この想いは、かつて私自身が身内の相続をめぐって「争族」を経験したことからはじまり、
前職の銀行員、そして現在行っている相続支援の仕事を通じて、いくつもの家族の悲しみに触れてきたことで、ますます強くなっています。
相続のときに家族間で争いが起こってしまうのは、遺言書を残していないことが大きな原因です。
残された家族のために遺言書を書いてさえおけば、争いが起こるのを未然に防ぐことができます。 日本人の間ではあまり知られていませんが、遺言書を書くことは欧米では常識とされています。
本書にもコラムとして海外の「有名人の遺言書」をいくつか掲載したのでご覧いただければと思います。
欧米では「遺言書を残さないで亡くなった人は家族に災いを残す」とも言われていて、これは家族に対する愛情が深いということの裏返しと言えるかもしれません。
しかし、家族への愛情だったら私たち日本人だって負けていないのではないでしょうか。
自分が死んだあと、家族が遺産をめぐって争うような事態はだれだって望んではいないはずです。
私は、遺言書というのは、あなたの気持ちを伝えるための家族へのラブレター、残された家族にとっては最後の贈り物になると思っています。
<中略>
そして、この本が多くの人に読まれ、「遺言書を書く」という文化が根づき、日本から相続で不幸になる家族がなくなること、また、想いを込めた遺言書が、残された家族と故人の結びつきをより一層深めるお手伝いができたら、これに勝る喜びはありません。
〜「はじめに」より
この本は、相続によって家族が不幸になってしまわないようにするための対策について書かれています。
なぜ、”資産5000万円以下のふつうの家族”とタイトルにあるのかというと、家庭裁判所で取り扱われた相続のもめ事は、資産1000万円以下〜5000万円以下で70%以上を占めているからです。
多くの人は、相続のもめ事はお金持ちの家の話と思っているかもしれませんが、事実はそうではありません。
“ふつうの家族”にこそ、対策が必要なのです。
本書では、その対策方法を3つのSTEPで簡潔に述べています。
残された家族を不幸にしないために、果たすべき「親としてのつとめ」と捉え、本書をご一読頂けることを願っています