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ブランドロイヤリティとは?そのメリットとロイヤリティ向上のためになにを行うのか
昨今のビジネスシーンにおいて、ブランドロイヤリティの向上に注力する企業は年々増えてきています。
ブランドロイヤリティの向上は自社にとって利益につながるメリットが多く、非常に重要視されているのです。
本記事では、ブランドロイヤリティとは何か、そのメリットとは何か、そしてどのようにして高めていくべきかという事をご紹介いたします。
ブランドロイヤリティとは
ブランドロイヤリティ(ブランドロイヤルティともいわれる)とは、英語の「Loyalty」(意味:忠義/切り/誠実)からきており、そのブランドに対する消費者の忠誠度や愛着、要するに「このブランドを選びたい」という顧客の気持ちのことを指します。
日本では「銘柄忠誠度」「銘柄忠実度」などともいわれます。
似た発音の言葉として「Royalty」(ロイヤリティ)がありますが、こちらの単語は「著作権・特許権・商標権」などの「使用料」を表しています。
日本語で2つの表記を分ける場合、愛着の「Loyalty」がロイヤルティ、使用料の「Royalty」がロイヤリティと分けて表記されることもあるそうです。
本記事ではブランドに対する愛着などの意味として「ブランドロイヤリティ」と統一して表記していきます。
消費者がある商品やサービスを購入する度に、同じブランドのものを繰り返し購入し、他ブランドで類似している商品やサービスがあっても、特定のブランドのみを選ぶという顧客が多いブランドは、ブランドロイヤリティが高いといえます。
そして、ブランドロイヤリティはブランド・エクイティーの一部とされています。
「ブランド・エクイティー」とはブランド資産という概念を意味しており、顧客からの知名度や信頼度などといった無形の資産のことを指しています。
ブランド・エクイティーはディビッド・アレン・アーカー名誉教授が提唱したモデルによると、5つの要素で構成されているとされています。それが「ブランド認知」「知覚品質」「ブランド連想」「その他の知的所有権のある無形資産」そして「ブランドロイヤリティ」です。
そしてこのブランドロイヤリティは、ブランドの売上や利益などに直結する概念であるため、最も重要視される要素なのです。
ブランド・エクイティーとは?詳しい記事はこちら↓
『ブランド・エクイティーの重要性とは?企業ブランディングの成果!ブランドは社長より偉いってホント?』
参考文献:参考文献:デービッド・A. アーカー (著)『ブランド・エクイティ戦略―競争優位をつくりだす名前、シンボル、スローガン』
「ブランドロイヤリティ」「顧客満足度」「顧客ロイヤリティ」何が違う?
ブランドロイヤリティについて調べていると、「顧客満足度」「顧客ロイヤリティ」という言葉もよく目にするかと思います。
以下では何が違うのか、3つの言葉の違いについて解説します。
顧客満足度
顧客満足度とは、顧客がその商品やサービスに満足しているかどうかという指標になります。
顧客満足度はブランドロイヤリティの前提の一つです。
顧客満足度が低ければ、その商品やサービスが顧客の充分に満足させられていないということであり、他ブランドではなく自社のブランドを選び続けたいと思わせることができないので、ブランドロイヤリティが高いブランドは、顧客満足度も高いでしょう。
しかし、顧客満足度が高いからといってブランドロイヤリティが高いとも限りません。商品自体の価値には満足しているけど、絶対にそれがいいとは限らないため、他社にも似た良い商品があれば、価格や付加価値などの条件次第でその商品を選ぶという人も多いでしょう。
顧客ロイヤリティ
顧客ロイヤリティとは、そのブランドを提供している企業に対しての忠誠心や愛着を示す指標です。
好きなブランドを提供している企業だからその企業を気に入ることもあれば、その企業の商品だからどんな商品、ブランドでも良いものだと期待する人もいるでしょう。
ブランドロイヤリティと顧客ロイヤリティは、何に対して忠誠心や愛着を示しているのかというところが違うのです。
ーブランドロイヤリティ・顧客満足度・顧客ロイヤリティの違いー
ブランドロイヤリティ:特定のブランドに対する愛着、忠誠心を示す指標
顧客満足度:顧客が商品やサービスに満足しているかを示す指標
顧客ロイヤリティ:ブランドを提供する企業に対する愛着、忠誠心を示す指標
ブランドロイヤリティを高めるメリット
リピート率の向上
自社の顧客は「新規顧客」と「リピート顧客」の2つがあります。
昨今、世の中には数多くの似た商品・サービスがあり、どの業界も年々新規顧客を獲得することが難しくなっています。
ここで売上を上げるために重要なのが、リピーターの創出です。
マーケティングでは「1:5の法則」があります。これは一般的に企業が新規顧客を獲得するには既存顧客の維持と比べて5倍のコストがかかるとされているという法則です。要するにリピーターを増やす方が新規顧客を増やすよりも低コストで利益を上げる事に繋がるのです。
ブランドロイヤリティを高めれば、その分、顧客はブランドの有益性を強く感じ、繰り返しそのブランドへの商品を買ってくれるリピーターになってくれます。
要するに、ブランドロイヤリティを高めることで、リピーターが増え、リピーターが増えれば、コストや手間をおさえて、安定的に顧客を確保できるようになるのです。
顧客単価の上昇による売り上げ向上
ブランドロイヤリティが向上し、ブランドに対して強い愛着がある場合、そのブランドが提供している他の関連商品やサービスを好意的に感じ、購入してくれる可能性が高くなります。
例えば、あるブランドのシャンプーが気に入った場合、そのブランドのリンスやヘアパック、ヘアオイルも購買してみようかなと考える人も多くなるということです。
更にはそのブランドを所有する企業が販売している他の商品、サービスに対しても興味をもち、購買してくれることもあります。
結果的に顧客単価が上昇し、全体の売り上げに直結するのです。
広告費の削減
ブランドロイヤリティが高い顧客はそのブランドのファンといえます。
ファンは、他ブランドに同じような商品がでても振り向かず、宣伝をしなくても購買し続けてくれる、根強いリピーターです。
さらにファンは、新しい顧客に対して自社ブランドの宣伝もしてくれる優秀な宣伝隊長にもなります。
自分が気に入っている商品は、他の人にも知ってもらいたいと考える人は多く、顧客は自発的にSNSや口コミで宣伝してくれるのです。
このように、ブランドロイヤリティが高ければ、無駄なコストをかけて宣伝する必要が無くなり、宣伝費のコスト削減に繋がるのです。
価格競争からの脱却
ブランドロイヤリティが高まり、愛着度が高まると、顧客にとって「他のものには変えが効かない特別なブランド」になります。
他に価格が安く、似た商品が別ブランドで販売されても比較もせず自社の商品を選んでくれるようになるのです。
ブランドロイヤリティが高くなりこのような「指名買い」が増えれば、結果として、同じ市場の価格競争に巻き込まれることなく、高い商品価値を維持しやすくなります。
ブランドロイヤリティを高めるには
顧客のニーズにあった商品やサービスの提供
顧客のニーズを研究・調査し、そのニーズに合わせた商品やサービスを提供することは当たり前のことに感じるかもしれませんが、ブランドロイヤリティの向上には必須です。
どれだけ良い商品でも顧客のニーズをつかみ、需要があるものでなければその商品、サービスが選ばれることはありません。
そのためにも、アンケートやSNSの反応など、顧客の生の声を集め、それを元に商品開発や改善、キャンペーンなどのアクションを行っていくことで、顧客のニーズに答えていくことができるでしょう。
まずは、顧客のニーズを満たし、そのうえでブランドのオリジナリティや付加価値が必要になってきます。
飽和社会の昨今では類似商品は多いため、そのブランドならではの魅力を用意することが、ブランドロイヤリティを高めることに繋がります。
ブランドへの愛着や親近感の創出
ブランドロイヤリティを高めるには、その名の通り、顧客にそのブランドの愛着を抱かせることが非常に重要です。
愛着を高めるには親近感の創出が大切です。
そのためには、まず重要なのは丁寧で親切な接客です。第一印象が悪ければ、まずその商品を買いたいと思う人はいないでしょう。
そして次に、購入後のきめ細やかなカスタマーサポートによってブランドへの信頼が生まれます。
また他にも、ポイントカードの発行やブランド専用アプリへのポイント付与などで繰り返し来店してもらう仕掛けを作ったり、年会費を払うと会員限定の特典やサービスが受けられるなど、このような他社との差別化を行うことで、そのブランドを利用し続けたいと思える動機を作ることが必要です。
このようなさまざまな手法を利用することで、顧客のブランドが日常に入り込み、ブランドに対する顧客の感情移入の度合いを高めることができます。
どのように顧客満足度を高められるか、そしてそれをどうブランドロイヤリティに繋げるのかが重要なのです。
ブランドストーリーの作成
ブランドロイヤリティを上げるために行うブランディング施策は様々ですが、近年特に注目されているのがストーリーブランディングです。
ブランディングで何よりも大切なことは世界観を統一し、方向性を一貫させることです。そのブランドの商品・サービスの背景であるストーリーを発信することで、ブランドの世界観を顧客の心に定着させることができます。結果、共感や愛着などポジティブな印象を与えることができ、ブランドロイヤリティの向上に効果があります。
ストーリーブランディングについて詳しい記事はこちら↓
『ストーリーブランディングの重要性とは』
また、このストーリーブランディングは書籍との相性がよく、ブランドの商品・サービスのストーリーをディープコンテンツである書籍にまとめ出版することを企業出版(ブランディング出版)といいます。
企業出版ではその企業が伝えたいストーリーを十分に詰めこむことが可能であり、書籍を用いたストーリーブランディング施策は近年注目されているのです。
企業出版について詳しい記事はこちら↓
『企業出版とは?一番わかりやすい入門編~メリットや事例、費用まで~』
ユーザーコミュニティなどを形成する
ブランドとユーザーの繋がりも大切ですが、ブランドを通してユーザーである利用者同士が繋がるコミュニティを形成することもブランドロイヤリティを高めることに繋がります。
昨今では、TwitterやInstagramなどSNSにブランド公式のアカウントを活用したり、SNS上でタグなどを生成することで比較的簡単にユーザーコミュニティが形成できるようになりました。
商品やサービスに対する不満やより良い利用方法を募集、紹介するなど、定期的にユーザーに対するリアクションや限定キャンペーンのようなものがあるといいでしょう。
また、リツイートやリポストなどで複数のユーザーを紹介することも効果的です。
コミュニティ内でユーザー目線で実際の使用感や利用方法がわかると、宣伝などのように抵抗感を覚えることなく、自然に信頼感を得ることができます。
そして、ユーザー同士の情報共有が活性化すると、コミュニティの仲間意識もつよくなり、自然とブランドに対する愛着も高まります。
もちろん、ファンが直接集まるユーザー会やイベントを行うことも、参加者同士でより強い仲間意識が芽生え、さらに効果的でしょう。
まとめ
ブランドロイヤリティを高める事は自社の売り上げに大きく貢献するため、非常に重要視されています。
そのためにも自社に合った施策を用いてブランドロイヤリティを高めていかなければなりません。
しかし、せっかく施策を行っても、自社のブランドロイヤリティが高まっているのかどうかがわからないと、PDCAを回すことができません。ブランドロイヤリティの測定とはどのように行うのでしょうか?
ブランドロイヤリティの測定について詳しい記事はこちら↓
『企業ブランディングの効果測定方法とは?』
まずは、自社のブランドは顧客にどう思われているのか、ブランドロイヤリティはどうなのかを改めて考えてみるといいでしょう。