バレーボール男子日本代表が世界レベルの魅惑的なチームに変貌した背景は、フィリップ・ブラン監督の存在抜きには語れないだろう。
本書は、これまでメディアでは語られてこなかった、ブラン監督のマネジメントに焦点を当てて構成した。
なお、本書でいう「マネジメント」は、単なる「管理」よりももっと広く、「困難な状況をなんとかして乗り切る」といった意味だ。
本書は、ブラン監督による、国内初の著書となる。
ページをめくると、ブラン監督の緻密な思考と、それを支えるマネジメント理論とが織りなすシンフォニーを感じられるだろう。
本書は2部構成となっている。第I部では、ブラン監督の言葉から、その人物像とマネジメント手腕を紐解いていく。第II部では、シーズン2017から2024までの軌跡を、ブラン監督自身が振り返る。
「ブラン監督の原稿は、論文のようなところ、エッセイのようなところ、古語が入った文学のようなところがある。随所で、サン=テグジュペリの『星の王子さま』に出てくる「大切なものは目に見えない。心で見ないと見えないんだ」という有名なセリフを想い起こさせる。ブラン監督が目に見えないものを大切にしているからだ。」
(共著者・増井麻里子氏による序文より)
著者紹介
フィリップ・ブラン/増井麻里子
フィリップ・ブラン(Philippe Blain)
バレーボールフランス代表チームでは、セッターおよびアウトサイドヒッターとして活躍し、1986年世界選手権および1987年欧州選手権ではMVP(最優秀選手賞)を受賞。1992年にイタリアリーグのクーネオで、監督としてのキャリアをスタート。2001年にフランス男子代表監督になり、世界選手権では初のメダル、欧州選手権でもメダルを獲得した。アテネオリンピックに出場し、12年間フランス代表チームを指導した後、ポーランド男子代表コーチとして2014年に世界選手権で優勝し、2016年にはリオオリンピックに出場。2017年、日本男子代表チームのコーチに就任。2022年から監督となり、2024年パリオリンピック出場権を獲得。2023年に銅メダル、2024年に銀メダルとVNL初のメダルを獲得。著書に『Volley-ball De l’apprentissage a la competition de haut niveau(バレーボール 入門からトップレベルの試合まで)』(Vigot, 2006)がある。
増井 麻里子(ますい・まりこ)
スポーツ・ジャーナリスト
大阪外国語大学(現 大阪大学)フランス語専攻卒業。在学中にパリ短期留学。証券会社で外国証券のバックオフィス業務、商品企画、株式調査等に従事し、ヘッジファンドでのクオンツアナリストを経て、ムーディーズ・ジャパンでは大手企業の信用力分析、国際協力銀行(JBIC)では欧州・北アフリカのソブリンリスク審査および国際経済調査を担当。2014年に経済アナリスト/経営コンサルタントとして独立。企業価値向上のためのコンサルティングや投資家向けアドバイザリーを展開。プログラミングと企業分析のビジネススキル講師業、英語仏語の通訳・翻訳業にも従事。講演・執筆実績多数。バレーボールに関しては、中学、高校、大学でバレー部所属。2010年世界選手権をはじめ、イタリア、インドネシア、フランスなど海外観戦多数。2017年、スポーツ動画配信の解説者プロデュースを開始。スポーツ紙の通信員として、イタリアで2018年世界選手権を取材。