「あっ、すっかり忘れていた! 」 「おっと、うっかり見落としていた……」 「そうなんですか⁉ 勘違いしていました」 「なんで自分はあのときハンコを押したんだろう?」 これまであなたは仕事でどんなミスをしたことがありますか? またはどんな失敗をしかけたことがありますか? これらのミスが起きてしまうのは、あなたの記憶力や注意力、コミュニケーション力、あるいは判断力が、低いからではありません。 実はそもそもわれわれの脳自体がミスを起こしやすいメカニズムになっているのです。 しかもそれは、「忘れた! 」というミスに限らず、そのほかのミスも脳の「記憶」にほとんどの原因があります。あなたはそのことを知らないがために、ミスを起こしてしまっているだけなのです。 「経験が少ない、または能力が足りないからミスをするだけでは?」という指摘もあるでしょう。たしかにそれもありますが、必ずしもそうとは限らないのです。 むしろ経験が豊富、または能力があるからこそ犯しやすいミスもあります。中堅やベテランになれば自然とミスが減るわけではありません。逆に増えることもあるのです。 その脳に対して知らず知らずに(悪)影響を与えているのがあなたの記憶であるということが、最近の脳科学、認知科学の研究で急速に明らかになってきました。 こうした事実を知らないままだと、今後もミスを犯す危険があります。いくら記憶力や注意力、コミュニケーション力、判断力を鍛えようと思っても、脳のメカニズムを知らずにがんばっていたら、ほとんど効果はないのです。 少し驚かせてしまいましたが、逆に言えばあなたが脳のメカニズムを正しく理解し、それを踏まえたうえでミスが起こらないような対策を打ちさえすれば、ミスのほとんどは防げるということです。 本書は仕事のミスを以下の4つにわけ、それぞれのミスが起こるメカニズムと、ミスを防ぐ基本対策を解説していきます。 1 メモリーミス(忘れた! ) 2 アテンションミス(見落とした! ) 3 コミュニケーションミス(伝わっていない! 聞いていない! ) 4 ジャッジメントミス(判断を間違えた! ) さらに、単にミスをなくす基本対策だけでなく、上司や同僚、取引先から「すごい! 」と言われるための応用編として、マスターへの道も用意しました。 この本は、一風変わった仕事術を紹介する本ではありません。 これまでさまざまなビジネス書で紹介されてきた王道テクニックや、上司や先輩から耳にタコができるほど指摘されてきたアドバイス。それらがいかに脳のメカニズム上、有意義なことであるかを説明し、これまで以上に納得していただいて、「理解」だけではなく「実践」してもらうことを目的としています。 さらに言えば、本書を通じて仕事のミスと向き合うことで、「本当のあなた」と向き合うきっかけになってほしいと願っています。
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