私たちはビジュアルデザインに取り囲まれています。
広告、コンピュータのインターフェイス、本の表紙、ミュージックビデオなどに
ビジュアルデザインが使われていることは多くの人が知っているでしょう。
ですが、美的な作品や明らかな情報伝達の領域だけでなく、たとえば鉄道の時刻表、
銀行口座の明細書、下着のタグにまで、ビジュアルデザインは入り込んでいます。
2センチ幅に収まるように織られた洗濯表示も誰かがデザインし、
あらゆる条件や目的のもと適切な選択を経て完成されたグラフィックのプロジェクトなのです。
本書の目的は、私たちが住んでいる視覚世界を理解するための適切なツールを提供することです。
まず、視覚性のあるものに批評的である必要性があります。そして特定の目的で作成されていることに
気づく必要があります。「その目的は何か」「ターゲットは誰か」「それが作られた社会的文脈とは」
「どのテクノロジーが使用されているか」本書ではこういった気づきをうながし、
デザインの本質を紐解いていきます。モノづくりに関わるすべての人必読の一冊です。
著者紹介
リッカルド・ファルチネッリ/翻訳:清水玲奈
リッカルド・ファルチネッリ(Riccardo Falcinelli)
ロンドンのCentral Saint Martins College of Art and Design で学んだ後、1998年にローマ大学でビジュアルノベルに関する論文を発表してイタリア文学を卒業。グラフィックデザイナー、デザイン理論家として、イタリアの主要な出版社でデザイン活動を行う。2012年からローマのISIA(HIGHER INSTITUTES FOR INDUSTRIAL ARTS)で知覚心理学を教える。国際的なグラフィックマガジンである『グラフィックデザイン』の共同ディレクターでもある。彼の著書『Portable Critique of Visual Design』は、今日のデザインに関する最も独創的な考察をする書籍として高く評価されている。その他の著書に、神経科学とデザインの関係についての著書『Look、think、design』などがある。
翻訳:清水玲奈(しみずれいな)
ジャーナリスト・翻訳家。東京大学総合文化研究科修了(表象文化論)。1996年渡英、10年あまりのパリ暮らしを経てロンドン在住。雑誌やインターネットで、社会とカルチャー全般に関する情報を発信しているほか、映像制作にも関わる。本屋さんめぐりが好きで、出版、書籍や書店に関する文章を多く執筆している。著書に『世界で最も美しい書店』(エクスナレッジ)など。訳書多数。