デザイン・ドリブン・イノベーションとは、
製品の特徴ではなく-意味を考え、
改良ではなく-革新的な変化を探求し、
既存のニーズを満足させるのではなく-ビジョンを提案することで、
イノベーションを追求することである。
訳者まえがきより
ロベルト・ベルガンティによる本書では、このデザイン・ドリブン・イノベーションは、市場ニーズに応えていくという漸進的な進歩ではなく、人々への提案を行うために急進的な変化を促すものと見なしている。言い換えると、ユーザー志向の「マーケット・プル」から“What(人々がいま使いたいモノ)”を提供するのではなく「テクノロジー・プッシュ」を伴いながら“Why(なぜこれが生活の中に欲しいのか)”を授けることで「意味」のイノベーションを達成するのである。そうした意味を創出するのが、まさにデザインの役割となる。
デザインの有するポテンシャルを最大限に引き出したいと願う企業マネジャーにとっては、本書で示されるような「デザイン・ドリブン・イノベーションの戦略(第1部)」と「デザイン・ドリブン・イノベーションのプロセス(第2部)」、そして「デザイン・ドリブン能力の構築(第3部)」を的確におさえることで、その突破口はきっと見つかるだろう。
著者紹介
ロベルト・ベルガンティ/訳者:立命館大学DML/監訳者:佐藤 典司・岩谷 昌樹・八重樫 文
ミラノ工科大学のマネジメントとデザインの学部で教え、経営者に対してデザインとイノベーションのマネジメント教育を行う研究組織であるMaDe In Labを指揮するイノベーション・マネジメントの教授である。また、コペンハーゲン・ビジネススクールの客員教授であり、Journal of Product Innovation Managementの編集委員、Design Management Instituteの顧問でもある。
20年以上の研究を通して、ベルガンティ教授は,マイクロソフトやボーダフォンなどの有力な企業から、アレッシィや任天堂のような小さく力強い企業まで、100社以上のイノベーションのプロセスとその課題を調査してきた。彼の研究は、戦略・デザイン・技術マネジメントの交点にあり、Management ScienceやHarvard Business Reviewなどの学術専門誌で多くの論文を発表している。それらの研究では、経営者がいかにして画期的な戦略を考え出し、外部のイノベーターとの協力関係を築き、柔軟な開発プロセスを展開できるか、また経営者たちはそのチームの中でどのように創造性と学習を促進できるかについて新しい光明を投じてきた。イタリアでのデザインマネジメントに関する研究では、イタリアの最も権威あるデザイン賞であるCompasso d’Oroを受賞している。
ベルガンティ教授は、会社が戦略的なイノベーションを成し遂げるための支援を行うコンサルタント組織であるPROject Science(www.pro-jectscience.com)の創設者で会長でもある。彼は、Fortune 500に名を連ねる多様な企業のシニア・マネジャーに対してアドバイスを行い、また、世界中の国や地方でデザインとイノベーション政策を支援している。