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世の中に向けたメッセージを「書籍」にこめる(労働時間MBOコンサルタント協会)
萩原 京二(はぎわら きょうじ)様
2018年9月出版「なぜ残業を減らしたのに会社が儲かるのか?」を出版された労働時間MBOコンサルタント協会代表、株式会社全就連 代表取締役 社会保険労務士、社労士ビジネスコンサルタントの萩原京二様。
常に時代を先読みする予測力と、緻密なビジネスプロセス設計による独自の経営自動化ノウハウを持つ。また、社労士業界における次世代リーダー育成のために、受験から独立開業までの指導・アドバイスも積極的に行い、全国に350人超の社労士ネットワークを持っている。
ブランディングのために取り組んだ共同出版
―はじめにどのような事業を行っているのか教えてください。
萩原:我々は労働時間MBOコンサルタント協会といって、全国の社会保険労務士が約20人くらい集まり、労働時間の改正に取り組むという活動をしている団体です。
組織マネジメントの手法である「MBO(Management By Objectives)」という目標管理制度を労働時間管理に応用して、各社員が「労働時間の削減」や「有給休暇の取得」に関する目標を設定し、その達成度合いを評価する仕組みを「労働時間MBO制度」といいます。様々な企業の労働時間の問題解決のためにこの制度の導入を促進しています。
―出版を検討した背景を教えてください。
萩原:私個人としては10冊近く出版していますので、出版というこだわりは強くなかったのですが、今回は共同出版というかたちで出版させてもらいました。
出版の目的としては、労働時間MBOコンサルタント協会という協会のブランディングです。それぞれの各地にいる社労士が共同で制作したので、各々が自分が出した本ということで、セミナーをするときに配布したり、顧問先に手渡しして、現場でも良い反響をいただいています。
―チームの皆さんで制作されたんですね
萩原:チームでの共同出版というのは、初めての経験でしたが、私以外のメンバーは本を出したことがない人が過半数でしたので、自分の本が出版されるという事で、メンバーは喜んでいました。メンバーそれぞれの帯を制作して、各々が販促ツールとして使用してます。また、こうやって本を出したことで専門誌から執筆依頼もきて、新しいビジネスチャンスにも繋がりました。
変わりゆく時代のなかで伝えたい事を「書籍」に落とし込む
―どのような人に書籍を読んでもらいたいですか?
萩原:どちらかというと対象は中小企業の経営者ですが、一般のビジネスパーソンにも読んでいただけるような内容にしました。
今回は労働時間というテーマで制作しましたが、これから法律が変わっていくので、これまでの取り組みを改めなければならないということを伝えたいというのが表の目標です。
―表の目標ですか?
萩原:はい、実は、私としては裏の目的があるんです。
それは、世の中で言われている、労働時間の改善も含めた働き方改革はいったい何が目的なのか、一石を投じることです。
本書では、生産性の向上や企業の業績アップなどに触れましたが、今後の人事労務管理の大きな流れとして、各企業の人事関係のデータ、例えば労働時間や残業時間、有給休暇取得率などの人事周りのデータを外に向けて開示していく必要があるということが、これからの人事労務の管理のあり方だと思っています。
昨今、ブラック企業とかホワイト企業など言われてますが、自分の会社のデータをしっかり外に公開できる企業こそが、本当の意味のホワイト企業ではないかと思っています。
私どもはそういう会社を増やしていきたいと考えています。
企業と社員が対等な立場を築ける世の中に
―最後に今後の展望についてお聞かせください
萩原:そうですね、会社とそこで働く人との対等な関係を作りたいというのが大きな意味での展望です。
本来、労働は契約なので双方が対等な立場で結ばれるべきなのですが、少し前までは会社のほうが立場が強くて、社員は従わなければいけないという時代でした。今はどんどん労働力人口が減ってきて、業種によっては雇われる方が偉いみたいな企業もあったりして、時代によって常に力関係が変化してしまうんですね。しかし、本来は対等なはずなので、お互いにとって良い状態で労働契約を結ばれるのが理想だと思っています。
ただ、中小零細の会社の多くは、雇う方も雇われている方も、法律や労働基準法などの契約に関する知識や労働の法律に関する知識がない者同士で労働契約をしてしまうので、現場でトラブルが起きているという実態があります。本当であれば、労働契約というのは様々な契約のなかでも、たぶん人生のなかで一番高額の契約なんです。生涯年収でいえば約2億円の契約をするにも関わらず契約内容のことをきちんと理解していないのは良くありません。そのため、会社と社員の間に入り、労働契約の適正な形で締結できるように中立にサポートする人材を育成をするというのが当社の取り組んでいる事業になります。
このようなことを世の中に普及させるときに、また書籍のお世話になることがあるかもしれませんね。
―本日は貴重なお話ありがとうございました。