茶道や武道の「稽古」と聞くと、敷居が高く窮屈というイメージがあるかもしれません。
しかし、多くの経営者は、多忙にもかかわらず、稽古に打ち込んでいます。どうしてでしょうか。
以下のような効能が稽古にあるからでしょう。
・リフレッシュ効果がある
・心と体の健康を整えることで、より高いパフォーマンスを発揮するための基盤となる
・創造力や問題解決力が自然と磨かれ、ビジネスに新たなアプローチが生まれやすくなる
・肩書きや立場を超え、ひとりの人間として出会うことで、本質的な人脈が育まれ、深いコミュニケーション力も磨かれる
稽古は、仕事と人生を豊かにする「習慣」なのです。
本書では、経営者やビジネスパーソンが実践する「稽古」の事例にふれながら、稽古の魅力と効能を解明します。
さらに、そのエッセンスを日々の仕事に応用する方法もご紹介します。
稽古は、AIが持っていない「身体」と「感性」を活かして、高度な知性を発展させる方法です。
それこそ現代のエグゼクティブに求められる力です。
また、海外からも大きな注目を集めている日本文化の豊かな伝統が凝縮されたものです。
稽古によって日本文化を体得することは、これからの時代のブランディングにとって大きな力となるでしょう。
稽古に取り組んでいる方にも、未経験の方にもたくさんの発見がある一冊です。
目次
はじめに 新しい知性を手に入れるためにできること
第1章 稽古と師
デジタル時代における「師」の意義とは何か
師につくことは、立場を捨てること
「師弟関係」「徒弟制度」「家元制度」の違い
「振りうつし」で感性をうつす
「型」は暗黙知を伝達する
「リアルタイムで個別に行うフィードバック」の効果
ホメオスタシス同調で師の内面を学ぶ
言葉での説明は有効なのか
「守破離」とは何か
自然を稽古の師とする
COLUMN 無印良品のブレーン、田中一光の茶
第2章 稽古と知性
知性とは何か
情報収集から知性は生まれない
どうすれば知性は生まれるのか
人とAIの学び方はどう違うのか
体を動かさない生活は脳を退化させる
「知っている」と思うと、学習プロセスは止まる
重要なのは「稽古の階梯」を理解すること
COLUMN しめ縄は高度なコミュニケーション
第3章 稽古と美意識
私たちの美意識の本質とは何か
「わび」「さび」とは何か
感性は知識を超えたものを掴む
自然の本質を見抜く眼を養う
感性を磨く鍵は「手の使い方」
感性が磨かれる〈稽古〉の仕組み
見る眼を磨く方法
COLUMN海外に広がる「生きがい」に欠けているもの
第4章 稽古と道具
なぜ一流は道具を大切にするのか
スマートフォンは「考えさせない道具」
筆は第二の手
一流は道具を選び抜く
道具の設計思想を読み解く
よい道具の選び方
道具と対話する
COLUMN 将軍のサロン文化をささえた同朋衆
第5章 稽古と健康
なぜ稽古をすると心身が整うのか
打ち水が心身を整える理由
稽古という健康法
COLUMN 古道具との付き合い方から自分を知る
第6章 稽古と コミュニケーション
技はコミュニケーションによって完成する
茶室は生まれ変わりの空間
場と相手に応じる2つの秘訣
COLUMN 日本一、美しい所作をする人
第7章 稽古と仕事
なぜエグゼクティブは稽古をするのか
表参道のビルの中の茶室
花の稽古は生命と関わること
体を使うプロセスが精神を成長させる
技は脳の構造を変える
「よい仕事」の方程式
COLUMN 1000円と100万円のシルクの違いを友禅から学ぶ
おわりに 稽古と精神性