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RPAとは?その意味とツール導入で可能なことを簡単にわかりやすく解説

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投稿日:2023年3月22日 | 最終更新日:2024年1月19日

昨今、ビジネスシーンでRPAという言葉を耳にする機会が増えてきました。これは、RPAが生産性向上や人手不足の改善や働き方改革に繋がるテクノロジーとして注目を集めているからです。

本記事ではRPAとは何か、その意味や導入のメリット・デメリット、活用事例などをご紹介します。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは?

「RPA」とは「Robotic Process Automation/ロボティック・プロセス・オートメーション」の略であり、ソフトウェアロボット(プログラム)により業務を自動化することを指しています。

ロボットといっても人型ロボットではなく、PCやクラウド上で動くソフトウェアであり、いままで手作業で行っていたルーチンワークや事務作業などの定型業務をRPAツールの導入で自動化・代行することができ業務の効率化などに大きく役立ちます。

現在ではRPAという言葉はさまざまな形で利用されており、広義ではロボットによる自動化、テクノロジーによる変革全体のことを表し、狭義ではRPAツール自体を表すことが多いです。

RPAが注目される背景

日本では2015年ごろから登場したRPAは、現在ではさまざまな企業が導入を始め、非常に注目が集まっています。

RPAが注目されるようになったその大きな要因は「人手不足」「働き方改革の推進」だとされています。

少子高齢化によりさまざまな業種・業界で人手不足は慢性化しています。特にIT業界の人手不足は顕著です。RPAツールの導入は従業員にかわり、さまざまな業務を自動化することができるため、人手不足の昨今においての重要性が高まっているのです。

そして、2018年に通常国会で成立した「働き方改革関連法」により、さまざまな企業で働き方改革が推進されるようになりました。この改革が推し進められた背景には生産年齢人口の減少による日本全体の生産力・国力の低下が大きな要因であるとされています。

RPAツールは正確かつ高速な作業が可能であり、さらに24時間365日休みなく稼働ができます。今まで手作業で行っていたルーチンワークをRPAツールで自動化することで業務時間を大幅に短縮できます。その分余った時間や人手を別の重要な業務に振ることができるため、企業全体の生産性向上に役立てる事ができます。

働き方改革について詳しい記事はこちら↓
働き方改革とは?いまさら聞けない働き方改革の目的やメリットについて紹介

RPAとAIの違い

RPAと混合されがちなものとしてAIがあげられます。

AI(Artificial Intelligence)は「人工知能」と訳され、人間のような知能を持った機械やソフトウェアを指します。AIは「自ら学習する」という大きな特徴をもっています。

最近ではChatGPTなどのAIチャットボットなどが非常に注目を集めています。文章を生成するこのチャット機能に目を付けたクロスメディア・パブリッシングは、OpenAIの大規模な言語生成モデルであるGPT-3を使用し、AIが人生の疑問を解決する書籍を発売しました。
AIが「答えの出ない問題」に答えてみた。

一方、RPAは事前に人間が設定したルール通りの作業処理を行うシステムですので、自己学習したり判断・分析を行うことはありません。

この特徴の有無がRPAとAIの大きな違いだといえるでしょう。

最近ではこのRPAとAIを組み合わせることでより高度な自動化の実現にむけた研究が勧められています。RPAとAIがそれぞれ発展していくことは、今後の社会やビジネスに大きく貢献していくでしょう。

RPAツール導入でできること

判断を伴わない単純な定型業務

RPAツールは、作業手順が単純かつ判断を伴わない定型作業を最も得意としています。事前に指定したルール通りに作業することで可能な業務であれば、RPAツールに代替えしてもらえます。

反復作業

データ収集や入力、変換といった反復作業もRPAツールで自動化できます。例えば、ExcelやCSVファイルデータをシステムやWebに入力する作業や、逆にWebシステムやサイトからデータをダウンロードしExcelなどでの集計作業が挙げられます。

定期的に行う作業

日次・週次・月次・年次といったタイミングが決まっていれば、定期的に発生する作業も自動化が可能です。

例えば、定期的なメール配信や一定時間ごとにデータを取得してダウンロードするといった作業をまかせることができます。

RPAツールを導入するメリット

人件費削減

どうしても時間がかかる事務作業やルーチンワークはどの企業でも抱えていますが、RPAツールの導入によってその業務に忙殺されてしまっている人材を解放することができます。

今まで人手が必要だった業務もRPAツール一つに任せることができるため、人件費削減と共に人材不足の解消にもつながります。

生産性の向上

RPAツールの導入でさまざまな作業を自動化する事により、業務効率化による生産性の向上が見込めます。RPAツールは最初の設定やルール付けをしっかりと行えば、どれだけ単純作業を続けても業務の正確性は下がらないまま24時間休むことなく業務を続けてくれるので大幅なスピードアップになるのです。

効率化によって浮いた時間は他の業務に当てることができるため、営業活動や事業計画といった人間にしかできないクリエイティブな業務に時間を割くことができ、さらに生産性が上がるのです。

作業品質の向上

人が行う作業の正確さには限りがありますが、RPAツールによって自動化したルーチン作業はミスがなくなり、作業品質が向上します。保証された品質により二重、三重のチェックや間違いの修正が必要なくなり、時間的コストの削減にもつながるでしょう。

RPAツールを導入するデメリット

導入コストがかかる

RPAツールの導入はある程度のコストがかかります。導入する形態(クラウド型、デスクトップ型、サーバー型など)によって料金はさまざまであり、初期費用だけで数万円〜数百万円と幅広い相場になっています。そこに開発費用やライセンス費用、技術サポート費用などさまざまな面でプラスαのコストがかかってきます。

そのため、導入する際はしっかりと予算を組む必要があります。また、安くはない導入コストに見合うだけの効果を出せるのか、費用対効果を考えて導入する必要があるのです。

アクシデントに弱い合併

RPAはコンピューターのシステムのため、何かしらの不具合が起きる可能性があります。なにかイレギュラーが起きたときはそこで作業がストップしてしまうため、その際の対処法や問い合わせ先についてしっかりと社内で確認し共有する必要があります。

命令されたことしかできない

前述しましたが、RPAツールはAIと違いツール自身が判断したり学習したりということはありません。RPAにできるのはあくまで事前に設定したルールに基づく動作のみです。そのため、ルールに変更があったとしてもそれを学ぶことは無いため、その都度システムの更新状況を確認し、何か変化が必要なときはすぐに反映させることが必要になります。

また、最初のルール設定で誤りがあっても、RPAはそれを「間違いである」と認識することはありません。そのため、命令の段階でミスがあった場合、無意味なデータ収集や誤発信・誤発注など誤った作業を進行し続けてしまいます。
メリットであるはずの自動化が重大な過失に繋がらないよう、最初の設定は注意深く行う必要があるでしょう。

RPA業務のブラックボックス化

RPAツールの導入後、その業務は人の手による「直接作業」の機会が減少します。もちろんそれが目的で導入しているのですが、RPAツールに携わっていた人の移動や退職といった人の入れ替わりが起こると、RPAツールに変更が必要な場合やアクシデントが起きた場合に対処できる人がいない、RPA業務のブラックボックス化を引き起こす可能性があります。

RPAツールを導入する場合はその後の運用方法やトラブルへの対処法などが属人化しないように気を付ける必要があるのです。

RPAツールを選ぶポイント

RPAの導入に当たって重要な視点は3つあります。

①費用対効果:導入費用に見合うだけの効果をだせるのか
②業務選定:どのような業務に適用できるのか
③運用体制:誰がどのように導入し、運用していくのか事前にきまっているか

この3つのポイントを前もって理解し、実現出来なければせっかくRPAツールを導入しても充分な効果を発揮する事が難しいです。

①費用対効果

RPAは投資的側面が大きいとされています。RPA導入の先陣を切る大企業でも、「少なくとも数年は費用対効果が見込めない」という意見が圧倒的に多いとされています。RPAの導入は中長期的にみて利益を生むという認識をもつ必要があります。

②業務選定

業務選定の際は「業務」ではなく、「行動」に注目すると良いでしょう。RPAツールの導入をしたくても「定型業務が無い」や「判断を必要とする仕事ばかり」と思ってしまうのは業務を大きなくくりで見すぎている可能性があります。

その業務を行うためにどのような「行動」を行っているのか一つ一つの作業に注目して考えていく必要があるでしょう。

③運用体制

導入したものの、RPAを使える人がいなければ意味がありません。経営者や意思決定者が率先しRPA専門のチームを作ったり、外部の専門家に定期的なチェックをお願いするなど導入前にしっかりと運用体制を作り上げる事が重要です。

RPAツールの種類

RAPツールは大きく分けて「デスクトップ型」「サーバ型」「クラウド型」の3種類に分けられます。それぞれ一長一短があるため、自社の組織や業務の特性に合わせて選んだり、組み合わせて導入する企業も増えてきています。

デスクトップ型

デスクトップ型はRPAソフトウェアをインストールした個人のPC内で稼働するシステムです。比較的安価な製品が多く、操作や管理も簡単なものが多いため、部門や個人レベルで導入しやすく、スモールスタートに向いています。

デメリットとしては、横展開がしにくく、RPAの利用範囲を担当者から部門や事業部へと広げていくのは難しいということが挙げられます。

サーバー型

サーバー型は専用のサーバーにRPAツールをインストールして利用します。RPAがサーバー内で稼働するため、複数の端末を一括で管理する事が可能です。業務を横断的に自動化しやすく、組織における横展開がしやすいのが特徴です。デスクトップ型と比べると高額な製品が多く、サーバーやネットワーク環境から構築する必要があるため、導入のハードルが高いことがデメリットとなります。

クラウド型

クラウド型はインターネットを経由したWebブラウザなどのクラウドサーバー上で稼働するRPAです。基本的にWeb上での業務を自動化するため、サーバー環境を整えたり、ソフトウェアのインストールをする必要がないため、技術的な不安を抱える企業も導入することができます。このように運用・保守の手間があまりかからず、管理上のハードルが低いことや、サーバー型に比べ導入コストが低いことも中小企業においても導入しやすいことが特徴です。

RPA活用事例

SMBCグループ

三井住友銀行は2017年から業務改革の取り組みの一環として本部業務の一部にRPAを本格導入しました。

業務の可視化や無駄な業務廃止、重複業務の集約といったRPAで代替え可能な業務を洗い出し、業務プロセスをRPA に適合するように見直したうえで、RPA による自動化を実施しました。

こうしたRPAの導入により顧客の情報収集業務80%、金融商品モニタリングに関する集計業務を35%効率化するなどさまざまな業務での自動化を実現しました。

その結果、2017年からの3年で約350万時間、1,750人相当の業務量を削減に成功し、2020年から始まった新中期経営計画では、さらに300万時間の業務量削減を見込んでいます。

参考:SMBCグループ

足立区(自治体)

東京都足立区は総務省が企画する「業務改革モデルプロジェクト」の提案事業に参加し、RPAとAI技術を活用した各種申請書類処理の自動化を検証しました。これにはソフトバンクが全面的にバックアップし業務の見える化やロボット開発を行いました。

職員だけによる作業時間とRPAを活用して行った作業時間を比較した結果、効果のあった6業務で年間約1400時間の削減が見込まれるという結果になりました。

参考:ソフトバンク

株式会社LIXIL(住宅・建設業)

住宅・建設業界最大手である株式会社LIXILは働き方改革の一環としてRPAを導入しました。導入1年で250名の社内RPA開発者を育成し、250種類のソフトウェアロボット開発に成功しました。部署ごとに異なりますが業務時間削減や業務効率化が図られ、RPAの活用が社内に浸透しています。運用体制作りのため、開発者の育成にも力を入れており、最終的には700名の開発者を育成する事を目標としています。

参考:ソフトバンク

まとめ

事務作業やルーチンワークといった定型業務の自動化を図るソフトウェアロボットであるRPAは昨今のビジネスシーンにおいて注目を浴びています。

働き方改革に対応し自社の生産性を挙げていくためにも、今後RPAの広がりから目を離せないでしょう。

しかし、まだRPAに対して高いハードルを感じている企業も多いのが現実です。

RPAを導入する際は、まずメリットとデメリットをしっかり理解し、社内の課題を解決できるような目的に合ったサービスを選ぶことが重要です。

RPAについておすすめ書籍
RPAで成功する会社、失敗する会社 ――「人が本来やるべき仕事」にシフトする考え方と実践手順』(著者:大西 亜希/クロスメディア・パブリッシング)


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