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企業ブランディングとは?江戸時代の商人が掲げていた「三方よし」から学ぶ企業ブランディング
企業ブランディングに関する研究は欧米で半世紀も前から盛んに行われてきました。
昔から行われていた、ただ商品を売りやすくするという商品ブランディングとは別に、企業ブランディングとは企業と社会、全てのステークホルダーとの関わりを考え直す契機となってきました。
企業ブランディングは欧米からはじまり、近年生まれた最先端の概念であるという認識の人も多いでしょう。
しかし欧米で企業ブランディングという理念が生まれる遥か昔、日本では既に江戸時代からこの考えが提唱され浸透していたのです。 本記事では企業ブランディングとは何か、その起源から紐解いていきます。
企業ブランディング(コーポレートブランディング)とは?日本の企業ブランディングの歴史は近江商人だった!
近江商人の「三方よし」をご存じでしょうか?
近江商人とは、現在の滋賀県である近江国に本宅を置き、他国へ行商し歩いた商人の総称であり、日本三大商人のひとつです。天秤棒1本から財を築き、三都(江戸、大坂、京都)をはじめとする全国各地に進出し、豪商と呼ばれるまでに発展していきました。
「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」で「三方よし」は近江商人の経営哲学のひとつであり、「 売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるということ。」という考え方です。
「売り手」である自社だけが儲かって喜んでもダメ。
「買い手」である顧客にも使われ、喜んでもらえるものでなければダメ。
そして、一番重要なのは、自社と客だけでなく、
「世間」も喜んでくれなければダメなのです。
この三者が喜ぶような商売をしないと、ビジネスは長続きせず、さらに繁栄し続けることは出来ないという事を示しています。 この「三方よし」は住友財閥、伊藤忠商事、高島屋など、日本を代表する企業の社是ともなっています。
企業がサステイナブルであるために
企業存続のために一番大切にしなくてはいけないものとは?
企業という存在は、上手くいっている時もあれば上手くいかない時もあります。
長い目で見たとき、企業は栄枯盛衰を繰り返すものです。
そして企業が長く存続するためには、上手くいっていない時をどう乗り越えるかが勝負所です。
では企業として苦境に陥った時、何が一番大事なのでしょうか?
それは助けてくれる人がいるかどうかということです。
自社の商品に満足し、使い続けてくれている顧客がいることは自社の支えとなり、さらに彼らは自社の応援団として活躍してくれるでしょう。
しかし、それでも苦境から抜け出せない時はどうでしょう?
その時「世間」はあなたの会社の味方となって応援してくれるでしょうか?
全く知らないふりをして苦しんでいる様子を見てるだけですか?それとも、ここぞとばかりに寄ってたかって叩きに来るでしょうか?
後者だった場合、企業の存続は難しいと言えるでしょう。
企業が苦境に陥った時に「世間」から応援される関係を築く必要があるのです。
「世間」から求められる企業になるために普段からやるべきこと
企業が実際に苦境に陥ると、その時点で出来ることには限りがあります。
常日頃から危機感を持ち企業活動を行っていないと、いざという時に何も出来ません。
では、企業が常日頃から意識すべきことは一体なんでしょうか?
それは「世間によし」と言ってもらえる行動を企業としてとることです。
自社の儲けだけを追うのではなく、お客様に喜んでもらえることは勿論、社会や時代がやって欲しいと求めていることを進んでやることです。
社会や時代が「企業も地球環境にもっと配慮して欲しい」と思っているのであれば、それを目先の利益を多少犠牲にしてでもやる必要があります。
この時、社会や時代の求めている事と自社のビジネスの成功が合致していれば、更に良いでしょう。
昨今の社会問題として取り上げられる議題である、「男女平等の実現」や「地球から貧困をなくす」といった社会・時代の要望にしっかり向き合い、「自社に出来ることは何か?」を問い、行動することが重要なのです。
「三方よし」を現代マーケティング用語で言い換えると
売り手よし | 売上・収益増加、ES(従業員満足) 離職率低下、インナープロモーションなど |
買い手よし | CS(Customer Satisfaction/顧客満足) NPS(ネットプロモータースコア) 顧客ロイヤリティー向上など |
世間よし | これは時代によって注目されているテーマは変化する。 現在:SDGs、ESG(環境・社会・ガバナンス)、 サステイナビリティーなど 以前:CSR(corporate social responsibility /企業の社会的責任)、企業市民など |
企業ブランディングでは「世間よし」を徹底することが必須
企業ブランディングを行うのであれば、上記は全て企業ブランディングのテーマとなり得ます。
一つの商品のための商品ブランディングであれば、「売り手よし」と「買い手よし」の二者でほぼ解決することができます。しかし、企業ブランディングとなると「世間よし」が重要課題となるのです。
もちろん企業ブランディングの目的はひとつではありません。
しかし、最終的なゴールはやはり「企業の長期存続・長期繁栄」にあります。
企業ブランディングの目的について詳しい記事はこちら↓
『企業ブランディングの目的は販売支援?それだけじゃない!企業ブランディングの目的をご紹介! 』
そのためには自社の利益追求や収益最大化だけでなく、「世の中のためになる企業」「社会に必要な企業」という世間からのレピュテーションの獲得が必要不可欠なのです。
まとめ
ご紹介したように、「三方よし」は企業ブランディングの根源であり、それを江戸時代の近江商人は既に分かっていたのです。
実際に、現代でも「三方よし」を企業ブランディングの軸となる企業理念として掲げている企業は存在します。 企業活動を行い、長期的な繁栄を目指していくならば、「買い手」「売り手」の満足だけでなく、「世間」にも認められるような企業を目指すことが大切なのです。