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パーパス・ブランディングとは?意味や成功事例を解説

#ブランディング手法
#ブランディング施策

企業ブランディングというキーワードはかなり社会でも浸透してきましたが、「パーパス・ブランディング」という概念はご存じでしょうか。

今回はパーパス・ブランディングが企業の成長・成功において、どのように作用するのかをご紹介していきます。

企業ブランディングに成功している企業の共通点とは

そもそも企業ブランディングとは、「〇〇の商品といえばあの会社」など、商品・サービスまたは企業に対して顧客から信頼性や価値を高める施策のことを示します。

そして、ブランディング施策を戦略的に進めていくことをブランド戦略と表現しますが、ブランド戦略には様々な手法があります。

ブランディングステップについて詳しくはこちら↓
「ブランディング戦略とは?~効果と戦略の立て方を詳しく解説~」

パーパス・ブランディングとは

また、企業ブランディングを成功させるためには、企業の経営方針がとても重要になります。そこで、パーパス・ブランディングというブランディング手法が役立ちます。

パーパス・ブランディングとは「組織やブランドがなんの為に、なぜ存在しているのか」(ブランドパーパス)を明示し、その信念に基づいて活動をし、ブランドパーパスを組織内外に浸透させていくことを示します。

ゴールデンサークル理論とは

パーパス・ブランディングがなぜ企業の成長に必要なのかをゴールデンサークル理論を用いてお伝えします。

ゴールデンサークル理論とは、マーケティングコンサルタントのサイモン・シネック氏がTEDで提唱した理論です。
TED「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」

ゴールデンサークルは「why」「how」「what」の三つの要素で構成されています。

why「なぜ組織がそれをしているのか」、「組織の存在理由は何か」などのブランドパーパス(企業の存在意味)
howどのように商品・サービスを世の中に届けるかなどの手段
what何の商品やサービスを提供するか

シネック氏によると、成功している企業や組織は「why」(ブランドパーパス)を企業の核として、「why」→「how」→「what」の順にビジネスを展開していると語っています。

そして、この三つの要素の中で特に重要なものが「why」の部分です。

ではなぜ「why」が重要なのか、それは人間の意思決定を司る脳の部分(大脳辺縁系)が大きく関係しています。

大脳辺縁系は脳の中で意思決定を司ります。しかし、大脳辺縁系は言語能力を備えていないため、共感や感動・信頼からくる直観的な感覚で意思決定を行います。

「なんかわからないけど納得できる」
「なんとなくこっちがいい」

など理由が明確に説明ができなくてもそのブランドを支持したくさせる理由は、大脳辺縁系が感覚的に判断していたからです。

そのため、「what」(モノ)の価値ではなく、「why」に人の感情・行動は突き動かされるのです。

つまり、どれほど機能が優れている製品やサービスを提供していようとも、企業のパーパスの部分を確立させなければ、人々を動かし支持を得ることはできません。

パーパス・ブランディングに成功している企業の共通点

通常のリーダーや組織はゴールデンサークルの外側から物事を考えますが、優れたリーダーやブランディングに成功し世界に求められている企業は、中核である「why」の部分つまりブランドパーパスから情報を発信しています。

多くの企業のコピー例
「我々のコンピューターは素晴らしく、美しいデザインで、簡単に使え、ユーザーフレンドリー。ひとついかがですか?」(1)

しかし、最大手IT企業Appleは必ずゴールデンサークル理論上の中核である「why」の部分から「what」へと向かって企業情報を発信しているのです。

「why」から発信しているコピー例
「我々のすることはすべて世界を変えるという信念で行っています。人とは違う考え方に価値があると信じています。私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ、簡単に使えて、親しみやすい製品です。こうして素晴らしいコンピューターができあがりました。」(1)

このようにブランドパーパスを明確にし、対外向けに発信し続けることで、人々の感情を動かし共感してくれる人を創出し、Appleは大企業といえるまでに成長しました。

パーパス・ブランディングが企業成長を加速させる理由

それではブランドパーパスを確立することがなぜ企業の成長を促すのでしょうか。

サポーターの創出

パーパス・ブランディングにより顧客から共感を得ることで、顧客は商品やサービスではなく、母体である企業のサポーターとして応援してくれます。

したがって、顧客は他社と比べて値段が高くても企業のパーパスに期待して選んでくれます。

商品や値段ではなく、その企業の信念に共感し、価値を感じてくれるのです。また、そのようなサポーターは自発的に他者に企業の宣伝を行ってくれる心強いプロモーターとしても活動してくれます。

ステークホルダーからの支持を得られる

パーパス・ブランディングはステークホルダーからも信頼や共感を獲得することが可能です。

ステークホルダーという存在は企業の成長には必要不可欠ですので、パーパス・ブランディングの大きなメリットといえます。

社員のエンゲージメント向上

ブランドパーパスが社内し十分に浸透していない、またはブランドパーパスがない場合は、その社員がどんなに優秀だとしても、給料のためにしか働いてくれません。

しかし、パーパス・ブランディングが上手く実施できると、ブランドの信念に共感をしてくれる社員を雇うことができます。

また、その社員はブランドパーパス達成に向かって組織と共に一生懸命に働いてくれます。なぜなら企業のパーパスが社員個人のパーパスでもあるからです。

パーパスマネジメントの記事について詳しくはこちら↓
「経営理念の浸透から新しい考え方へ~パーパスマネジメントとは~」

最後に

一般的に経営戦略や新たな事業を始める際は、「何を売ろう」「どう売ろう」と考えがちです。一度原点に立ち返って、「なんで自分たちはこれをしているのか」と自問自答してみてください。

また、パーパス・ブランディングでパーパスを確立させることも重要ですが、それだけで終わらせてはいけません。パーパス・ブランディングで重要なことは、そのパーパスに対して具体的に何を実行していて、どういう計画で実現できるかなど具体的に社内外に発信し続けることです。

引用:(1)サイモン・シネック
「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」
TED2009年9月