日本人は「戦略」(戦争や政治・社会運動などを実行するための計画・方法、駆け引き)が
好きな民族のように思われます。その割には、「戦術」(戦闘に勝つための技術、
争いに勝つための手段・方法)を軽視する傾向が強い。
しかし、当初に立てた「戦略」を遂行するために、
刻一刻と移り変わる戦局にあって、積み重ねる作戦が「戦術」です。
現場で作戦を遂行するリーダーに、なくてはならない能力といっていいでしょう。
戦術は、目標を「最短ルート」で達成するための手段として、きわめて有効です。
本書は「戦略」よりも「戦術」を鍛える重要性を、
リーダーの立場にある方々に語りかけた一冊です。
事例のすべては、日本史から採りました。
例えば、立花宗茂の例も織田信長の例も、
戦術において重要なことは「集中」と「スピード」であることを教えてくれています。
いかに戦力を、一点に集中させるか? いかにスピード感をもって、素早く行動に移せるか?
戦術を実行する上で、「集中」と「スピード」は不可欠です。
そのことを念頭に、次の五つの要素も戦術を成功させるうえで、
重要なポイントになると考えてきました。
一、得意な戦術を使う
二、新しい戦術が勝つことを想定する
三、相手の強みを消す
四、チームメンバーが戦術を理解・共有する
五、リスクヘッジを怠らない
もちろん、この五つ以外にも大切なことはありますが、
これらは戦術を成功させるための確率を上げるうえで、とくに重要な要素になります。
まずはこの五つを習得すれば、今後、新規プロジェクトなどを進めるときに、
間違いなく成功の確率が上がるはずです。
本書をご一読いただければ、戦い方、物事の見方、
チームワーク活性化の必要性がご理解いただけるかと存じます。
世のリーダーの方々に、参考となることを心から念じています。