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株式会社古川ちいきの総合研究所 代表取締役 古川 大輔様
株式会社古川ちいきの総合研究所 代表取締役(https://chiikino.jp/)。
地域再生/林業再生コンサルタント。総務省登録・地域力創造アドバイザー。新潟県生まれ、東京都町田市育ち。東京大学大学院時代に全国の農山村地域を巡り、過疎化、農林業経営の厳しさ、ダム建設など農山村が抱える問題を目の当たりにする。これらの解決のため、より実践的な活動がしたいと考え、大学院を中退しビジネスの世界に飛び込む。(株)船井総合研究所では「地域ブランド創造チーム」を立ち上げ、地域ブランディングを切り口とした地方創生に携わる。その後、(株)アミタ持続可能経済研究所の客員研究員、(株)トビムシを経て独立し、2012年に(株)古川ちいきの総合研究所を設立。市町村の森林ビジョン策定と実行支援、企業の経営コンサルティング、地域材コーディネート、6次産業化支援、移住定住支援など、幅広く全国の森林・林業・木材産業・まちづくりに関わり、各地での講演実績多数。編著書に『森ではたらく! 27人の27の仕事』(学芸出版社)がある。2024年より、社会人博士課程として東京大学大学院 林政学研究室に所属し、研究活動を再開。2025年8月に、最新刊『森林ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)を刊行。
25年のノウハウを一冊に
——『森林ビジネス』(2025年8月発刊)を出版された理由を教えてください。
古川:大きく2つあります。1つは、自分のためです。私は林業と出会って25年間、地域再生、林業再生のコンサルタントとして20余年働いてきたなかで、森林・林業を中心に、地域活性化、国産材活用、観光やサービス業、移住定住など、関連する業界のノウハウを蓄積してきました。
そのノウハウは、いつか本にしてまとめたいと考えていいました。しかしタイミングがなく、いつ出版できるかと思っていたところ、ちょうど担当者との出会いがあり、「今だ」と決めました。人はいつ死ぬかわかりませんし、この業界でコンサルタントをして四半世紀の節目に知見をまとめた本を出版することで、業界を担って立つ次世代の若い世代に伝えていきたいと考えていました。
以前、他社から業界本を出す企画がありましたが、多くは客観的なデータをもとにした内容でした。一方で、今回出版したクロスメディアの「業界ビジネスシリーズ」は、業界の全体像を描くことがコンセプトでありながら、客観的なデータだけでなく、自分の体験やストーリーをもとに「自分の視点」で書くことができました。
2026年3月には、AFCフォーラム(発行:株式会社日本政策金融公庫)第73号巻8号で、日本経済新聞社の編集委員の方から書評をいただきました。「良書の特徴の一つは、 読んでいると自然に著者の思いが伝わってくる点にあるだろう。本書もそうした一冊。誇張のない落ち着いた筆致を通して、林業の発展を願う書き手の情熱を感じ取ることができる」と、非常に嬉しい冒頭文でした。
今回の執筆では、ただ情報をまとめただけでなく、自分の体験やエピソードも織り交ぜながら業界を俯瞰した本を出すことができました。すでに出版されている他の業界ビジネスシリーズの著者の皆さんも、私と同様、それ以上に、個々人の使命感を持って書かれています。そうした熱量も込めて、ノウハウをまとめた本を出したいと考えていました。
出版理由の2つ目は、業界のためです。森林にまつわる業界は、領域ごとに知見が分断されており、“縦割り”になりがちです。業界を管轄する行政の部署も多岐にわたります。地域おこし協力隊のような地方への人の移住関係は総務省、林業は林野庁、森林の保全などは環境省、国産木材の家、すなわち建築は国交省です。
しかし、地域の現場で森林ビジネスに従事している方々は、業務上、多岐にわたる分野の知識が必要になります。横串で森林ビジネスの知識を網羅した本をつくることで、地域の方々の役に立ちたいという思いで書きました。
書籍は「知名度」と「信頼性」を高めるツール
——さまざまな発信が可能な時代に、なぜ「本」を選んだのですか。
古川:書籍は、「知名度」と「信頼性」を高めるツールになると考えたからです。コンサルティングの顧客提案では他社とのコンペになることがあります。そこで負けてしまうとき、大きな要因だったのが知名度と信頼性でした。
noteやYouTubeなど、手の届きやすい発信ももちろん大切でしょう。ただ、一定の情報密度を持たせ、網羅的に語ることができる書籍を一冊書くことのできる人は、そう多くありません。それも自費出版ではなく、出版社を介して本を出すことができれば、なお信頼性を高めることができる。そう考えて、本を出すことにしました。
——数ある出版社のなかで、クロスメディアを選んだ理由は、どのような点にあったのでしょうか。
古川:端的に言えば、2つの“センス”を感じたからです。1つは「グラフィックデザイン」のセンスです。クロスメディアの本は表紙やフォント、図解、目次やトビラのつくりなど、細部までデザインのセンスが良いと感じていました。
2つ目は、「ビジネス」のセンスです。本を書くにあたっては、いくつかの出版社を検討しました。そのなかでもクロスメディアは、本を「最終プロダクト」としておらず、「マーケティングツール」としているのが特徴だと思いました。
いまは個人で誰でもいつでも発信ができる時代ですが、手軽なWEBツールだけでは、散発的な発信になりがちです。書籍は情報密度が高いうえに、緻密な構造設計がされています。書籍を一冊出しておけば、まとまった情報を切り出しながら、さまざまな媒体へと波及させることができるハブになります。
クロスメディアさんは、出版後の書籍をハブにした情報発信やコミュニケーションを得意としていると思いました。本はあくまで手段として、その先を見据えて書籍の役割を広げており、言ってみれば、「本を主軸にしたマーケティング会社」だと思います。
つくって終わりではなく、出版後の次のビジネスの展開までサポートしてくれる。それを知ったことが、クロスメディアさんを選んだ理由でした。
出版による認知の高まりが、さらなる認知を呼ぶ
——出版をして、ビジネスへの影響はありましたか。
古川:いくつもありました。まず研修やセミナーへの登壇依頼の機会が増えたことです。また、イベントで書籍を販売することもでき、併せてサイン本は、特別感があるようでお客様から特に喜んでいただけます(笑)。
業界のさまざまな催事に顔を出した際に、「『森林ビジネス』読みましたよ!」とか「『森林ビジネス』の著者の人ですよね!?」と、お声掛けいただいたこともあります。
また、実感しているのは、本を読んでもらうことで私自身やビジネスのことを深く知っていただけることです。クライアントやビジネスパートナーとなる方には、名刺と併せて書籍をお渡しすることもあります。クライアント企業では、社員への研修テキストとして本書を活用することで、全体の知識レベルを高めることができています。
想定外の嬉しいできごともありました。たとえば、本を読んだ公認会計士の方から、林業の税務、会計のことで共感することがあったとのことで、お手紙をいただいたことです。手紙を読んだ後日、直接お会いしたところ、同業の会計士の方を複数名ご紹介くださりました。思わぬところから新しい人間関係が広がっているのは、書籍出版のおかげです。
——読者からの反響はいかがですか。
古川:読者からも多くの反響をいただいています。Amazonでは「中学生にもお勧めできる」「いままでの“とっ散らかった”森林に関する知識が整理できた」といった、まさに私が届けたい読者層からの声をいただきました。
また、編集者の神田さんの働きかけで、メディアに本の抜粋記事が掲載されました。Yahoo!ニュースにも転載され、多くの反響をいただいています。書籍がメディアへ取り上げられることで、直接的な読者だけではない、より大きな認知獲得につながっています。
メディアを味方に、ビジネスの出会いを広げる
——期待されていた、出版後のサポートについてはいかがでしたか。
古川:出版後は、クロスメディアのYouTubeチャンネル『業界ビジネスチャンネル』に出演させてもらい、アナウンサーの入江さんからインタビューしていただきました。本だけでは見えづらい私のキャラクターも、動画にすることでより伝わったのではないかと感じています。「僕のことを知りたかったら、これを見てください」と、名刺の裏にもURLを記載したほどです。
出版後もクロスメディアの社員さんとは定期的に情報交換しており、そこから新たなメディア掲載やイベントへの登壇などにも発展しています。自分と自社の成長に伴走してくれる、新たな味方が増えたような思いです。
——出版した本のおすすめの活用方法はありますか。
古川:ビジネスの初期段階では、「営業ツール」として活用することがおすすめです。書籍出版の実績は、個人だけでなく会社の信頼性も高めます。執筆をサポートしてくれた弊社の社員たちは、本を常に持ち歩いて営業ツールとして活用してくれており、アポイントメントの獲得や商談に一役買っているようです。
——今後は書籍をどう活用していきますか。
古川:今後は、本を「法人研修のテキスト」としても扱う予定です。セミナーと本の両方をセットで活用することで、より顧客の理解が深まると考えています。そして本書が、“森林ビジネス界隈”の教育や研修などの指定書籍とされるようにしていきたいと考えています。
そのうえで、いまは2冊目の制作を進めています。次の書籍は、「原体験」をキーワードに、ビジネスパーソンのマインドに焦点を当てたものです。書店流通もしますが、個人だけではなく、企業研修にも使っていただけるような内容を目指しています。
1冊目の出版を通して、多くの方々と出会いがありました。今後も本を軸に新たなビジネスやコミュニティ形成に注力しながら、自社の枠を超えて、次の世代を育成していきたいと考えています。
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