著者は1960年に証券業界に入り、日本の株式市場の発展を内側から体験する中で、
ファンドマネジャーとして長く活躍。プロの投資家・アナリストたちからも尊敬を集めてきた。
その「株式投資・投資信託業界の生き証人」とも言える人物が、
業界全体と個人の視点を織り交ぜつつ、日本の株式投資のこれまでを振り返り、
これからを鋭く予測する。
具体的には、全体を3部に分けて構成している。
第1部は著者がじかに体験してきた証券業界の動きをオーバーラップさせながら、
株式相場のどこを見て、どう考えるのがよいのかといった知識や相場観を中心に解説。
・何をよりどころにし、自分の視点が間違っていないかをどうチェックするのか
・株式相場の1サイクルはおよそ8年から12年
・天井と底値をどう見つけるか
など、実践的なノウハウも盛り込んでいる。
またアベノミクスを「典型的な官製相場」とし、
著者なりの捉え方やそこに存在する問題点などを明らかにする。
第2部は本書のメインとも呼べる部分だが、戦前、戦後、高度成長、
バブルとその崩壊、そしてその後の相場まで、100年あまりの歴史を振り返る。
特に、証券界おいてバブルはどこに問題があったのか、
当時の海外投資家の目に日本の株式狂乱はどのように映っていたのかといった点を、
実体験を通して解説できるのは著者ならではだろう。
最後の第3部は、まだ無名だったマキタや任天堂、ファナックなど、
著者が証券アナリストとして実際に訪ねてきた企業の当時の様子を振り返っていく。
それらを通して、会社の経営や成長性をどんな点から分析し、
読むのかを解きほぐすのが趣旨である。