いち早く「本」を出す。未成熟市場でポジションを取る中長期ブランディング

お客様事例
株式会社Groovement 代表取締役。デロイトトーマツコンサルティング、フィールドマネージメント(現:FIELD MANAGEMENT STRATEGY)にて、主にグルメサイト/エンタメ/化粧品通販などB2C領域におけるマーケティング戦略、新規事業の検討、各戦略の実行支援に従事。2021年に株式会社Groovementを創業し、フリーランスコンサルタント向けの案件紹介マッチングサービス「Strategy Consultant Bank」をローンチ。2026年現在、IT領域に特化したフリーコンサルのマッチングサービス「IT Consultant Bank」、ハイクラス向けのコンサル・スタートアップ転職支援「Groovement Agent」など、複数のサービスを展開している。

——出版に興味を持った背景を教えてください。
浴野:2021年当時、フリーランスコンサルタント業界は、参入企業が少なく、まだまだ未成熟でした。そうした市場で、他社に先駆けて業界全体を俯瞰した書籍をつくることで、業界の認知度向上に加え、自社のブランディングもできると考えたことから出版を検討し始めました。
大手と違い、スタートアップは先行投資の費用が潤沢ではありません。広告のように一度に多額の費用を支払ってから徐々に回収する手法は取りづらいため、中長期的な施策として、当社のROI(投資収益率)に見合った戦い方を探していました。
——出版前には、どのような課題感があったのでしょうか。
浴野:課題があったのは、私たちのサービスの見込み顧客である「潜在層」へのアプローチ方法です。2021年からフリーランスコンサルタント向けの案件紹介マッチングサービス「Strategy Consultant Bank」を提供してきたなか、サービス利用者を拡大する必要がありました。
当社のサービス利用者には、2つの層があります。すでに他のマッチングサービスを利用している顕在層と、現役でコンサルティングファームに勤務しており、将来的に独立を検討している潜在層です。顕在層には有効なマーケティング施策が確立していた一方で、潜在層に「独立という選択肢に気づいてもらう」ための手段が、なかなか見えていませんでした。
そうしたなか、ふと自分のコンサル時代の記憶を遡ると、新しい業界について学ぶ際は、必ずその業界の「書籍」を読むことから始めていたことに気づきました。しかし、フリーランスコンサルタントに関する書籍を探してみると、当時は業界全体を俯瞰できる書籍は一冊も出版されていませんでした。「潜在層に向けたマーケティングツールとして、書籍は有効なのではないか」と思ったことが、出版を決めた大きな理由です。
書籍はコンサルタントに受け入れられやすいため、潜在層にも手に取られる可能性は十分にあります。業界本を出版できれば、“オセロの角”を取るように、業界での優位性を確立できると考えました。
——複数の出版社から、クロスメディアを選んだ理由を教えてください。
浴野:複数の出版社を比較していたなか、スタートアップにも真摯に向き合ってくれる出版社だという印象を持ったことが第一の理由です。最初の打ち合わせから最後まで、丁寧に向き合って伴走してくれました。
出版社によっては、予算が少ないと文庫本サイズの本しかつくれないこともあります。クロスメディアは一般的に親しまれているサイズのビジネス書を、予算に見合う価格帯で出版できることも魅力でした。
担当窓口の伊藤さんがコンサルティング会社出身だったため、業界への理解が深かったことも大きな理由です。業界のことを知らない人であれば「コンサルタントの仕事内容」など基本的なことから順に説明する必要があります。担当窓口が業界出身者であれば、基本的な説明は省いて、スムーズに書籍制作を進めることができます。私は説明が得意なタイプではなく、あまりゆっくりと時間が取れるわけでもなかったため、時間も労力も抑えることができ助かりました。
——書籍はどのように活用されていますか。
浴野:大きく3つの方法で活用しています。1つは、当社のユーザーの方々への案内です。当社に興味を持った方に書籍を渡すことで、サービスや業界についてスムーズに詳しく知っていただけるツールになっています。
2つ目は、メディア露出時の活用です。メディアにアプローチをかける際、当社の参考情報として書籍をお渡ししています。業界での権威性や情報の信頼性を伝えるうえで、書籍は大きな武器です。書籍があることで、フリーランスコンサルタント業界に対する我々の真剣な姿勢が伝わり、「業界の第一人者」として見ていただくことができていると実感しています。
当社は小規模な会社のため、メディアにアプローチしても門前払いされることが多々ありました。しかし出版後は、書籍をきっかけに信頼を得て、話を聞いていただけるケースが増えています。大手メディアでの掲載につながったこともありました。
3つ目は、採用時の活用です。新入社員がサービスや業界知識を得るツールとして書籍が役立っています。競合他社でも、新入社員向けの教育材料として当社の書籍を利用されていると耳にしたこともありました。情報の少ない業界でもあり、まとまった理解を深めることのできる書籍は活用しやすいと感じます。
——費用対効果はいかがでしたか。
浴野:営業やPRツールとして活用できているため、中長期的な観点で十分にコストを回収できていると感じます。たとえば大手WEBメディアに広告出稿すれば、記事1本で数百万円かかることもあります。一方で、書籍をきっかけに大手WEBメディアから費用なしで記事に取り上げてもらうことができれば、記事広告1本分の効果を得たのと同様です。そう考えると、書籍をきっかけに2本も取り上げられれば、実質的に出版への投資費用は回収できていると言えます。
——今後のビジネスの展望をお聞かせください。
浴野:これからは、フリーランスコンサルタントのマーケットをさらに広げていく必要があると考えています。優秀なコンサルタントが自己実現しながら活き活きと働ける場をつくることで、さまざまな業界で「プロフェッショナルが独立しやすい」世界をつくりたい。競合他社とパイを奪い合うのではなく、業界全体が成長していくためにも、業界の啓蒙活動をする必要があります。
当社の認知度もさらに拡大しなければいけません。書籍に加え、ラジオ番組「渋谷のスタートアップ」の運営や、Bリーグチーム「サンロッカーズ渋谷」とのパートナー契約締結なども進め、さまざまな施策に取り組んでいます。
——これから出版する人に向けてアドバイスはありますか。
浴野:書籍を出版するうえで大切なのは、目的を明確にすることだと思います。当社が目的としたのは「中長期的なブランディング」です。
フリーランスコンサルタント業界はマーケット規模が小さく、書籍一冊の投資を「短期」で回収することは難しかったため、あえて「中長期」で投資回収することにしました。単に「ブランディング」とするのではなく、出版にかける投資回収の時間軸も決めたことで、「業界全体を俯瞰できる書籍」という中身も明確になりました。出版を検討している方は、「なぜ書籍を出版するのか」を言語化することで、後悔しない出版につながると思います。
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