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広報部員にとってのブランディング業務とは何か?

#ブランディング
#広報

広報部に配属された皆さん、新しい環境で期待と不安が入り混じっていることと思います。これから様々な業務に携わる中で、「ブランディング」という言葉を頻繁に耳にすることになるでしょう。

この記事では、広報部が担うブランディングの本質、その目的、そして実践する上での心構えについて詳しく解説します。皆さんがこれから直面する課題や、ブランディング活動の重要性について理解を深めていきましょう。

マーケティング部門のブランディング、広報部のブランディング

まず、ブランドマネージャーやマーケティング部が行うブランディングについて考えてみましょう。

ブランドマネージャーやマーケティング部が中心となって行うブランディングは、主に「商品」を対象としています。

彼らは、自社商品の魅力を最大限に引き出し、ターゲットとする顧客に「この商品が欲しい!」と思わせる、いわば「恋に落とす」ような活動をしています。それも一時的に「この商品が欲しい」という気持ちを高めるだけでなく、何年間もそういう気持ちを抱き続けてもらうよう長期的視野に立って一貫したメッセージ、一貫した世界観を伝え続けます。

その結果、他社が安売りを仕掛けてきても揺らがない、多少価格が高くてもずーっと買い続けたいと思ってもらえる商品に育てていきます。それは広告やパッケージデザイン、販促物だけでなく、商品開発自体も一貫したポリシーに則って継続的に実行し続けます。

それに対して広報部が担うブランディングは、商品ではなく「会社全体」のイメージを構築することに重点を置いています。

言い換えると、広報部が行うブランディングとは、「自社を世の中にどういった会社として認識してもらいたいか」をという目標イメージを明確化し、そのイメージを実現するための活動と言えるでしょう。

ざっくり言えば世の中・社会から信頼され、愛される企業と思ってもらえるように一貫性・継続性をもって情報発信を続けることですが、目的と対象者によってやや異なりますので、具体的にお話しましょう。

広報ブランディングの目的と対象者:社会からの信頼獲得と人材・資金獲得

では、広報部が行うブランディング活動の具体的な目的と、その対象者は誰なのでしょうか。

広報部がブランディング活動を通して目指す目的は、主に以下の5つに集約されます。

良い評判(レピュテーション)の獲得

社会全体から信頼を得て、愛され、尊敬される企業となることを目指します。これは企業活動の基盤となる重要な要素です。

優秀な人材の獲得

就職活動中の学生や転職を考えている社会人にとって、魅力的な企業として認知されることで、優秀な人材の獲得を目指します。場合によっては人事部が主導することもあります。

安定的な資金の獲得

投資家に対して、将来性のある魅力的な企業として認知されることで、必要な資金を調達し、事業を安定的に継続することを目指します。状況によっては財務部が中心となって取り組むこともあります。

地域住民の好意獲得

会社として仕事を続けるにはオフィスビルであれ工場であれ研究所であれ、その近隣に住む人達と良好な関係を維持しなければなりません。社員が気持ちよく仕事するために、常日頃から地域の人達と交流し親しんでもらうことも大切です。

社員の士気・意識改革獲得

対象は社外の人ばかりではありません。自社社員も対象なのです。困難な環境下でも社員一丸となって前向きに取り組む機運を盛り立てること、今までと違う方向に社として向かわなければならない時に、社員の意識を変えてもらうことも広報部の仕事になることが多いのです。

このように、広報部のブランディング活動は、会社全体の未来を左右する重要な役割を担っていると言えるでしょう。

ブランディング業務の心構え:「自社はこう思われたい」を一貫性・継続性をもっての実行

広報部が担う業務にブランディングという特別な業務がある訳ではありません。

プレスリリースの作成、SNSへの投稿、コーポレートサイトの記事作成、社内報の作成、取材対応、そして不測の事態への対応…といった業務を行うにおいて、常に「ブランディングを意識して行う」ことが、広報部が行うブランディング業務です。

「ブランディングを意識する」とは、会社で定められている「目標となる自社イメージ(理想の自画像)」すなわち「自社は周りからどのような企業だと思われたいか」ということを腹の底から理解し、この「目標となる自社イメージ」を意識して全ての施策を立案・実行することです。

自身がこれから実施する施策や制作物の表現は「自社は相手からこのような企業だと思われたい」という思いに沿うものか否かを常に意識して仕事することです。それを「継続性」と「一貫性」をもって実行し続けることが大切です。

ブランディング業務の窮屈さ、煩わしさ

決められている「目標となる自社イメージ」に向けて全ての業務を忠実に実行するのは、実際にやってみるとかなり窮屈な思いをすることになると思います。

自由に新しい企画を立案したり、斬新なアイデアを発信したりしたくなることもあるでしょう。しかし、それがどんなに素晴らしい企画であっても、「目標となる自社イメージ」に合致していないと全てNGとなります。

何度新しい企画を上司に提案しても「弊社ブランディングにマッチしない。不採用!」となり、落ち込むことも多くなるでしょう。

「一貫性・継続性をもって業務せよ」と言葉で言うのはいかにももっともらしいのですが、いざ実践するとなると、実に難しいものです。

この思いは実際に経験したことのある人にしか分からないかもしれませんが、無理やり同じ制服を着させられ、同じような立ち居振る舞いを続けるようなものなのです。

しかしこの窮屈さこそが、ブランディングに力を生むのです。

頑ななまでに目標となる自社イメージを追求することこそが、世の中に一つの明確な自社イメージを形成する力となるのです。

窮屈な思いを、2年3年、10年20年とやり続けて、初めて世の中から見ると一つの企業イメージが浮かびあがってくるものなのです。

「イメージ作り」と人は簡単に言いますが、それは明確な目標イメージとそれを実践するストイックなまでの一貫性・継続性によってようやく成功するのです。

逆に言えば、毎年新たな施策を立案するたびにゴールとする自社イメージが変わったり、宣伝部長や広報部長、あるいは社長が変わるたびにゴールとする自社イメージが変わるような会社は、いつまでたっても自社が望むような企業イメージを作れず、ブランディングは上手くいきません。

ブランドとは憲法のようなものです。総理大臣は勝手に憲法を変えることが出来ませんし、アメリカの大統領もアメリカの憲法を変えることは出来ません。よく考え、一度「自社はこんな会社だと相手に思われたい」を決めたら、少なくとも5年間はひたむきにそれを意識してやり続けることです。

目指す理想の自画像である「こんな企業だと思われたい」を常に念頭に世の中に情報発信し続けること、このことを広報部の方々は特に肝に銘じる必要があります。

情報受信の重要性:世の中の反応を捉え、的確な情報発信につなげる

広報部の業務は、ただ情報を発信すれば良いというものではありません。

情報発信と同様に、あるいはそれ以上に重要なのが「情報受信」です。これはブランディング活動においても非常に重要な要素です。

社会全体が自社についてどのように語っているのか、どのようなイメージを抱いているのか、常に注意深く耳を傾ける必要があります。インターネット上の口コミサイトやSNS、ニュース記事などを活用し、自社がどのように見られているのか客観的な視点で把握することが重要です。

また、メディアの記者との対話の中で自社が相手にどう映っているのか、自社が行おうとする施策は相手にどう映るのかを理解する姿勢も広報部員にとっては依然として重要な仕事です。

この「情報受信」を怠ってしまうと、情報発信が独りよがりなものになり、効果が半減してしまう可能性があります。せっかく時間と労力をかけて情報発信を行っても、社会のニーズと乖離していたり、的外れな内容になってしまったりするリスクがあるのです。

ブランディングを意識して業務を行う際、施策の企画立案・実行時に「自社は相手からこのような企業だと思われたい」という目標イメージに合致しているか否かが重要かは、前述のとおりですが、実行後もこの視点で上手く進んでいるか否かを意識する必要があります。

自分が行った施策がネットでどう受け止められているか、記者発表した内容に対してメディアの記事がどのように書かれているかと、狙いどおりに目標の自社イメージに向かっているのかチェックし続けなければならないのです。

そして、狙いと異なる受け止め方をされていると思えば、軌道修正、すなわち次なる打ち手で狙いどおりの受け止め方がされるように再び情報発信する必要があります。ブランディングを意識した施策のPDCAと言っても良いでしょう。

幸い、今日はソーシャルリスニングツールが充実してきており、ネット上で自社や自社の施策がどう受け止められているかが上手く「見える化」されるので、これらのツールの活用も今後の広報部では不可欠でしょう。

まとめ:広報部にとってのブランディングとは – 会社の未来を築く重要な役割

広報部が担うブランディングとは、「自社を世の中にどういった会社として認識してもらいたいか」を実現するための活動です。商品ではなく会社全体を対象とし、社会全体から好意的なイメージを獲得することを目指します。

そのためには、

明確に定義された理想の自画像に基づき、一貫したメッセージを発信し続けること

社会全体の反応に注意深く耳を傾け、情報発信の内容を柔軟に改善していくこと

この2つのポイントが非常に重要です。

束縛感は覚悟せざるを得ません。それがブランディングというものの本質的な行動思想なのです。

広報部のブランディング活動は、会社全体の未来を左右する極めて重要な役割を担っています。常に新しい知識を吸収し、積極的に挑戦し続けることで、会社と共に成長し、社会に貢献していくことができるでしょう。

皆さんの活躍に期待しています!

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