンティティの意味や目的、構成要素、そしてメリットについて詳しくお伝えいたします。
コーポレートアイデンティ(CI)とは
コーポレートアイデンティティ(CI)とは企業の軸となる「企業戦略」であり、企業が掲げる理念や社会的責任、デザイン、事業内容、企業文化、などに基づいて自らの存在価値を整理し、改めて定めた理念や方針を社内外に共有し、よりよい企業活動を実施していくための計画です。
要するに、企業イメージの構築のために、企業が歩んでいきたい方向性を、ロゴや商品、サービス、プロモーションなどさまざまな顧客とのタッチポイントを通して市場に認知させ、自社の立場や優位性を確立していくための企業武器といえます。
コーポレートアイデンティティを実行するにあたって、ロゴマークやシンボルの変更などをコーポレートアイデンティティと誤解されているケースも少なくありません。
しかし、その本質は、新しい企業価値観・理念の周知や人々との良い関係性の構築が目的であり、新たに定められた理念は明確でわかりやすい言葉に成文化(スローガンやステートメント)され、それに基づき視覚化された新しいロゴマークやシンボルが作られ、さまざまなコミュニケーションに用いられるのです。
企業は組織であり実際に触ることができない存在ですが、その企業が「何者か」というその存在や価値を伝える軸となるのがコーポレートアイデンティティなのです。
コーポレートアイデンティティを定める目的
コーポレートアイデンティティを導入することは、自社のアイデンティティをひとつの旗印のように掲げることになります。世の中へどんな企業であるかという認識度を高め、理念・方針を社内外で共有し、経営活動に明確な方向性をもたせ、企業活動の質を高めるという目的があります。
要するにわかりやすい旗印(コーポレートアイデンティティ)があることで、企業に関わる人全ての目印になるのです。
また、この旗印を背負うことで社員の意識を高める役割もあります。
コーポレートアイデンティティ(CI)の構成要素
コーポレートアイデンティティは「理念=マインド・アイデンティティ(MI)」「行動=ビヘイビア・アイデンティティ(BI)」「視覚=ビジュアル・アイデンティティ(VI)」という3要素で成り立っています。この3要素を統一することで、質の良いコーポレートアイデンティティは出来上がり、認知度向上や競争力やブランド力の向上が可能になります。
マインド・アイデンティティ(MI)
マインド・アイデンティティ(MI)とは、企業の存在意義や理想の在り方をわかりやすく言語化したもので、「企業理念」を指します。これはコーポレートアイデンティティの軸になる部分であり、このMIが「革新的」か「平和的」かでは表現するビジュアルや社員の行動なども大きく変わってくるでしょう。
コーポレートアイデンティティが一貫性を持つのは、このMIがしっかりと設計されていないとなりません。
ビジュアル・アイデンティティ(VI)
ビジュアル・アイデンティティ(VI)とは、視覚的に表現された一貫性のあるデザイン全般をまとめたものを指します。例えば、企業カラー、ロゴ、フォント、商標、HPデザイン、パッケージ、店舗、制服など、これらに統一した世界観を持たせてデザインします。
このとき、この視覚的なデザインはMIを軸に設計する必要があります。「平和的」なMIなのにロゴやカラーが派手な色で刺々しい印象を与えてしまってはMIと矛盾を起こしてしまい、世間に正しく自社の姿が伝わらないでしょう。
ですので、MIを目に見える形で表現するものがVIであり、コーポレートアイデンティティのなかでも最も外部的に伝えやすい要素なのです。
ロゴを一目見るだけで会社名を連想できる効果があり、他社との視覚的な識別にも役立つほか、顧客体験に統一感をもたらすことができるなど、VIの重要性がうかがえるでしょう。
VIについて詳しい記事はこちら↓
ブランディングデザインとは?企業ブランディングにデザインが必要な理由について
ビヘイビア・アイデンティティ(BI)
ビヘイビア・アイデンティティ(BI)とは、社員の行動やコミュニケーションなどについての企業の行動指針または社員の行動規範(クレド)を指します。
要するに、企業、そしてそれに属する社員としての行い、姿勢、顧客とのコミュニケーションの取り方、品質方針などの企業らしい「行動」の方針をMIの実現のために軸に組み立てられたものがBIなのです。
近年では、社員の信条や行動指針としてのクレドを定める企業が増えてきており、重要性が上がっております。
クレドについて詳しい記事はこちら↓
クレドとは?導入のメリットや注意点について詳しく解説
コーポレートアイデンティティをつくるメリット
企業価値の向上
コーポレートアイデンティティをしっかりと設計し、一貫性をもって発信している企業は、その企業が社会にもたらす価値をわかりやすく届けることができます。
ただ商品やサービスだけを販売しているのではなく、それに付随して企業理念(MI)が統一されたVIやBIなどの顧客と企業の接点を通して付加価値として伝えられるのです。
そして、コーポレートアイデンティティの導入は、統一したイメージを顧客やステークホルダーに展開することで、そのコーポレートアイデンティティに共感した穂飛とからの評価が上がり、企業の売り上げ向上や資金調達力の向上、そして企業価値の向上も期待できるのです。
競合他社との差別化
良質なコーポレートアイデンティティは、自社の独自性や市場におけるポジションを明確にします。
競合他社との違いを明確に押し出し、差別化が図れることで、商品もサービスも情報もあふれている飽和社会と呼ばれる昨今の市場でも、一歩抜け出すことができる土台を築き上げてくれるのです。
激しい市場競争を勝ち抜いていくためにも、独自性のある良いコーポレートアイデンティティを世の中に定着させることが重要なのです。
ブランド力強化
インターネットの普及・進化やSNSなどによって顧客と企業のタッチポイントは圧倒的に増加し、企業はあらゆる角度から見られる時代になりました。
例えば、どれだけその店舗や商品が良くても、そこで働く従業員の労働環境が劣悪だったり、不適切な行為が判明したらそのお店の評価は一気に下がってしまいます。
いままではただ一面の見え方が良ければ評価されていたかもしれませんが、それ以外の面が杜撰であると、信用は積み重なっていかないのです。
そこで重要なのは一貫性です。コーポレートアイデンティティによって「理念」「視覚」「行動」を魅力的に統一し、どこから見てもその企業らしさを一貫性を持って世の中に認識してもらうことができます。
コーポレートアイデンティティによる一貫した企業の魅力を継続的に発信し提供していくのは、ブランディング施策の一環です。そして、そのブランディングのコアになるのがコーポレートアイデンティティなのです。
このようなブランディングにより、自社のブランド独自の価値を知ってもらい、中長期的に付加価値を積み上げていきます。結果的に、このブランドだから買いたいと思ってくれるようなファンの創出に繋がり、ブランドの強化、さらにはブランドロイヤリティの向上になるのです。
ブランドロイヤリティについて詳しい記事はこちら↓
ブランドロイヤリティとは?そのメリットとロイヤリティ向上のためになにを行うのか
コーポレートアイデンティティに重要なのはインナーブランディング
コーポレートアイデンティティの構成(MI・VI・BI)についてお伝えしましたが、特にMIやBIに大きく影響するのは、従業員ひとりひとりの思考や行動です。ただ企業が企業理念を掲げ、それに基づいた行動規範を作成していても、ただ存在しているだけでは意味を成しません。企業全体でコーポレートアイデンティティを実現させるには、企業の経営方針や目指す方向性を社員に理解してもらい、実際に行動に移してもらうことが必要です。
このように社内へ向けた働きかけは、インナーブランディングと呼ばれます。
インナーブランディングを行うことは、コーポレートアイデンティティの浸透・確立はもちろんですが、仕事に対する社員のモチベーション向上や離職率の低下などさまざまな効果が得られます。
インナーブランディングの手法は、社内報やポスター、書籍出版、研修、セミナー、社内イベント、従業員向けWebサイトなどさまざまです。自社のスタイルに合う施策で継続的に行っていくのが一番の近道でしょう。
インナーブランディングについて詳しい記事はこちら↓
インナーブランディングとは?意味や手法について解説!
まとめ
時代とともに、市場や業界の規模は大きく変化しています。コーポレートアイデンティティも、時代に合わせて客観的に見直すことで、どの時代でも顧客に選ばれる企業になることができます。
コーポレートアイデンティティはMI、VI、BIの3要素で構成されており、これらひとつでも方向性がずれてしまうと、一貫性がなくなり、まとまりのないコーポレートアイデンティティができてしまいます。そのため、ひとつひとつの要素の完成度、そしてその一貫性が大切になるのです。
そして、コーポレートアイデンティティはただ作って終わりにするのではなく、顧客やステークホルダー、従業員など社内外への浸透のため、さまざまな企業活動に落とし込んでいく必要があります。
そうすることで、自社の信頼は積み重ねられブランドは強化されていくのです。