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The Truth 不妊治療の盲点

The Truth 不妊治療の盲点

  • 著者:黒田優佳子
  • 定価:2,200円(2,000円+税10%)
  • 発行日:2026年7月31日
  • ISBN:9784295412434
  • ページ数:224ページ
  • サイズ:188×130(mm)
  • 発行:クロスメディア・パブリッシング
  • 発売:インプレス

なぜ顕微授精を繰り返しても妊娠しないのか? 精子に隠された真実を解明! 元気に泳いでいる精子が「安全」とは限らない。「見えない」精子異常とは?

本書は、臨床精子学の第一人者であり、約40年にわたりヒト精子の研究と不妊治療に携わってきた産婦人科医師・黒田優佳子氏が、精子研究の最新成果をもとに、現在の不妊治療に潜む重大なリスクを明らかにした一冊です。「運動精子=良好精子」という従来の常識を覆し、一般精液検査では検知できない「隠れ異常精子」の存在と、それが治療の反復不成功や出生児の健康リスクにつながるメカニズムを科学的根拠に基づいて解説。顕微授精の限界と、安全な不妊治療のあり方を提唱しています。不妊に悩むご夫婦はもちろん、生殖医療に携わる医療従事者にとっても必読の書です。

●「運動精子=良好精子」という常識が覆った――精子に隠された不都合な真実
不妊治療の現場では長年、「精子が元気に泳いでいれば良好精子」という認識が定着してきました。しかし、著者の黒田優佳子氏が率いる精子研究チームの約40年にわたる研究により、高度に選別した運動精子であっても、遺伝情報の本体であるDNAが傷ついている精子をはじめ、様々な機能異常精子や内部構造異常精子が混在しているという事実が明らかになりました。これらの異常は通常の顕微鏡では検知できず、著者はこれを「隠れ異常精子」と呼んでいます。

本書によれば、顕微授精を繰り返しても成果にならない「反復不成功」の夫を対象に高精度精子検査を実施すると、その約8割に隠れ異常精子が発覚するといいます。

さらに衝撃的なのは、コロンビア大学の10年間・590万症例の大規模疫学調査で、「自然妊娠で生まれた子どもに比べて顕微授精で生まれた子どもに自閉症スペクトラム障害の診断率が約2倍高い」と報告されていることです。アメリカ政府CDC(疾病対策予防センター)もこの結果を主要な調査結果として発表しています。

●顕微授精は万能ではない――「最大のメリットが最大のデメリットになる」という逆説
顕微授精は「精子1匹を卵子に注入して人工的に授精させる」技術であり、必要な精子がたった1匹で済むこと、人工的に授精を可能にする利便性から急速に普及し、現在では生殖補助医療の主流となっています。しかし著者は、この最大のメリットこそが最大のデメリットになると警鐘を鳴らします。

顕微授精は精子の「量的不足」に対処する技術であり、DNA損傷をはじめとする精子の「質的異常」を解決できる技術ではありません。本来受精にかかわることが許されない危険な異常精子でも、人工的に授精させてしまうリスクがあるのです。著者は「顕微授精をしないで済むのならば、しないに越したことはない」という診療ポリシーのもと、顕微授精を回避できる独自の「人工卵管法」を開発。従来の体外受精の100分の1以下という極めて少ない精子数で受精を可能にする画期的な技術です。

本書では、顕微授精を最大48回繰り返しても成果にならなかったご夫婦が、人工卵管法により妊娠・出産に至った事例など、5つのクライアントエピソードも紹介。「不妊治療のゴールは妊娠ではなく、健常に生まれて平均寿命まで健康に生きること」という著者の信念が貫かれた一冊です。

●精子研究40年の集大成――「精子が先」の新しい不妊治療モデルを提唱
現在の不妊治療は、科学的根拠に基づいた精子の詳細情報が乏しいまま、「男性不妊ならば即顕微授精」「採卵を繰り返していればいつかは妊娠する」という画一的な「卵子(採卵)が先」の治療が定着しています。しかし著者は、まず高精度精子検査で精子の品質を見極めるところから始める「精子(採精)が先」の個別化治療モデルへの技術革新を提唱しています。

著者が開発した9項目にわたる高精度精子検査は、DNA損傷・DNA断片化検査、頭部細胞膜損傷検査、頭部内空胞検査など、分子生物学的手法により隠れ異常精子を高精度に検知するものです。本書では、これらの検査で撮影された多数の精子写真も掲載されており、「百聞は一見にしかず」で理解を深めることができます。

著者は「不妊治療は究極の個別医療」であるとし、院長一人が診療・処置・手術から精子の検査・選別、卵子や胚培養に至る全工程を一貫して実施するという、完全個別化の治療体制を確立。「生殖医療の本質は命を造る医療」であり、部品(精子)の品質管理を徹底することで、平均寿命まで元気に過ごせる子どもを誕生させることを目標としています。
本書は、不妊に悩むご夫婦が正しい精子情報を取得し、最適で安全な治療を選択するための道標となる一冊です。

▼本書にぴったりの方
・不妊治療を検討中、または現在治療中のご夫婦
・顕微授精を繰り返しても成果が出ず悩んでいる方
・精子の状態が悪いと言われ、不安を感じている方
・顕微授精で生まれた子どもの発達に不安を抱えている方
・男性不妊について正確な情報を知りたい方
・生殖医療に携わる医師・胚培養士・看護師などの医療従事者

著者紹介

黒田優佳子

産婦人科医 / KURODA International Medical Reproduction 院長
1987年 慶應義塾大学医学部卒業、産婦人科医師の中でも極めて珍しい「臨床精子学、ヒト精子の研究」を専攻。1995年 慶應義塾大学大学院医学研究科修了。「受精できるヒト精子の選別法と評価法」を確立し、博士号(医学)取得。その後、東京大学医科学研究所にて、不妊治療で生まれてくる子どもの健常性向上に向けて、精子研究に従事。1997年慶應義塾大学医学部・産婦人科学教室 女性医師初の医長就任。
2000年 長年の研究成果を男性不妊の患者様に直結して橋渡しするためにKURODA Clinic:Reproduction Research Centerを設立。院長一人が一貫して、診療・処置・手術の他、精子の検査・選別、卵子や胚培養に至る全工程を統括して実施するとい う、「完全個別化」不妊治療体制を確立。2003年 高精度精子検査部門を拡張、KURODA International Medical Reproduction:KURODA IMRと改称。
2004年 東邦大学医学部第一産科婦人科学教室 客員講師、2006年 お茶の水女子大学理学部大学院遺伝カウンセリング 非常勤講師、2024年 福島県立医科大学ふくしま子ども・女性医療支援センター 特任教授就任。同時に東京大学定量生命科学研究所病態発生制御研究分野・岡田由紀教授と「精子機能異常の分子生物学的解析」に関して共同研究開始。

目次

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序にかえて 慶応義塾大学名誉教授・福島県立医科大学副学長 吉村泰典

 

自己紹介させてください

 

はじめに

・正確な精子情報を周知すべく使命感に駆られて
・顕微授精が、男性不妊「精子の問題」を解決できていない
・不妊治療のリスクに直結する「精子に隠された問題」

 

 

プロローグ

研究目的は、不妊治療で生まれる子どもの健常性向上
・実は不妊治療は、究極の個別医療
・精子が少ない!元気がない!となると、即男性不妊と診断 1匹でも精子がいれば、即顕微授精……これが現状
・顕微授精に用いる精子選定基準に科学的根拠が乏しい アメリカ政府CDCの見解は?
・不妊治療で生まれる子どもの健常性向上を目指した生殖補助医療の安全戦略とは?

 

1章 精子の誤解と真実

ヒト精子の研究が進み『精子に隠された不都合な真実』が明らかに!
・不妊になる原因の約半数は、男性側の精子に問題がある
・ウシ精子の研究が、ヒト精子の間違った認識を定着させた
・ヒトでは「運動精子=良好精子ではない」 運動精子の中に潜む『隠れ異常精子』が発覚!
・見逃されてきた不妊原因……それは隠れ異常精子!
・隠れ異常精子の背景には、生まれつきの問題、遺伝子異常が関与
・隠れ異常精子が治療を難航させ、出生児へのリスクになる
・加齢よりも遺伝子異常が、精子の質の低下に大きく影響する
精子研究の進歩から見えてきた生殖補助医療の限界
・精子と卵子の出会いは奇跡的!
・生殖補助医療に用いる精子に求められる条件とは?
・生殖補助医療を実施する前の必須チェックポイント
・精子研究の進歩により浮き彫りになった『精子に隠された不都合な真実』
・精子側から見えてきた生殖補助医療のリスク予防法
ヒト精子は形成過程でDNAが損傷する宿命にある
・精子には、どのような役割があるのか?
・運動精子の中に、DNA損傷をはじめとする機能異常精子が混在する理由
・精子形成を司るY染色体が「1本」しかない、このことが精子異常を誘発する
・精子DNAの傷は、出生児の健康に影響を及ぼす
・治療前に異常精子確認して、排除することが不可欠!

 

2章 精子検査の誤解と真実

男性不妊の診断に不可欠な精子検査
・一般精液検査で何が解るのか?男性不妊の診断の現状
・一般精液検査の落とし穴
・実は、一般精液検査の落とし穴を克服できる手段がある!
一般精液検査で見逃された『隠れ精子異常』を検知する高精度精子検査
・「DNA損傷・DNA断片化」検査
・頭部「細胞膜損傷」検査
・精子凍結保存「耐凍能力」検査
・頭部内「空胞」検査
・頭部膨潤試験
・「先体構造」および「先体機能」検査
・「頭部外部形状」「中片部」「尾部」形態検査
・「中片部局在」および「中片部代謝機能」検査
・精子「結合抗体」検査
安全な不妊治療の実施には、高精度精子検査が必須
・高精度精子検査をお勧めできる方

 

3章 男性不妊の誤解と真実

精子研究の遅れが招いた問題は何か?
・不妊原因の約半数が男性不妊!しかも精子異常
・精子異常の原因~先天的な問題~ 実は、治療対象の精子異常の大半は「遺伝子異常」
・精子異常の原因~後天的な問題~
・性機能障害の原因
・精路通過障害の原因
顕微授精の誤解と真実
・顕微授精は万能ではない
・隠れ精子異常に気づかないまま、遺伝子異常を克服できない顕微授精を繰り返しても……
・施設が掲げる「平均妊娠率」に惑わされないで!
・ここ20年以上、顕微授精の妊娠率は横ばい
・「軽度」な精子異常がある場合こそ、顕微授精は怖い
・「顕微授精」「精子異常」「精神発達障害」の因果関係
・精子側から見た、安全な顕微授精
・『精子が先』の不妊治療モデルに技術革新
・実は、顕微授精を回避できる治療法がある!
精子凍結保存の誤解と真実
・ヒト精子凍結保存技術の開発は大変難しい!
・精子凍結保存のメリット
・精子凍結保存の問題点

 

4章 黒田が目指す生殖医療の安全戦略

男性不妊に悩むご夫婦の力になりたい!安全を最優先にした、究極の個別化不妊治療
・安全な不妊治療の始まりは「個別カウンセリング」から
・黒田が手掛ける「高度な精子選別技術」
・黒田IMRでしかできない「人口卵管法」で顕微授精を回避しよう!
・最適かつ安全な「個別治療」の実現のために……研究者と医師の両面から院長自らが全行程を実施

 

第5章 クライアントカップル・エピソード紹介

事例1 妻43歳
事例2 妻42歳
事例3 妻33歳
・事例1~3のまとめ
事例4 妻26歳
事例5 妻35歳
・エピソードを踏まえて……出口戦略がなく、入口戦略も不十分な生殖補助医療

 

 

おわりに

・男性不妊治療の安全性向上には、正しい精子の知識と技術の普及が急務
・生殖医療の本質は、命を造る医療
・不妊治療のゴールは、健常に生まれて平均寿命まで健康に生きること
・不妊治療は、究極の個別医療