皆さんは「正論」と聞くとどんなイメージを持たれるでしょうか?
「どうもあいつは正論ばかり振りかざすヤツだ」とか、
「正論を言う前に、あなたの本音が聞きたい」などと使われるように、
あまりいいイメージを持たない人も多いのではないでしょうか。
これが欧米などの社会になると、かなり状況が異なります。
「正論」を主張するのは当たり前で、
それが社会のためにもなるのだという確信の下、主張されるわけです。
ところが日本の場合、理屈が正しいかどうかより、
その場の空気や流れを重んじます。
理屈では明らかにおかしいと思うことに対して、
心の中ではおかしいと思っていても声を上げません。
「無理が通れば道理が引っ込む」という言葉があります。
いまの日本の社会を見ると、本来そうであるべき「道理」が
ことごとく端に追いやられ、間違った考えややり方=「無理」が
まかり通っていることがそこかしこに見られます。
皆さんの職場を振り返ってみて下さい。
どう考えてもおかしいと思われるルールや習慣がありませんか?
出張の際のこまごました規定や持ち帰りの残業、恣意的な人事など、
本当ならばおかしいと思われることがあっても、社内で異議を唱える人がいない……。
このままだと組織自体が潰れてしまうし、その前に自分自身が潰れてしまう。
そういう切迫したケースもあるでしょう。
筆者自身、これ以上財務省の好きにさせていたら、日本が潰れてしまう。
とてもこのまま見過ごしておくわけにはいかない──という思いから
「積極財政論」という「正論」を主張し、徐々に賛同者を増やしてきました。
相手が巨大であるほど、それを覆すのは容易ではありません。
部下が上司に対して、正面から正論をぶつけても跳ね返されるのがオチでしょう。
ではどのように伝えれば、相手を動かすことができるのか、
その戦略と法則を本書でじっくり確認してみてください。