▼不確実な時代に勝ち残る「特効薬」はあるのか
最近、メディアで「VUCA(ブーカ)」という言葉をよく見かけます。
これはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、
Complexity(複雑さ)、Ambiguity(あいまいさ)の頭文字を取ったもの。
「環境が複雑さやあいまいさを増して、将来の予測が非常に難しい状態にあること」
を指しています。
いま、日本の製造業を取り巻く環境は、これまでにないほど複雑化・個別化し、
かつて「お家芸」だった多品種少量のものづくりのノウハウが通用しない、
「業務そのもの」が不確実な時代に突入しています。
そうした変化に大半の企業が飲み込まれてしまい、
現場が体を張って何とかしのいでいるというのが実態。
競争力は年々低下しているのに、現場は疲弊し切っており、
優秀な人材がバーンアウトして(燃え尽きて)います。
そんな状況で、「こうすればよい」という特効薬はあるのでしょうか。
▼ものづくりの100年史を振り返ると、未来が見える
ものづくりの世界でこの100年余りを振り返ると、まずヘンリー・フォードが
20世紀初頭に「同期生産方式」を確立し、19年間で1500万台もの
T型フォードを生産しました。そのフォードに学びながら、
大野耐一が中心となって「トヨタ生産方式」を打ち立て、
それは「リーン生産」の名で欧米にも広がります。
そして、エリヤフ・ゴールドラット博士がトヨタを徹底的に研究して
「TOC(制約理論)」を生み出し、
世界的ベストセラー『ザ・ゴール』で世に問うたのです。
この本では、この「3人のヒーロー」を中心に、ものづくりの100年史を振り返りながら、
未来に向けて「未知」「不確実」をマネージする方法を考えます。
具体的には、ものづくり企業の経営で必要な3つのフロー
(アクティベーション〈組織化〉・フロー、ナレッジ〈知識〉・フロー、ビジネス・フロー)の
考え方を解説。変化に即応できる経営をしていくためにこの3つのフローを革新する
「ダイナミック・フロー・マネジメント」の手法を解きほぐします。