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「出版マーケティング」という言葉を聞いて、どんなことを思い浮かべますか?出版マーケティングとは、集客・ブランディング・採用など企業の課題解決を目的に書籍を出版するマーケティング手法です。
本記事では、年間120冊を出版するクロスメディア・マーケティングが、出版マーケティングの具体的な進め方から成功事例、戦略的な企画・制作・PR方法までを分かりやすく解説します。
出版マーケティングの詳しいプロモーション施策についての記事はこちら↓
『出版マーケティングの具体的なプロモーション施策』
目的によって変わる3つの出版形式
書店は常に新しい本で溢れ、毎日新刊が200冊出ていると言われています。今ではリアル書店だけではなく、ネット書店を利用する方も多いでしょう。出版不況と言われていますが、書籍の販売数は増加傾向にあります。
書籍には、大きく分けて3つの出版タイプがあります。
・商業出版
最も一般的なのが「商業出版」です。出版費用はすべて出版社が負担し、それらは書籍の売上でまかなうため、売れるための本作りをします。そのため、企画や依頼する著者は出版社が決定し、著者の意向が通りづらいこともあります。出版日や部数も出版社が決めるため、ハードルは高めです。
・自費出版
著者が費用を負担するのが「自費出版」です。最近では電子書籍やネット書店の普及で身近なものとなり、新聞の広告でも目にするようになりました。自作の小説や詩、自分史などを自由に作ることができ、低予算から制作可能です。しかし、書籍の流通が限られてしまうことが多く、初版数も少ない傾向があります。
・企業出版
「商業出版」と「自費出版」のメリットを併せ持つのが「企業出版」です。費用は企業や個人が負担しますが、プロの編集者やライター、デザイナーの力を借りて本作りができます。また、タイトルや内容をコントロールでき、印税も得られるのが特徴です。
「企業出版」は、単に出版することが目的ではなく、企業のブランディングやマーケティング、集客・売上の向上を目的とした「出版マーケティング(ブックマーケティング)」として活用されます。企画から制作、販売、PR施策までを戦略的に行い、企業の課題解決を目指します。
企業出版について詳しく知りたい方はこちら↓
『企業出版とは?一番わかりやすい入門編~メリットや事例、費用まで~』
出版マーケティングのメリットと成功事例
出版マーケティングのメリット
書籍を出版することで、以下のようなビジネス効果があります。
- 信頼度向上 – 書籍を出版した事実自体が、企業や個人の信頼性を高めます。著者という立場は、その分野での専門性や第一人者であることを示す証にもなります。
- 認知度向上 – 全国の大型書店に並ぶことで、企業の認知度向上に大きく貢献します。書店はビジネスマンや情報感度の高い人が集まる場所です。書店展開は、情報を求める読者=潜在顧客への直接的なアプローチになります。
- PR効果 – 書籍そのものが広告効果を持ち、さらに新聞・テレビ・雑誌など他メディアとの連動により露出が拡大します。出版をきっかけに企業の注目度が高まり、書店だけでなく多様なメディアに取り上げられる可能性があります。
- 情報の集約 – 企業の歴史や創業エピソード、事業内容を一冊にまとめることで、情報の整理・集約が可能です。編集者の視点から、今まで気づかなかった魅力や新たな発見が生まれることもあります。
- 採用支援・理念浸透 – ミッションやビジョン、経営方針は企業規模が大きくなるほど伝わりにくくなります。書籍としてストーリー化することで理解が深まり、社員のロイヤリティ向上にもつながります。
- 長期的な活用 – テレビや新聞広告、Webと違い、書籍は息の長いメディアです。PR活動と組み合わせることで長期的な効果が期待でき、出版から数年後に反響があることも珍しくありません。
出版マーケティングの成功事例
・事例① 人材会社のケース
この企業は創業間もない若い会社で、経営者も社員も若年層でした。社名の認知度が低く、営業や採用にも課題を抱えていました。そこで、ビジネスや取り組みを一冊の本にまとめたところ、ネット書店で1位を獲得。プロモーションも併用した結果、出版前と比べ業績が500%アップし、毎月の新規契約数も10件以上増加しました。また、経営者の想いをストーリー化したことで採用にも効果があり、社員数は出版前の250%に増加しました。
・事例② 不動産投資会社のケース
新規顧客獲得に課題があり、新聞広告やホームページでセミナー集客をしていましたが、伸び悩んでいました。そこで、自社のサービスや事例を新しい切り口で本にまとめたところ、発売後の出版記念セミナーは即満席に。セミナー集客と新規顧客獲得を同時に実現でき、その後も書籍を通じた新規顧客獲得が継続しました。
・事例③ 食料品製造会社のケース
従業員数が数万人を超える企業で、企業理念の浸透など社員教育に課題がありました。M&A後ということもあり、会社の方向性を一致させるために書籍を制作。経営層から創業時の苦労を聞き、ノンフィクションストーリーとしてまとめ、社史として年表や歴史も整理した結果、離職率の低下に効果を発揮。現在は新入社員の教育ツールとしても活用されています。
このように、認知度向上、業績アップ、集客率向上、企業理念の浸透など、目的に合わせて書籍を作ることで経営課題の解決に役立つ有効なツールとなります。
出版マーケティングの流れ
出版マーケティングの流れは、 大きく分けるとプランニング、プロダクション、プロモーションの3つのステップになります。ただ本を作るのではなく、抱えている課題を本の力でどう解決するかを考え、プランナーや編集者、ライター、デザイナー、営業で一丸となって取り組みます。
1. 出版の目的とゴールを設定する
対外的な課題
- 商品やサービスの認知度の向上
- 企業のブランディング力の向上
- 集客や売上の向上
- 採用支援
対内的な課題
- 企業理念や経営方針の浸透
- 優秀な人材の育成
- 離職率の低下
- エンゲージメントの向上
ゴールが明確になると、読者ターゲットも自然に絞れます。また、完成した書籍をどのように活用するかを事前に考えておくと、制作をスムーズに進められます。
活用例としては、
- 書店経由でリードを獲得
- セミナーで配布
- WEB広告と組み合わせ集客用に配布
- 周年のイベントに合わせて配布
などがあります。
大まかでも構わないので、どのように活用するかイメージしてみてください。
2. 書籍の企画を立てる
・自社の強みや実績、伝えたいことを整理する
一般的な書籍は、少なくとも6〜8万字程度のボリュームが必要です。まずはプランナーとともに、自社やあなた自身の強みをテーマに書籍化できるか、これまでの実績や伝えたい内容を整理しましょう。出版時期の調整もここで行います。
企画内容によりますが、一般的なビジネス書の場合、企画立案から出版まで最低6か月程度は見込む必要があります。発売時期の決定とあわせて、PR活動や出版記念イベントなど、発売後のプランニングも進めていきます。
・読者(ターゲットペルソナ)にどう伝えるか
次に、読者ターゲットが本当に欲しい情報かどうかを考えます。同じ内容でも、初心者向けと上級者向けでは切り口が変わります。届けたい情報をどうすれば効果的にアピールできるのかを熟考しましょう。
自分たちにとって当たり前のことでも、第三者から見ると意外に興味深かったり、ニーズがあったりする場合があります。独りよがりな企画にならないよう、第三者の意見を取り入れることをおすすめします。
・読者(ペルソナ)像を具体的にイメージする
現在のトレンドや類書を知るために、実際に書店に足を運ぶのも有効です。書籍は一過性の広告とは異なり、息の長いメディアです。話題性だけを狙う企画よりも、ロングセラーを目指す書籍のほうが成功の確率は高まります。自分の本が書店のどのジャンルやテーマに置かれるのかを把握することは非常に重要です。
また、ターゲットがどの地域にいるのかもチェックしましょう。たとえばビジネス書が売れやすいのは、東京駅や新宿駅などターミナル駅の書店です。ただし、書店ごとに得意ジャンルや売れ筋テーマ、顧客層が異なります。大まかでも構わないので、ターゲットのペルソナを明確にすると、企画内容のイメージがしやすくなります。
3. 書籍を制作する
・出版社とのキックオフミーティング
ここからはいよいよ制作段階です。キックオフミーティングで、プロの編集者・ライターと顔合わせをし、全体のスケジュールや書籍内容のイメージを共有します。
・もくじ(本の設計図)の決定
キックオフミーティングを踏まえ、もくじの作成に進みます。もくじは書籍の設計図であり、ブックマーケティングのプロジェクトを進める羅針盤です。読者に魅力やストーリーをどう伝えるか、あなたの持つコンテンツをもとに多角的に検討します。
もくじの作り方について詳しく知りたい方はこちら↓
『もくじのつくり方とは?もくじの構成のつくり方を解説』
・取材とライティング
もくじ構成が決まったら、編集者とライターが著者に取材を行います。取材は1回あたり2時間程度を4回実施するのが一般的です。取材後、ライターによる執筆がスタートします。書き進める前に、導入部分などを試しに執筆してもらい、原稿の語り口やテイストを確認するとスムーズです。
・編集
執筆期間が終わると、編集作業に入ります。編集では、文章表現や見出しなどをブラッシュアップし、分かりづらい言い回しや整合性を調整して、より読みやすく仕上げます。同時進行で書籍のカバー制作も行います。
編集後の原稿は著者が確認し、誤りがないか校正を行います。入稿から約2〜3週間で書籍が完成します。
4. 書籍を流通・展開する
・全国への書店マーケティングとWeb施策
全国の主要書店へ配本すると同時に、さまざまなマーケティング施策を仕掛けます。発売に合わせて、読者ターゲットに向けた新聞広告やAmazonランキング1位の取得施策など、書籍に最適なプロモーションを展開します。
また、デジタル施策として書籍専用のLP制作や、書籍内容を活用したコンテンツマーケティングなども行い、Webを活用して顧客リストの収集や分析につなげます。
・ターゲットに確実に届けるプロモーション施策
発売と同時に主要メディアへのプレスリリースを配信し、新聞・雑誌・テレビなどへの掲載を狙います。さらに出版記念イベントやセミナーなど、プランナーが計画したプロモーションを実行。
出版後は、各書店での販売動向や購入者・書店員からのフィードバックを分析し、次の施策に活かします。これらのプロモーションは、書籍完成からおおよそ2か月程度をかけて実施します。
出版後の施策について詳しく知りたい方はこちら↓
『出版後のクロスメディア施策で書籍も名前ももっと売ろう』
まとめ
どんな本なら自社ビジネスに利益をもたらすのかを徹底的に考えることが企画の鍵です。
見込み客の獲得が目的なら、ターゲットのニーズや市場に沿った内容に。経営理念やビジョンの浸透が目的なら、創業当時のストーリーや創業者の人柄を描くことで企業イメージを向上できます。
サービスや商品の認知度向上が目的なら、開発の背景や苦労を伝えることでファンを増やし、競合との差別化も可能です。
あなたのビジネス成長の手段として、ぜひ出版マーケティングを検討してみてください。
株式会社クロスメディア・マーケティングなら、専属チームがあなたの課題解決をサポートします。
FAQ(よくある質問)
A. 出版マーケティングとは、集客・ブランディング・採用など企業の課題解決を目的に書籍を出版するマーケティング手法です。
A. 出版マーケティングのメリットとして、信頼性・認知度の向上、PR効果の拡大、情報の整理・集約、採用支援や理念浸透、そして長期的なブランド価値向上等が挙げられます。
A. 出版マーケティングはあらゆる業種に対応でき、IT、コンサルティング、士業、不動産、投資、健康・美容、教育など様々な業種で活用されています。

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