今どきの戦略コンサルタントは、論点思考や仮説思考、デザイン思考など優れた思考法をマスターして自らの知性を高めつつ、業界や特定分野の専門性を極め、情報技術や生成AIをも使いこなす「世界最強・最先端」の知的エリートと自任していることでしょう。しかし、トップ5%の一流は、そうした方法論や専門性、情報技術だけでは及ばない領域にいます。彼らはしばしば、他のコンサルタントが思いもよらなかった視点から真の課題を浮かび上がらせたり、誰も気づかなかった盲点を一瞬で指摘したり、ブレイクスルーやゲームチェンジの切り口を見出したりします。なぜ、そんなことができるのか。 本書では、トップ5%だけに見えている世界を描くと共に、優れた問題解決や創造的アイデアの導出に不可欠なマインドセット、ものの見方、考え方を紹介します。
目次
はじめに 天賦の才がなくても優れたインサイトは発揮できる
序章 戦略コンサルのトップ5%は何が違うのか
世に溢れる思考法をマスターすれば万事解決ではない
思考法より重要な「思考態度」とは何か
手順や方法論を応用しても画期的な新発見はできない
戦略においてロジックよりも重要なもの
「思考枠」を広げると日常の風景は非日常化する
トップ5%は見えている世界が違う
第1章 ブレイクスルーアイデアを生み出すための「思考態度」
トップ5%の考える力を考える
「考える」とは「パターン認識」すること
認識したパターンをあえて壊し、新たな切り口を見出す
アブダクションとインダクション―2つの思考モデル
「犬」は「犬」と命名するから「犬」と認識できる
パターン認識には「専門性」と「創造性」の2つのルートがある
圧倒的な知的好奇心が導く創造性
トップ5%の創造性を可能にする思考態度
ロジックを愚直に積み上げてたどり着いた相対性理論
アートの創造性の源は時代コンテクストと模倣のロジック
創造性の真の敵は何か
「創造的思考態度」とは思考を常に動かし続けること
第2章 「思考枠」を広げて常識や定石の壁を突破する
納品1年待ちの機会損失をどう解消する?
「思考枠」を広げて問いを問う
別次元の「制約を解除する問い」が思考を非日常化する
「制約を解除する問い」を立ち止まって深く考えるきっかけに
思考の切り口をユニークに変えるセットアップ① 問題を動かす
思考の切り口をユニークに変えるセットアップ② マルチレンズで見る
思考の切り口をユニークに変えるセットアップ③ 思考・観察対象の工夫
第3章 トップ5%が駆使する「戦略思考三種の神器」
戦略思考に絶大な成果を生む究極奥義とは
奥義① Big Picture(ビッグピクチャー)
・今の視点よりひとつ上のレイヤーから見て捉える
・多角的に物事を捉え、真に答えるべき問いにたどり着く
・継続して習熟できれば戦略思考力が爆上がりする
・事業をシステムとして捉える
奥義② Rule of The Game(ルールオブザゲーム)
・戦略思考におけるゲームルール
・ビジネスにおけるゲームルールは2つ
・ゲームチェンジの成功で手にする莫大な利益
・ゲームルール②を制したプレーヤーが最終的には勝つ
奥義③ Quick & Dirty(クイックアンドダーティ)
・本質を抉り出し、蓋然性の高い仮説に素早くたどり着く
・たったひとつのミーティングから生まれた黒字化の秘策
・クイックアンドダーティ分析による仮説検証
・クイックアンドダーティ分析の実施手順
第4章 世界を一変させるインサイトに導く「コンセプト思考」
戦略思考を結晶化するコンセプト
要約は静的であり、コンセプトは動的である
モデル化とコンセプト化は何が違うのか
優れたコンセプトには世界を一変させる力がある
コンセプト化の事例① 「世界観アーキテクチャの中毒消費」
コンセプト化の事例② 「周囲状況依存の法則」
コンセプト思考の道具:「軸発想」「数式発想」「図式発想」
第5章 本質へと一気にたどり着く「インサイトドリブン」
論点ドリブンや仮説ドリブンのさらなる先へ
論点ドリブンと仮説ドリブンを並走させる上級テクニック
インサイトドリブンはトップ5%が駆使する究極のアプローチ法
インサイトが生まれる確率が格段に上がる
大きな謎や個人的なひっかかりから独創性の高い仮説へ
新規カテゴリー創造というゲームチェンジ
「本当か?」のアラートからインサイトドリブンが動き出す
インサイトドリブンアプローチの作業ステップ
おわりに
Column
1 導かれるように進んだ、戦略コンサルタントの道
2 初プロジェクトの思い出【前編】
3 初プロジェクトの思い出【後編】
4 記憶に残る2人の天才
5 偉大な経営者との共同チーム