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人数が少なくても忘れられない存在になる知名度
「広く浅い」か「狭く深い」か
「狭くても深い知名度なんてあるの?」「知名度って沢山の人に名前を憶えてもらうことではないの?」・・・確かに。しかし人数は限られても名前だけでなく深い印象を記憶に残す知名度もあるのです。今回はそんな知名度と、その知名度を上げる方法を解説します。
鍵となるのは再生知名度(純粋想起)と想起集合です。
狙うのは再生知名度3位以内
一言で知名度と言っても、実は3種類あります。
再認知名度(助成想起)
「その名前を知っている・聞いたことがある」というレベルの認知度です。
再生知名度(純粋想起)
「この商品カテゴリー(例えば、台所洗剤や高級車など)で知っている商品名(銘柄名)をいくつか言ってください」と問われた際に、名前が挙がるかどうか、というものです。
第一再生知名度(MindShare)
2の質問に対して、最初に答える商品名(銘柄名)です。
これらの数字の高さは、一般的に「再認知名度>再生知名度>第一再生知名度」となります。一方、商品選択への影響度は「再認知名度<再生知名度<第一再生知名度」となり、再生知名度が高いほど、購入に繋がりやすいと言えるでしょう。
現実に狙うのは再生知名度
第一再生知名度(MindShare)で高い数字を獲得するのが理想であり、最も強力です。しかし、現実には容易ではありません。多くの場合、実際の販売実績No.1(もしくは人気No.1)の商品が第一再生のポジションを占め、多少の努力でこの地位を覆すことは難しいでしょう。
従って、多くの商品にとって、現実的に狙えるのは再生知名度となります。しかしこの再生知名度は、何番手でも良いというわけではありません。
再生知名度に近い概念:想起集合
ここで、再生知名度と近い概念である「想起集合」について説明しましょう。想起集合とは、何かを買おう、選ぼうと思った時に、選択肢としてお客様の頭に思い浮かぶ商品のことを指します。お客様に買ってもらう、選んでもらうには、この想起集合に入っていないとチャンスはありません。
想起集合と再生知名度は、前者が実際の商品選択の候補になっているか否か、後者が単に記憶にあるか否かと意味が違いますが、実際に調査などで計測してみると、スコアとして極めて類似していることが多いのです。そして、この想起集合には経験則的に面白い特徴があります。
人の想起集合は大抵3つ
実際に、多くの商品カテゴリーで調査してみると、多くのお客様は3つの商品(時に2つ)を比較検討し、その中から選んで買っていることが分かります。たとえ売られている商品が10個あったとしても、お客様が実際に比較検討するのは、せいぜい3つの中からなのです。
つまり、お客様にとって3位以内に入らないと、買ってもらえるチャンスはないということになります。想起集合と限りなく近い傾向を示す再生知名度も、同じことが言えるでしょう。
再生知名度は3位以内で威力を発揮する
再生知名度は、ただあれば良いというわけではありません。3位以内でなければ、成果を生み出さないのです。知名度で集客しようと思うなら、何としてでも再生知名度3位以内を狙う必要があるといえるでしょう。では、一体どうすれば再生知名度3位以内を獲得できるのでしょうか。
再生知名度3位以内を獲得する方法
再生知名度3位以内を確実に獲得する方法の一つは、その商品カテゴリー(市場)でNo.1になることです。販売実績No.1、もしくは人気No.1になることができれば、多くの場合、真っ先に想起される商品、つまり第一再生知名度を獲得できます。ですが、現実には容易ではありません。
そこで、もう一つの方法として、No.1に対する差別化戦略でNo.1に近い存在感を獲得することが挙げられます。「二者一騎打ち」「両雄相まえる」といった状況に持ち込むことができれば、再生知名度2位、あわよくば1位も狙えます。しかし、これもまた容易ではありません。
圧倒的大多数を占める、それ以下の商品はどうすれば良いのでしょうか。一つの方法として、大量露出があります。テレビ広告やディスプレイ広告を、他の同業他社を凌駕する圧倒的な規模で展開することです。また、特別な話題があればSNSでバズらせ、爆発的に拡散させる方法もあるでしょう。
何万人、時には何百万人に最低3回*は目にさせ、記憶させるという手段です。やや強引な手段ではありますが、同じようなことをしているライバルがいなければ、再生知名度3位以内に入れる可能性はあります。
*広告のスリーヒットセオリー:広告は3回見せて初めて効果を発揮するという理論
しかし、ここで提案したいのは、もう一つの方法です。それは、記憶してもらう人の数は少なくても構わないので、深く印象に残り、信頼できる情報を提供することです。見てもらったその限られた人にとっては、3位以内のポジションを獲得できるでしょう。多くの人に名前を記憶させるのではなく、少ない人でも忘れられない存在として記憶されるのです。
その結果、数は多くないものの、その人に対しては選ばれる可能性の高い企業・事業者になれるのです。全国的に大々的に事業展開する企業は別として、多くの企業・事業者にとっては、十分な成果ではないでしょうか。
「情報の信頼性=専門性×公正さ」
では、深く印象に残り、信頼される情報とは一体何でしょうか。「情報の信頼性=専門性×公正さ」と言われます。つまり、専門的な知見に裏付けられ、かつ第三者的客観性が担保された情報ということです。この「深さ」「専門性」「公正さ」の3拍子揃った情報を提供する手法(メディア)とは一体何でしょうか。
様々な施策やメディアを検証してみると、広告やカタログ・パンフレット、店頭POP等の宣伝物は、商品の売り手が自社商品を売るために都合の良い情報を発信する手法なので「公正さ」は全くありません。
プレスリリース等の第三者メディアが発する情報は、公正さはありますが、少ない情報量しか提供しないため、深さまで求めるのは難しいでしょう。ウェブサイトも、本文は広告やカタログと同じ宣伝物なので公正さはありません。お役立ち記事はある程度公正さがありますが、やはり深さに限界があります。
SNSも、拡散性を期待すればするほど、一言メッセージやワンビジュアルになるため、深さや専門性は期待できません。展示会、本社ショールーム、体験イベント等も、宣伝のための施策なので、深さや専門性は担保できても、公正さには乏しいと言わざるを得ません。
実は、この3つを全て担保できる手法、それこそが書籍なのです。書籍は、コンテンツの分量が他のメディアを圧倒します。深い内容や専門的な知見を伝えるのに十分ですし、読者もそのつもりで読みます。
また、書籍はお客様がお金を払って購入するものです。企業の宣伝文句が散りばめられた書籍を買って読む読者はいません。値段がついて売られているということは、情報に客観性・公正さがあり、読者が宣伝物ではなく、普通の読み物として読めるということの証左です。
書籍を出版する様々な効果
書籍を出版することには、様々なメリットがあります。まず、「書籍=専門性の証」です。他のどんな宣伝文句よりも、書籍の存在が出版企業の専門性を強く深く相手に印象付けます。専門性を売り物にする事業・企業にとって、これほど良い手法はありません。
また、書籍では、企業の深い魅力、例えば企業の哲学(これだけは譲れないこだわり等)、企業の物語(創業の志から苦難を乗り越えてきた歴史等)、企業の人柄(人間的側面を表す日頃の行動立ち振る舞い等)といった、普通の施策ではなかなかアピールできない内容も容易に伝えることができます。
さらに、書籍の内容を5~10のウェブ記事に書き換え、自社ウェブサイトのお役立ち記事等で掲載すると、訪問者獲得という現実の集客に繋がります。
ウェブ記事ではなくダウンロード資料にしたり、書籍の内容をセミナーで行ったりすると、見込顧客(リード)獲得という、さらに直接的な集客効果を発揮します。つまり、書籍の出版は、名前を売るというブランディング効果だけでなく、訪問者獲得や見込顧客獲得といった顧客獲得効果も狙えるのです。
おわりに
知名度を上げる方法は様々ですが、実際の集客に繋げるためには、再生知名度3位以内を目指すことが重要です。そして、再生知名度を上げるには、必ずしも多くの人に名前を覚えてもらう必要はなく、限られた人でも「忘れられない存在」になることが有効です。
そのためには、「深さ」「専門性」「公正さ」を兼ね備えた情報を提供する必要があり、その最適な手段こそが書籍の出版なのです。
書籍の出版は、専門性を証明し、企業の魅力を深く伝えるとともに、ウェブサイトへの訪問者獲得や見込顧客獲得といった、具体的な集客効果も期待できます。ぜひ、書籍出版を検討してみてはいかがでしょうか。