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リードナーチャリングのコンテンツ開発とインナーブランディング
ここまでリードナーチャリングの手法を紹介してきましたが、実際に配信をしたり、反応を計測したりすることで見えてきた課題も様々あると思います。今回の記事では、ナーチャリングをスムーズに行うために、運営の最大の課題であるコンテンツの企画・開発の方法についてご紹介します。
リードナーチャリングの手法についての記事はこちら↓
『リードナーチャリングの進め方と主な施策』
リードナーチャリングに必要なコンテンツ数
リードナーチャリングは一斉メール配信のメルマガという最もシンプルな形で行ったとしても、毎週一回メールを配信した場合でも、年50件近いメールコンテンツが必要になります。
ただし、あくまでメールは「届けたい情報へ誘導するメディア」になります。クリック先の「届けたい情報・コンテンツ」を見てもらうことが目的になるため、メールの文面作成と、クリック先のコンテンツ(ブログ記事など)がセットで必要になります。
更に、コールドリード⇒ウォームリード⇒ホットリード(MQL)というエンゲージメントシナリオ化すると、より多くのコンテンツ数が必要になります。(表1参考)
エンゲージメントシナリオについて詳しい記事はこちら↓
『リードナーチャリング必須!マーケティングオートメーション活用施策応用編:セグメント対応とエンゲージメント対応』
また、リードをニーズや属性・セグメントに分け、それぞれのセグメント毎のメール配信を行う場合には、さらに気が遠くなるほどのコンテンツの企画・制作が必要になります。(表2参考)
実際にシナリオを作成したあとに、それに沿ったコンテンツを制作するのは莫大な時間と労力、そして企画力が必要になってくるのです。
コンテンツ制作の担当は誰?
自分の会社にいるマーケティング担当は何人でしょうか?
そして、その中でナーチャリングを担当している人は何人いますか?
仮に、担当が2名だとしましょう。
では、一斉メール配信の形をとったとして、メール文面の作成とクリック先のブログ記事の作成を年に50件行うには、その担当者だけで十分でしょうか?
実際、このように少人数でマーケティングを行っている企業も少なからず見かけますが、上手くいっているでしょうか?じつは、これは典型的な失敗パターンなのです。
マーケティング担当者、ナーチャリング担当者が少人数であることが問題なのではなく、「コンテンツ制作を担当者だけでやること」が問題なのです。
人数が少ない中での企画では、早々にネタ切れとなり、企画の幅も広がらず、堂々巡りのようなコンテンツの企画・開発になっていきます。
その結果、読者に飽きられ、開封率が下がり、さらに上司・社内からプレッシャーをかけられる、という悪循環になります。
しかしこれは、リードナーチャリングを開始した企業には「よくあること」なのです。
ネタ出しは様々な部署から全社で
マーケティング部と言えば、コンテンツのアイディアを出して、企画・運営し、リード育成にも貢献する部署というイメージでしょうか?
しかし、だからといってマーケティング部や担当者だけでコンテンツの企画・制作を行う必要はありません。なぜなら、全社員がリソースになるからです。様々な部署で、複数人でコンテンツの企画・開発を行うことで企画の幅が出て、コンテンツが充実したものになります。読者も、企業独自の多彩な知見・実力を見ることが出来るので、開封率も上がるでしょう。
コンテンツ制作については、他部署からアイデアを出してもらい、ライティング自体はマーケティング部の担当者が行う、という流れでも構いません。もちろん、ライティングまでやってもらえるとさらに良いでしょう。
担当者の役割は、コンテンツの全体を俯瞰し、当初の課題・シナリオ通りにコンテンツが拡充されているかを確認することです。
コンテンツに偏りが発生したり、必要なコンテンツが不足したりする場合は、「こんなテーマで企画して欲しい」と、おおまかな概要を社内に伝えることも必要になります。
コンテンツ企画の重要性を上手く伝えることができると、社内全体でナーチャリングを行う土壌が形成されていきます。
ナーチャリング担当者の一番の役割
リードナーチャリング担当者の役割は、全体のシナリオ設計と現時点での成果・課題を適確に把握することです。ライティングという業務に忙殺されるとこれらが疎かになってしまい、コンテンツを制作することが目的になってしまいます。
リードナーチャリング担当者の確認項目
- 全体設計に沿ってコンテンツが質・数ともに順調に拡充されているか
- メールの開封率・クリック率は期待どおりか、オプトアウトの状況はどの程度か
- ダウンロート資料、セミナー、体験イベント等の企画・実施も順調か(ダウンロード資料・セミナー予約の半分以上は既存リードの場合が多い)
- MQL(ホットリード)創出数は計画通りか、営業送客したMQLの商談化率・受注率は十分か
また、上記以外にも、自社リードの属性の行動や理解を深める機会を設けましょう。
そのためには、リードへのアンケート調査などを行うことで、気持ちや満足度合いを知ることが必要です。最低でも年に一度はシナリオ設計全体、MQLの定義も再検討し、修正・改訂していきましょう。
インナーブランディングとしてのコンテンツ企画
マーケティング担当のみがコンテンツの企画・開発を行うのではなく、部門を越えて、全社でコンテンツを企画・開発をする意味はもう一つあります。それは、インナーブランディングです。
インナーブランディングとは自社のビジョンや提供したい価値を、顧客や社会などの「外」に発信するのではなく、「社内」に対して発信することで、自社の進むべき方向を社員一人一人が理解・共有し、一枚岩となって士気高く突き進むための施策です。
リードナーチャリングとインナーブランディングは、一見何の関係もないように見えますが、実は密接な関係にあります。リードナーチャリングをインナーブランディングの一環として捉えると、良質のMQLを生み出す効果だけでなく、社員の意識を社が期待する方向に変化させ、高いモチベーションをもって行動する起爆剤となるのです。
リードナーチャリングがもたらす社員の意識改革
リードナーチャリングでインナーブランディングができるとしたら、それによってもたらされる効果は何でしょうか?
それは「売り方自体を今までとは変えていかなければならない」という社内全体の意識の改革です。
例えば、商品を顧客に一回売って終わり、制作物を納品して終わりではなく、一人の顧客と長く深い関係を築き上げ、長きにわたり取引を継続する売り方に変えていくこと、などが挙げられます。
ここで言う顧客とは、既に取引のある顧客だけでなく、これから取引が発生するかもしれない見込顧客も同様です。データベースに格納されている見込顧客も自社の財産と捉え、全社を上げて顧客へ提供するコンテンツや体験の質をあげていきましょう。
主にデジタルツールを使って丁寧に関係を継続・深化させる新しい売り方であるナーチャリングを、担当者だけでなく全社員で成功を目指す契機としましょう。
顧客へ提供するコンテンツは、大切な見込顧客への心のこもった「手紙」と考えたら、全社員が関わることが重要なことはお分かりいただけると思います。
まとめ
ナーチャリングの担当者の方は、コンテンツの企画・開発から運営まで一人で抱え込まず、自社全てをコンテンツと考えて、他部署へ相談することをおすすめします。また、上司・経営者の方も全社的にコンテンツ企画をする方が良いのだと理解する必要があります。
顧客データベースに格納されている顧客・見込顧客を単なる実名IDのデータとして数字で捉えるのではなく、生身のお客様として大切にお付き合い、おもてなしをして長く深い人間関係を築きましょう。その気持ちをリードナーチャリング担当者だけでなく、全社員で共有することで「顧客との長い関係に基づく新しい売り方をする」という方針を社をあげて実践することになるのです。
リードナーチャリングについてさらに詳しい記事はこちら↓
『リードナーチャリングでMQL(ホットリード)創出する方法』