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売れる本の作り方。ベストセラー編集者が教えます!
売れる本と売れない本の違いをご存じですか。
本を作るなら、売れる本にしたいと思うのは当たり前ですが、では売れる本を作るには一体どうすればいいのでしょうか?
この記事では、年間約100冊以上のビジネス書籍を出版しているクロスメディア・パブリッシングに勤め、数多くのベストセラーを手掛けてきた編集担当者2名に、次の2つのポイントについて聞きました。
・売れる本を作るために重要な企画・コンテンツ制作について
・売れる本に共通する要素とは何か
売れる本は発売前からわかる?
導入でお話ししたように、本を作るときに出版社も著者も売れる本にしたいと思うのは当たり前です。しかし、丹精込めて作られた本が売れる本になれるかどうかは、発売前からわかるものなのでしょうか。
結論としては、「わからない」ですが、事前受注、事前予約などの盛り上がりによって、市場の反応はつかめます。ただし、出版後にどれだけの初速が出せるかは初版の部数や展開によって大きく異なるため、このことを予想するのも困難です。
しかし、売れる本になる可能性を上げることはできます。
売れる本を作るにあたって、タイトルや帯は、読者に手に取ってもらう過程で重要ですが、しかし、それだけではその本が売れる本になるかどうかは決まりません。
本を作るうえで、さらに重要なのはその企画・コンテンツやコンセプトです。書籍出版の根本といえるこの部分がしっかりとしていることは、売れる本を作るうえでの前提条件なのです。
帯の重要性についての記事はこちら↓
帯で売れるか決まる?!重要な本の帯コピーとは?
タイトルの考え方やテクニックについて詳しい記事はこちら↓
『売れる本の「タイトルの考え方」とは?ベストセラー編集担当者が教えます!』
売れる本を作るための根幹である企画・コンテンツ、コンセプトの制作
まず、企画立案の際には、その企画が世の中の需要と供給のバランスが取れている企画なのか把握する必要があります。
世の中の需要を把握するためには、分析をしっかり行い、根拠を集めることが欠かせません。出版社がもつ分析ツールやYouTubeの登録者数、SNSのフォロワー数などから出版時にどれほどの反響が見込めるのか、また、このような発信ツールがない場合は著者側からどのようなPRや宣伝が可能なのか、そのPRや宣伝はどこまでの効果が見込めるのか、このような数字上のバックボーンやデータがないと、売れる本を作るのは難しい時代になってきました。
さらに本のコンテンツ作成の際には、そのコンテンツにはニーズがあるのか、またそのニーズに適切に応える内容になっているのかが重要です。そして、そのニーズから読者層はどこなのか、どんなインサイトを持っているのか、ターゲットとなるペルソナを考えます。
また、企画・コンテンツに加えて、コンセプトづくりも重要度が増しています。
なぜコンセプトづくりの重要度が増しているかというと、コンテンツ数が爆発的に多くなっている今、そのコンテンツが「選ばれる」理由が必要だからです。そういった意味で、読者に興味をもってもらえるためのコンセプトづくりが重要になっているのです。
売れる本に共通する要素とは
以下ではここまで書いた点を踏まえて、売れる本に共通する要素を見てみましょう。
売れる本の要素
- ニーズがしっかりと捉えられており、それがパッと見の表紙や立ち読みで見るくらいの部分でアピールできていること
- きちんと書店の目につくところに置いていること、さらには複数ソースで目に入ること(AmazonやSNS、YouTube、LPなどデジタル面)
- 著者の独りよがりになっていないこと
- 読みやすいレイアウト、項目立てになっていること
- 読者に「親切」なこと(誤解なく、丁寧に伝えられていること)
あのベストセラーはなぜ多くの読者に受け入れられたのか
50万部突破のベストセラーとなった『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』(飛鳥新社)をご存じでしょうか? SNSで話題となり、版を重ねた大ベストセラーの書籍です。
この本は「繊細さん」という言葉がキーワードになっています。「繊細さん」とはHSP(Highly Sensitive Person)という心理的概念を「親しみやすく、伝わりやすい」かたちで置き換えた言葉であり、書籍の内容は、HSPと自覚している人々が、日常をラクに生きていくための手がかりが書かれています。
ではタイトルが「HSPの改善方法」だったらここまで手に取られたでしょうか?
HSPというワードを知っている人なら手に取ってみようと思う人はいるかもしれませんが、「繊細さん」と比べて、自分に当てはまると感じる人は少なかったでしょう。
また、HSPという表現ではネガティブに感じる人もいるかもしれません。しかし「繊細さん」なら「私のことかも?」と多くの人に受け入れられやすい表現に感じるかと思います。
実際に悩んでいる人(ニーズ)に届きやすいワードチョイスのタイトルと表紙、さらにSNSを中心とした発信(複数ソースで目に入ること)、さらに誰でも読みやすく、多くの人に受け入れられるコンテンツであることから、「繊細さん」の書籍はベストセラーになったといえるでしょう。
売れない本とは?
売れる本について詳しくご説明してきましたが、ここで一度「読みたくない本」はどんな本かをイメージしてみましょう。
例えば、フレーズの響きだけで決めたタイトルで、表紙を見たときに惹かれない(需要を感じない)、内容が著者の自慢話や自己満足になってしまっている、タイトルと帯コピーがちぐはぐであるなど、どれかひとつでも当てはまっている書籍は、手に取りたいと思う人は少ないでしょう。
このように、読者のことを考えられていないような本では、読者の購買意欲は刺激されず、売れる本にはなりません。当たり前ですが、読者がいてこその本なのです。
百戦錬磨の編集担当のアドバイスに耳を傾ける
本は出版したら必ず売れるというわけではありません。上記でご説明したように、データをしっかりと分析し、企画・コンテンツやコンセプトの制作に力を入れていくことが重要です。
また、自分の魅力の100%は自分自身ではわかりません。むしろ客観的に見たときに、より魅力が引き出されることも多いものです。自分ひとりでコンテンツすべてを作ろうとすると、自分が伝えたいことばかり語ってしまい、独りよがりの内容になってしまう場合があります。そのときは、客観的視点と業界に詳しく、出版経験も数多くある編集者と共に伴走しながら作成していくことをおススメします。
さらに、売れる本にする可能性を高めるには、本を出した後の施策を十分に準備し、出版したら販促のスタートが切れる体制を整えておくことも、重要な糸口になります。
本は出版したら終わりではなく、そこからがスタートと考え、先を見据えた施策を準備しておくことが、売れる本への一歩となるのです。
出版マーケティングの様々な施策についての記事はこちら↓
出版マーケティングの具体的なプロモーション施策