中小企業経営者の引退時の平均年齢は70歳前後といわれています。
中小企業庁の推定によると、2025年に代表者が70歳を超える会社は約245万社もあります。
しかもその半数の約127万社が後継者未定とみられ、継ぐ人がいないために廃業・
黒字倒産となる会社も大量に出てくると推測されます。
▼事業承継にかかる相続税や贈与税をゼロまたは少額に抑えられる
そこで、事業承継に悩む中小企業経営者に、承継の選択肢を増やし、
会社を存続・反映させるための制度として、2009年に「事業承継税制」がスタートしました。
これは、事業承継をしたい経営者が、一定の手続きによって後継者を指名し、
その後継者に自社の株を承継していくことで、通常はかかる相続税や贈与税をゼロまたは
少額に抑えられるというものです。
この事業承継税制を活用することによって、利益が残るような会社を経営していて
内部留保が多い場合は、これまでであれば数千万円もかかってきた税金がゼロになったり
少額で済んだりするようになります。
ただ、以前の制度は利用にあたっての制限事項なども多かったため使い勝手が悪く、
経営者には不評で、実際の利用者もあまり多くありませんでした。
そこで、2018年にこれらの使い勝手を大きく改善した「特例措置」が、期間限定の制度として
スタートしたのです(本書のタイトルとしても使っている「新事業承継税制」は、主にこの特例措置を指しています)。
本書では、非常に活用効果が高い一方で、税務上で難しい点も多いこの制度を、
エキスパートの視点でわかりやすく教えるのが主眼です。
著者は税務の中でも難易度が高いと言われる「資産税」専門の税理士として、
20年にわたる豊富な経験を持っています。
またクライアントの9割が富裕層のため、単なる節税の提案だけでなく、
資産形成・資産運用のアドバイスも行っており、本書もそうした実践的な経験・知識に基づく内容となっています。
中小企業の場合、事業承継は個人の遺産相続と一体といってよく、
自社の株式を相続税・贈与税の対象から外せることは、事業を引き継ぐ上で大きな支援となるはずです。
次世代に大切な会社を引き継ぐため、あるいは親世代から大切な会社を引き受けるためにも、
本書をぜひご活用ください。