本書はリーダーシップとチームマネジメントについて書いた本です。 ここで言う「自分がいなくてもうまくいく仕組み」とは、決してリーダーである自分が楽をするためのものではありません。 リーダーの仕事を部下に任せることで、部下を成長させ、そうして生まれた時間で、リーダーは新しいプロジェクトを立ち上げ、自らも成長するという好循環のサイクルを生み出すワークスタイルのことです。 リーダーに求められているのはチーム(組織)の利益であって、部下と同じ仕事にあたることではありません。 仮に、それで利益が上がっていたとしても、将来の大きな飛躍は望めないでしょう。現状維持は停滞です。 また、そのようなワークスタイルで仕事を続けることは、部下の成長の機会を摘むということにもなります。 リーダーは雑事に時間をとられることなく、新しい価値の創造に注力しなければ、部下を守ることもいずれできなくなってしまいます。 自分がいなくてもうまくいく仕組みとは、それに抗するためのほぼ唯一の手段です。 携わっているビジネスが職人芸的な世界のものでなければ、あなたがどれだけ優秀なプレーヤーであっても、最終的には一人のできる人よりも、複数人でしっかりとスクラムを組んだチームのほうが、仕事の量も質も上がるのです。 そこで、優秀であるがゆえに、自分のやっていることを部下にわかりやすく伝えることができなかったり、自分がやってしまったほうが早いからと、部下に仕事を振らずにいた結果、抱え込みすぎて効率が悪くなってしまったりするようでは「名選手、名監督にあらず」という格言そのままです。 しかし、そんなリーダーでも、まだ間に合います。 今からでも一流のプレイングマネージャーになることは可能なのです。いや、ならなければいけません。 会社の経営者であれ、企業内の部長や課長といった管理職であれ、多くの企業では、リーダーがいなければ仕事にならないチームがむしろ一般的であるようです。 これは、非常に危険な徴候です。正直なところ、私はそれを理解できていませんでした。 どうも、私たちのワークスタイルは一般的ではないようだぞ――そう気付いたのが本書の執筆のキッカケです。
自分がいなくてもうまくいく仕組み
- 著者:山本敏行
- 定価:1518円(本体1380円+税10%)
- 発行日:2013/5/15
- ISBN:9784844373155
- ページ数:208ページ
- サイズ:188×130(mm)
- 発行:クロスメディア・パブリッシング
- 発売:インプレスコミュニケーションズ
いま注目のビジネスリーダーが書いた、チームマネジメントを再定義する本
目次
はじめに
第1章 自分のコピーを作る
自分のコピーとは?
自分やスタッフのタスクをリストアップする
任せる人の選び方
①向き不向き
②興味の有無
③スケジュールが埋まっていないか
④ 複数人に複数の分野を任せる
通りやすい道を切り開いておく
① マインドマップを残す
②動画に残す
③SNSに記録する
包み隠さずに全て伝える
自分ができることを任せていく
リーダーは会社にいなくて何をするのか
情報収集で鳥の視点を得る
人脈が増えていく仕組みを作る
新たな市場を開拓する
緊急事態の対応方法
第2章 理念・ビジョンを共有する
チームのベクトルを揃える
スキルだけではうまくいかない
シンプルなキャッチフレーズにする
「部署ミッション」をつくる
第3章 スタッフとの心の距離を縮める
環境を整える
変化対応組織
社員満足が顧客満足を生む
しないことを決める
決して怒らない
全社員が経営を学ぶ
リーダーも現場を学ぶ
採用を仕組み化する
働きやすさを制度化する
20分ディスカッション
座談会
飲み会
会議の仕組みを考える
マネジメントの考え方
評価制度
ビニールハウス経営
上司に「自分がいなくてもうまくいく仕組み」を納得させる
第4章 メールの時代は終わりました
コミュニケーションを効率化する
コミュニケーションレベルを考える
①緊急かつ重要な内容
②複数人でやり取りが発生する内容
③目を通しておけばよい内容
会議の参加人数を制限する
業務をクラウド化する
チャットワーク (ChatWork)
タスク管理機能
ファイル機能
ビデオ会議・スクリーンシェア
スカイプの問題点も解決
グーグルアップス (GoogleApps)
Gメールの検索技術を活用する
グーグルカレンダーでスケジュールを共有する
グーグルドキュメントをクラウド上で同時編集する
グーグルドライブで動画を共有する
グーグルサイトを社内ポータルサイトとして活用する
スナグイット (Snagit) で動画マニュアルを作る
マインドマイスターでアイディアや企画をまとめる
高品質で低価格なテレビ会議システム
1万円で作業効率が40%向上
どこでもオフィスを実現する
フェイスブック (Facebook) ツイッター (Twitter)
第5章 自分を高める
何を言ったかより誰が言ったか
原因自分論
自分理念を作る
目標を公開する
とにかくやってみる
餅は餅屋
捨てる勇気
改善の複利効果
知恵と努力で両立させる
会社を巻き込んで取り組む
あとがき