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マインドセットとは?その意味や種類、ビジネスへの重要性を解説

#マーケティング基礎知識
#マーケティング用語

近年、「マインドセット」という言葉をビジネスシーンでよく耳にするようになりました。マインドセットは人が持つ無意識の思考パターンや癖、固定された考え方を指します。このマインドセットの状態によって、仕事の成果にも大きく影響を与えるという事がわかってきたのです。

本記事ではマインドセットとは何か、そしてなぜビジネスに有効とされているのか、個人や企業が成長するためにはどのようなマインドセットが必要なのかということを詳しく解説いたします。

マインドセットとは

マインドセット(mindset)とは、人の固定された考え方や物事の見方といった、無意識の思考パターンや固定概念、思考の癖を指します。

これは、先天的な性質や生まれた時代背景、経験、環境などのさまざまな要因によって形成され、その人の信念や判断基準、価値観、思い込み、心構えなどの思考や行動の根幹に影響を与えています。そして、人はマインドセットによって物事の決定や行動を行うため、マインドセットの状態によって、その人の成長や仕事における成功が見込めるかどうかが変わってくるといえます。適切なマインドセットを保つことが自身の成長や成功に繋がるのです。

長年、培われてきたマインドセットを変えることは難しいですが、遺伝的なものではないため、意識や習慣化などによって後天的に変える事ができる思考です。また、特徴としてマインドセットは周囲に対して影響力があります。例えば、企業のトップの思考や価値観といったマインドセットは、その企業が扱う商品やサービス、販売方法などといったさまざまなモノや場面に反映されます。

これは、場合によって業績や企業成長といったものにも関わってくる要因になるため、近年では、人材育成の手法のひとつとしてマインドセット教育などを行う企業が増えてきています。

マインドセットの種類

心理学におけるマインドセット

心理学者であるキャロル・S・ドゥエック教授によると心理学におけるマインドセットは以下の2種類があるとされています。

成長マインドセット:プラス思考
停滞マインドセット:マイナス思考

成長マインドセット

「成長マインドセット」(Growth Mindset/グロウスマインドセット)とは、状況を前向きに捉え、「自身の能力は自らの経験や努力によって向上していくことができる」という物事に対してプラスなマインドのことを指します。

この成長マインドセットを持つ人は、物事を前向きに捉えるため、失敗があってもそこで立ち止まるのではなく、目標達成に向けて積極的に粘り強く挑戦し、自主的に努力を続けるといった傾向があります。もちろん、企業においてはこの成長マインドセットが求められるでしょう。

停滞(硬直/固定)マインドセット

「停滞マインドセット」(Fixed Mindset/フィックストマインドセット)とは、「自身の能力は不変で一定のものであり、才能や能力は努力をしても向上しない」という考えを指します。

成長マインドセットとは真逆の思考であり、努力や挑戦を苦手とします。

停滞型マインドセットを持つ人は、失敗を恐れ、目的の達成が難しくなったり障害が生じると、不正やごまかしを行おうとしたり、他の人に責任転嫁するなど、課題解決に繋がらないような保身の行動に走りやすいとされています。また、このマインドセットは挫折を感じやすく、問題を解決できない場合、自分ではもうダメだと思いこみ、解決の糸口がない今の状態にこだわり続け、先に進むことを諦めてしまう傾向にあります。

多くの人は「成長マインドセット」と「停滞マインドセット」の両方を有しています。状況や環境によってマインドセットが変化することもあれば、自分の意思でマインドセットを変えることもできるでしょう。しかし、マインドセットを変える事は一朝一夕では成り得ません。まず、自分はどちらのマインドセットに当てはまるのか、そしてどのようになりたいのか、しっかりと自己分析を行うことが大切でしょう。成長マインドセットの獲得方法は後程解説いたします。

ビジネスにおけるマインドセットの種類

そして、マインドセットは主体となるものの違いによって、以下の2種類にわけて考えられます。

個人のマインドセット:個人が持つ思考
企業のマインドセット:企業が持つ思考

個人のマインドセット

「個人のマインドセット」とは、その人が歩んできた時代背景、経験、信念、環境、価値観などさまざまな要因から形成される、個人が持つ思考の傾向を指します。この個人マインドセットは、前述しましたが、成長マインドセット、停滞マインドセットの両方持っている人がほとんどでしょう。双方のマインドセットが個人の考えに影響しあい、自身のマインドが形成されています。

企業・組織のマインドセット

マインドセットは個人のものだけではなく、企業や組織といった集団にもあります。

「企業・組織のマインドセット」は企業理念や歴史、市場、事業特性、商品やサービスの特性、ビジョン、成功体験、経営スタイルなどによって形成され、それが社風や組織文化、企業価値観となって現れます。例えば、トレンド性が高い商品を取り扱うベンチャー企業はスピーディーな判断や自ら考え、積極的に挑戦していくことが重視されるのに対して、時代に左右されない商材を扱う老舗の大企業は、積み重ねてきた歴史と安定した経営を重視されるでしょう。このように、経営スタイルや取り扱う商品によって重視する価値観や仕事の優先順位が異なってきます。

また、同じ企業内でも、仕事の内容によってマインドセットが異なる場合は多くあります。そして、時代の変化によって市場やターゲット層が変化すれば、企業・組織のマインドセットもそれに合わせて変わっていく必要があります。しかし、企業・組織のマインドセットは人材の出入りが少ないほど難しいとされています。

企業がマインドセット教育を行う理由

ビジネスにおける影響力

ポジティブな成長マインドセットを持った人は、積極的に業務に関わることが見込まれるため、仕事で成果を出しやすくなります。また、その過程で自身の成長のためにさまざまなことに挑戦し、こなせる仕事も増えていくので、自然とスキルアップすることができ、自分の業務に対する自信にも繋がるでしょう。

企業の継続的な成長のためには、経営陣や上長といったリーダー人材だけではなく、従業員一人ひとりのマインドをポジティブに変化させることがビジネスにも良い影響を与えるのです。

ポジティブシンキングの波及

マインドセットの変化は少なからず周囲に影響を与えます。ポジティブな成長マインドセットを持つ従業員が一人いるだけで、それがチーム内、そして企業内へと伝播します。ポジティブシンキングが社内へ波及すると、企業全体の雰囲気を明るくしてくれ、透明性の高い組織づくりにも一躍を買います。

結果として、企業全体が何事にも前向きに取り組めるようになり、自分から成功を引き寄せる企業・組織へと成長することができるでしょう。また、ポジティブな空気感は、自由に意見をしあっても受け入れてくれる安心感に繋がり、属性に関わらず、どの従業員間でもオープンな関係性の構築が可能になります。

マインドセットを変化させるためにまず行うこと

マインドセットは変えられるという事を意識する

マインドセットは変えられる、広げられる、選ぶことができるということを認識し、自ら意識的にマインドセットを獲得していくことが、自分の成長に繋がります。「どうせ自分のマインドは変えられないんだ」と思い込んでいると、変えられるものも変えられなくなってしまいます。

マインドセット状態を自覚する

まず、自分のマインドセットはどのような状態なのか自覚する必要があります。

前述した通り、ほとんどの人は成長マインドセットと停滞マインドセットの両方を持っています。そして、多くの場合は自身の不得意な分野や興味がない分野に対して停滞型マインドセットの状態になっているとされています。自身の得意、不得意を整理し把握する事で自分がどの分野で停滞マインドセットになっているか確認してみるといいでしょう。

環境や人間関係を変えてみる

前述しましたが、マインドセットは周囲の環境や人間関係の影響を受けています。停滞マインドセットを持つ人との付き合いが多ければ自ずと自分もそちらのマインドに近づいていってしまうとされています。

成長マインドセットを持つ人との関わりを少しずつ増やす努力をすることで新しい価値観や環境に触れることができ、自身のマインドセットを変化させることができるでしょう。そして自分のマインドが変われば元の環境でも周りへ良い影響を与える事が期待できます。

すぐに行動するようにする

何かが起きたとき、素早く行動することで、解決のタイミングを見誤らずに対処することができます。停滞マインドセットの人は考えすぎてしまい、結局諦めてしまったり保身に走り、結局解決ができないということがあります。そのため、まずはあれこれ考えるよりも体を動かし解決に向けて走り出す事を習慣化することで、成長マインドセットへマインドを変化させることが見込めます。

成長マインドセットを獲得するステップ

①目標設定し、具体的な行動として認識させる

成長マインドセットを獲得するためには、まず目標を明確に設定し言語化します。この時、まずは組織目標を定め、その後役割に応じた個人目標に落とし込みます。目標が決まると、やらなければならないことが明確になり、「この目標を達成するために頑張ろう」という成長マインドセットに転換されます。

そして、その目標達成のために行うべき具体的な行動を定めていきます。例えば、「この業務は〇時間以内に終わらせる」といった具体的な目標設定がおススメです。

②継続的に行動する

目標が設定され、具体的な行動が決まったら、その行動を継続して行っていくことが大切です。目標実現のために行動を継続していくことで、成長マインドセットは定着していきます。

そして、行動を重ねたら、目標に対してその行動はどうだったのか振り返り、周りからフィードバックをもらいつつ、うまくいかなかった部分を改善していきます。次の成功につなげるために、フィードバックや改善点を加味して自己内省を行うことも有効でしょう。自分がどのような行動をとっていて、上手くいかなかったのか、その時どのような考え方をしていたのかということを内省し、停滞マインドセットから成長マインドセットへと変換していくのです。

成功体験を積み重ねる

小さな成功体験を積み重ねることで、継続してきた行動に対して自身がつき、モチベーションが高まります。

最初から大きな成功を目指すとモチベーションを維持できず、挫折してしまう可能性があるため、その大きな目標にむけた小さなゴールを幾つか作ることで、成功体験が蓄積されていきます。少しづつでも成功体験を経験すると、成長マインドセットがより自分に定着し、大きなものへと育っていくでしょう。

まとめ

マインドセットは自身の経験や環境、時代背景といったさまざまな要因で形成された価値観や思い込みのことを指します。

ビジネスにおいてはポジティブなマインドセットである成長マインドセットを獲得することが企業の成長・発展にも繋がります。個人や企業のパフォーマンスを高めるためにもマインドセットは大切なのです。昨今ではマインドセット教育にさまざまな企業が取り組むようになりました。

自社の更なる発展のためにも、マインドセット教育は多くの企業で重要視されてきているのです。