家族信託。「言葉は知っているけれど、中身はよくわからない」というのが実状でしょう。
家族信託という言葉を聞いたところで「お金持ちが利用するものだろう」「仕組みも難しそうだ」と感じてしまうのです。
ただ、そういう方も丁寧に説明を受けると、「そんな制度があるなら家族信託で充実した相続対策をしたい!」
と熱心に耳を傾けてくださるのです。こうした光景をたくさん目にしてきた著者の
「もっと多くの方に家族信託を伝えていきたい」という想いが強まり結実したのがこの本です。
家族信託という制度は、相続対策のひとつにすぎませんが、家族を信じて財産を託すという手続きを通して、
家族みんなの生き方について改めて考えるいい機会となります。
例えば…
山田さん(70) 息子2人 妻死別
財産:自宅、収益不動産アパート2棟、預貯金約2000万円
【対策前】
◆懸念
(1)アパートを1棟ずつ継がせたいが収益や共有名義での相続ではもめそう
(2)税理士から財産管理会社の設立を勧められたが、税金などランニングコストがかかる
(3)後見制度の場合、相続税対策や不動産の投資など積極的な運用ができない
【家族信託導入後】
法人設立+家族信託により不動産と金銭を管理
◆対策
(1)委託者を山田さん、受託者を新設の一般社団法人とする
(2)第一受益者を山田さん、第二受益者を2人の息子にする
◆メリット
(1)委託者と受益者が同じなので贈与税は発生しない
(2)受託者が法人のため、不動産の処分や管理に関する金融機関や不動産会社との契約締結が楽になる
(3)山田さんが認知症になった場合、受益者代理人として長男を置き、信託事務が滞らないようにすることもできる
(4)将来的には2人の息子に対して家賃収入を均等に交付できる
この結果、山田さんが財産の将来について思い煩うことはなくなり、安心して元気に暮らせるようになりました。
家族信託について「そもそも家族信託って何?」といった部分から活用ケース例、Q&Aまでの幅広い内容を、
できる限り専門的な言葉を使わずに理解しやすく解説した本書。家族信託についてこの1冊ではじめられる内容になっています。