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ブランドパーソナリティーとは?企業ブランディングに欠かせない有効な一手!

# ブランディング手法
# ブランディング施策

ブランドパーソナリティーという言葉をご存じでしょうか?

パーソナリティーという言葉は、人格・個性・性格という意味で使用されるため、人に対して使うことがほとんどです。

ブランドとしての人格・個性というのは一体どういう意味なのでしょうか?

本記事では、企業ブランディングにおいて重要なブランドパーソナリティーを中心に、ブランドパーソナリティーの決め方について詳しくお話いたします。

 

【監修プロフィール

東京大学文学部仏文科卒業後、電通に入社。
本社マーケティング・ソリューション局次長、電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)専務取締役経て小川事務所を設立。

著書に『マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』『マーケティングオートメーションでおもてなし~ITがマーケティングにしてくれること』『戦略から始めるエンゲージメントマーケティング』(クロスメディア・マーケティング)

企業ブランディング(コーポレートブランディング)の重要要素である企業のブランドパーソナリティー

「さすがに〇〇君らしい発言だな。尊敬するな」
「〇〇さんのキャラからすると、きっとこういう行動をしてくれるだろう。期待しちゃう」
「さっきの〇〇さんの行動、らしくないなあ。どうしちゃったんだろう」
「突然キャラにない話し方をされると、どう返していいのか分からなくなるな」

こんな会話をしたことがある人も多いのではないでしょうか?

「らしさ」や「キャラ」といったものは、いわばその人の性格や人柄などの個性のひとつといったものですが、これは企業にも当てはまります。

企業は自社に対して良い印象、好意的態度を相手(顧客やステークホルダー)に抱いてほしいと望みます。その方が長く安定的に成長・繁栄出来るからです。
そのために行う一連の施策が、企業ブランディングです。

企業の「らしさ」「キャラ」、すなわち企業の性格・人柄を規定したものがブランドパーソナリティーというもので、企業ブランディングをする際の重要な規定事項になります。

企業がブランドパーソナリティーを決めるメリットとは?

結論からいえば、企業のブランドパーソナリティーを決め、それにのっとった企業活動をした方が、顧客やステークホルダーから自社に対しての理解を得やすくなります。そのため、自社に対して好意的感情・好意的態度を獲得しやすくなります。

なぜなら、自社に関する情報や事実をバラバラに発信しても、人はなかなか記憶してくれないからです。

もともと、記憶しなければならない理由もありませんし、そもそも企業が顧客や世間に「自分を知って欲しい」という思いとは裏腹に、顧客や世間は企業のことを知りたいとは思っていないでしょう。

企業と顧客や世間は、ある意味片思いの構造なのです。

しかし、顧客や世間が個々の情報・事実を記憶してくれなくても、常日頃、企業に対して同じような「らしさ」や「キャラ」を感じていれば「あの企業は〇〇って感じがするよね」という印象を残すことができます。

また人は好きとか嫌いといった好悪の感情を、一番感情移入できる対象は人です。

モノに対しては「便利だ」「性能が良い」「使える」といった評価はしますが、「好き」という感情は抱きづらいのです。

そのため、企業も「自身の人柄・キャラを意識して行動する」「自社を抽象的な存在ではなくひとつの人格を持った存在と自覚し・行動する」方が顧客や世間から、好意的感情・態度を獲得しやすいのです。

企業のブランドパーソナリティーの決め方①

自社のブランドパーソナリティーを決めるには、まず自身の現実を知ることです。

「自社は世間からどんなパーソナリティーの存在と感じられているのか?」

そして「自社のブランドパーソナリティーを知る」ためには、自社(企業)を人に例えるとどんな人なのか、人に対して感じる形容詞で表現します。

(知的な人)
(真面目な人)
(感情的な人)

たとえば、「誠実な人」「頼りがいのある人」「情熱的な人」「慎重な人」「信念のある人」「愉快な人」「とにかく真面目な人」「知的な人」「アクティブな人」「洗練された人」「パワフルな人」など。

あるいは逆に、「堅苦しい人」「不真面目な人」「独りよがりな人」「弱弱しい人」「粗野な人」「優柔不断な人」「いい加減な人」「どんくさい人」「内気な人」「感情的な人」「愚鈍な人」など。

これは必ずしもひとつの形容詞に絞る必要はありません。

「誠実でしかも頼りがいのある人」「知的でしかも愉快な人」「内気だけど情熱的な人」

「ワイルドだけど洗練された人」「独りよがりだけどユニークな人」「いい加減だけど愉快な人」など。

実際にアンケート調査をしてみるのもいいでしょう。より客観的に自社のキャラや人柄が浮き彫りになります。

アンケートをとる場合、対象者を選定し、選択肢として上記のようなものを提示し、〇をつけてもらいます。肯定的なものだけでなく、否定的なものも選択肢に入れる方が良いでしょう。

このようなブランドイメージは、店員や社員の印象から感じられることもあれば、商品やサービスのイメージだったり、社長の露出が多ければ社長自身のイメージだったりと、企業と世間のタッチポイントによってさまざまです。

どのようなタッチポイントでも同じ印象を抱いてもらう為には、明確化したブランドパーソナリティーを定める必要があります。

企業のブランドパーソナリティーの決め方②

(アクティブな人)
(親切な人)
(愉快な人)

「自社(企業)を人に例えるとどんな人ですか?人に対して感じる形容詞で答えて下さい」

と顧客や世間に対して聞いた結果、

「信念があるけど独りよがりな人」

と思われてしまっているとします。

これはあくまで現状の姿です。

これで良しとするなら、現状をそのまま突き進み、より多くの人に、このブランドパーソナリティーを更に強く感じてもらいましょう。

しかし、「いや、こう思われるのは納得できない、不本意だ」と思うのならば、現状をこう変えたいという気持ちを打ち出すべきです。

たとえば、「自分というものをしっかり持って信念を持って邁進する人」と思われたいなど。

そのためには「独りよがり」な部分を低減させる必要があります。

自分の考えや行動を相手にちゃんと理解してもらう努力をしなければなりません。相手の目線に立って、相手が受け入れやすく、少なくとも理解出来るように自分の考えや行動をわかりやすく、かつ辛抱強く知ってもらう施策が必要になります。

企業のブランドパーソナリティーを感じてもらうには

「誠実で頼りがいのある人」「知的で愉快な人」など、企業の目標とすべきパーソナリティーを会社で議論の結果、決めた次はその実践に取り組みます。

社員が自身の仕事でそのパーソナリティーを感じさせる努力をしなければなりません

「性能が良い商品を開発・販売しただけではダメ。客の立場に立ってちゃんと使いこなせるようになるまで、カスタマーサービスやカスタマーサクセスで誠意を持って最後まで対応し続けよう。人件費がかかり収益率が下がるが、『誠実で頼りがいのある人』と思われたいなら、やり通さなければ」

「頭の良さをひけらかすだけだと、『知的』ではあっても『愉快な人』とは思われない。先進的な商品を開発するだけでなく、商品にもサービス自体にも、カタログや使用説明書にも、また広告やウェブサイトにも、営業マンの会話や提案書でも、相手を楽しませることを常に心がけよう。」

(誠実で頼りがいのある人)

社員皆が顧客やステークホルダーとの接点で、このパーソナリティーを感じてもらえるようになるには、きちんと明確にしたブランドパーソナリティーを成文化することが重要です。
小難しいことを長々と語るのではなく、 「誠実で頼りがいのある人」「知的で愉快な人」のように、社員皆がすぐ暗記し、会議でも口づさめるような簡単な言葉にするといいでしょう。

日本企業でブランドパーソナリティーは上手くいってる?

率直に言えば、上手くいっている企業は少ないでしょう。
実際、企業にパーソナリティーを感じている人は少ないのではないでしょうか?

私自身、以前業務でとある企業のブランドパーソナリティープロジェクトを担当したことがあります。

その会社は当時、顔となるテレビ広告を2年おきに広告代理店を変えており、全く継続性のない広告を打ちだし、各事業部や支店が、商品ごとにバラバラな販促キャンペーンを行っていました。

さまざまな広告代理店やPR会社から持ち込まれた企画にも場当たり的に採用し、施策を行っていました。広報にも一貫性がなく、ある問題で社会的に非難された時、経営層や広報の対応も場当たり的でさらなる不評を買ってしまいました。

これではまずいということで、本社広報部(広告部も兼ねる)主管でブランドパーソナリティーの本格的な取り組みがスタートしたのです。

広報部長など、広報部の面々と何度にもわたる打ち合わせの結果、中学生でもわかるような、「弊社は〇〇でしかも〇〇のような人として振舞う」という明快な規定を決め、顧客やステークホルダーとのさまざまなコミュニケーション活動で実践しようとしました。

広報部主管であったため広報・広告活動はそれなりに成果を出せたのですが、支店・営業所はこのプロジェクトに興味がなく無視、本社営業部門も広報部に対する信頼感の不足から中途半端な行動しか行われませんでした。

そして広報部長が人事異動で交代した瞬間、プロジェクト自体が消滅。元の木阿弥となりました。

企業にパーソナリティーを感じてもらうには社員の一部だけではなく、各部署が意図をしっかり理解し、いろいろな施策で何年も継続的に一貫して行う必要がありますが、結果的に2年も続きませんでした。 企業のブランドパーソナリティーに限らず、ブランド戦略の実践にはブランドというものに対する、企業のトップ層からの深い理解と全社的実行への強い覚悟が必要ですが、一体日本の経営者にこの視点を持った人はどれくらいいるのでしょうか?

まとめ

ブランドパーソナリティーについてご理解いただけたでしょうか?

企業の人格・性格を表すブランドパーソナリティーを定めると、世間からの理解を得やすくなり、自社に対して好意的感情を獲得しやすくなります。

ブランドパーソナリティを決める時は、アンケートをとるなどして現状の印象を整理し、そこから、どういうパーソナリティーを抱いてほしいかを定め簡単な言葉に成文化し、それに向けて全社的に活動していかなければなりません。

何の指標もなく、顧客との様々なタッチポイントでバラバラな印象を与えてしまうと企業への不信感に繋がりかねません。ブランドパーソナリティーは企業ブランディングにおいて非常に重要なのです。