じつは不動産業界にも、お医者さんのようにいくつかの専門分野があります。
メジャーな分野では、アパート・マンションなどお部屋探しの賃貸仲介業者や
夢のマイホーム購入の売買仲介業者などは、一般のお客様にも馴染みが深いかと思います。
この他にも、中古マンションのリノベーションを手掛ける買取り再販業者、
マンションや住宅を建設する開発業者なども広く知られる存在かと思います。
その他にも、専門性の強い、投資用不動産専門業者や競売・任意売却専門業者などもあり、
同じ不動産業界の中でも、各社の専門性は多種多様にわたります。
さて、本書の著者は、そのような多種多様な不動産業界の中でも、
よりニッチでマニアックな分野とも言われる『底地借地』の専門家です。
底地借地とは底地権と借地権の略ですが、土地の賃貸借において、
地主さんから借りた土地に借地人さんは自宅を建築し土地を利用しますが、
その土地を利用する権利を『借地権』と言います。
反対に借地権の設定された、地主さんの土地権利を『底地権』と言います。
戦後の頃にスタートしたとも言われる(旧法)借地権の設定された土地賃貸借も、
地主さん借地人さんの世代交代やコミュニケーション不足などにより、
昨今では、この土地賃貸借に関するトラブルや相続に関する相談が急増しています。
ところが、大手の不動産会社をはじめ、多くの不動産業者に底地借地の相談を持ち掛けても、
スッキリとした回答が得られないばかりか、対応自体に積極的ではないことが多いようです。
理由は本書に詳述してありますが、底地借地は専門性の強い分野であることから、
大手の不動産業者に相談しても断られることもあり、
多くの地主さんや借地人さんは誰に相談し、
どのように問題を解決したら良いのかと困っておられるのが現状です。
本書P192より抜粋しますが、コンビニエンスストアの3倍にもなる、
東京都内の宅建業者2万4704社のうち、底地借地専門業者は約30社程度と言われており、
都内宅建業者全体のわずか0.12%であることから、『どこに相談したら良いのか分からなかった』
とお困りになる地主さん借地人さんが多いのも無理はありません。
本書では、この貴重とも言える底地借地の専門家で、
大手ハウスメーカーや大手の税理士事務所と提携し、
数々の底地借地問題を手掛けてきた経験豊富な著者により、
底地借地の地代や更新料、各種承諾料の相場といった底地借地の基礎知識に加え、
底地借地のトラブル事例や解決方法、底地借地の売却時の注意点や有効活用の方法など、
底地借地のノウハウを惜しみなく解説しており、地主さん借地人さんだけでなく、
不動産業者の皆さんにとっても大変貴重な一冊となっていることかと思います。
また、底地借地に関わることのある、税理士さんを始めとした士業の先生方、
保険会社のライフプランナーさんなど、地主さんや借地人さんの相続や
土地活用に関わることのある、あらゆる専門家の皆さんに向けた一冊となっています。
底地借地の専門家がいることを広く認知して頂き、
地主さん借地人さんのために本書がお役立て頂けることを願っております。