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企業ブランディングの担当部署はどこが最適?

# 企業ブランディング

会社として企業ブランディングに取り組むことが決まった時、「さて、ではどの部署が担当する?」となったことがある会社は多いのではないでしょうか。
広報部?営業企画部?経営企画室?それとも新たに専任のブランドマネジメント室を立ち上げる?多分そのどれも上手くいかないでしょう。
では一体どの部署、そして誰が担当すれば良いのでしょうか?

企業ブランディングはどの部署がやる?

近年、ブランディング、特に企業ブランディングに取り組むことが企業のためになるということは証明されつつあります。

では、企業ブランディングは社内のどの部署が担当するのがいいのでしょう?
このような悩みを持つ経営者は、結構いるのではないでしょうか?

企業ブランディングは全社的活動になります。

そのため、特定の部署でなく、全部署横断でやるのが良いはずです。

とはいえ、やはり中心となって進行する主管部署のようなものがないと、何も進まないのではないのでしょうか?

「やはり広報部・宣伝部?」
「『売り』に結び付けるため、営業部門、例えば営業企画部等が良いのではないだろうか?」
「全社的取り組みなのだから、経営企画室か社長室であるべきだ」

このような議論は続きますが、決定打がありません。

特定部署を担当にする弊害

実は、どこか特定の部署に企業ブランディングを担当させることには弊害があります。

「なんで〇〇部が企業ブランディングをやるんだ?彼らはブランドの専門家ではないのに」

「〇〇部とウチの部は何かと意見が合わない。そんな〇〇部が担当になるなら、正直言ってあまり前向きになれないな」

「〇〇部って広告代理店◇◇と深い関係なんだよな。◇◇のいいようにされるだけになりそう」

「〇〇部の部長の手柄になるのは我慢ならないな。協力したくない」

このような意見は決して極論ではなく、もちろん表立っては言わずとも、大企業の場合、むしろよくある意見だと思います。

セクショナリズムの蔓延は良くないと言っても、企業とセクショナリズムは切り離せない関係です。

特に大企業は多くの事業部が張り合って(サイロ化して)いるため、相互不信感、嫉妬感が根底にあり、特定部署が他の部署を仕切ってリーダーシップを発揮するのは難しいのです。

ブランドに特化した専門組織を新たに作るべき?

どこかの部署に任せるのが難しいなら、新たにブランド戦略室、またはブランドマネジメント室などの新組織を立ち上げ、その部署に企業ブランディングに関する社内のリソースを集約させ、リーダーシップを取ってもらうのがいいのでしょうか?

これも確かに一理あります。

しかし、私はこれも上手くいかないことが実際は多いと考えています。

新組織だからこそ、ブランディングに関する知見・スキルが不足しており、既に実務で成果を上げている他の既存部署をなかなか上手くまとめ上げられないためです。

社内の戦略的テーマとして脚光を浴びていることへのやっかみもあり、ただでさえ忙しい既存部署の社員はなかなか全面的に協力する気持ちになれないのです。

その結果、新部署が社内で「離れ小島」のような部署になり、本来目指したブランド業務よりはるかに小さな業務しかできなくなることが多いのではないでしょうか。

そしてもう一つ、既存部署の協力を得られにくい、より根本的な理由があります。

根底に存在する通常の販売業務とブランディングの「食い違い」

販売業務、宣伝業務、マーケティング業務に携わっている人にとって「ブランディングが煩わしい」、「ブランディングに束縛されたくない」と感じることは結構多いのではないでしょうか。

ブランディングは一度ルールとして規定されると、「一貫性」「継続性」をもって取り組まなければならないため、日常業務に対してもそのルールを守ることを求めてきます。

社員が自由に発想し、伸び伸びと企画しようとしても「それはルールを逸脱している」ということで却下されるということが出てきます。

自身の目の前にある課題に対してあらゆる方向から解決策を模索している社員にとって、ブランディングとは自身の考えや仕事の進め方を「一定の枠内に閉じ込める存在」「束縛する鬱陶しい存在」なのです。

「現場優先」という旗印を掲げ、ブランド戦略室が言ってくることを軽視・無視する社員・部署が発生するのはある意味自然なことです。

ブランド特化部署の設立が「離れ小島化」「現場との乖離」を引き起こすのです。

ブランドとデジタルは似てる?

その業務や事業が重要なのはわかっているが、経営者も社員も知識・経験がなく、どうしたら良いかわからない時、あなたはどうしますか?

「良くわからないから新たに専門部署を作って、そこに任せよう」

このように新部署の設立をしたことはないでしょうか?

全社的に取り組まなければならない課題なのに、皆良くわからないので特定部署に押し付け、取り組んだ気になっていませんか。

これではその事業が上手くいくことはないでしょう。

これはブランドやCIなどで犯してきた日本企業の失敗パターンですが、今デジタルで同じことが起きていると私は思っています。

全社的に取り組まなければならない事なのに、デジタルの専門部署を作ってそこに良くわからないデジタル業務を押し付け、他の既存組織は知らないふり。

そして結局、その部署が上手くいかないと「デジタルは弊社に合わない。今までのやり方で良いのだ」と自己正当化し、自身の保身に走ってしまうのです。

または、EC等の業務のみを行う「離れ小島」として独立、本流の販売業務を従来どおり行う部署になってしまいます。
これらが、日本企業のデジタル化の遅れの一つの原因だと思います。(デジタル庁も同じ発想だと考えています。)

では一体どの部署が担当すれば良いのか?

広報部、営業企画部、経営企画室のような既存部署は不適であり、さらにブランド戦略室、ブランドマネジメント室などのブランド特化型の新組織も不適とすると、一体どの部署が担当するのが良いのでしょうか?

私は「経営トップが担当するのが良い」と思っています。

「そんなの答えになるか」と反論されるかもしれませんが、社長、もしくはそれに次ぐ現場最高責任者(副社長や専務取締役など)、または次期社長と皆から期待されているホープ(オーナー一家子息)が自ら音頭を取ってリーダーシップを取ることが一番有効的だと考えています。

形式上のリーダー、お飾りとしての責任者ではなく、自身が采配を振るうリーダーになるのです。

社長が企業ブランディングの担当?

「社長が企業ブランディング担当なんて、理想論に過ぎず、現実的にあり得ないのでは?」

という意見もあるかもしれませんが、本当にそうでしょうか。

私はあり得ると思っています。

もちろん、社長にはやらなければならない仕事が沢山ありますが、自社が新しい方向に向かって社員一丸となって進まなければならない時、社員の意識を変革し、世の中からの期待も変化させることに威力を発揮する「企業ブランディング」は社長が自らリーダーシップを取って邁進するに値する仕事といえます。

トヨタ自動車の豊田章男社長や、ソフトバンクの孫正義社長、ユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井正社長はブランドの顔であると同時に、牽引力自体でもあり、外からでも優れたリーダーシップを取っているとわかります。

すなわち、企業ブランディングの最大最強の担当者になっているのです。

私が以前担当した某有名乳業メーカーの会長も、ブランドに関する指針を自ら作成したプレゼン資料で全社員にプレゼンし、かつさまざまな事業部の日常業務でもその指針が守られているか自らチェックするなど取り組み、社員に会長自らのブランド戦略を浸透させていきました。

まさにトップが主担当者です。

中小企業に企業ブランディングが有効な訳

大企業にも中小企業にも企業ブランディングをやる意義は沢山あります。

しかし、私は中小企業こそ企業ブランディングに取り組むべきだと思っています。

中小企業は、名前が知られてない、企業の強みが理解されてない、信頼感・安心感・親近感といった印象に乏しいのが現実です。

そのため顧客獲得にも人材獲得にも資金獲得にも大企業に到底及びません。

そのハンデを少しでも解消するためには、自身の考えや行動を「散らさず」「一つの像に向けて」「一貫性をもって」社内外にアピールし続ける企業ブランディングは中小企業にこそ相応しい経営テーマなのです。

そして、より大事な理由は「中小企業の方が企業ブランディングを『成功させやすい』」ことです。

意義や重要性でなく、成功の可能性を考えれば中小企業の方が企業ブランディングに相応しいのです。

中小企業だからこそ「成功しやすい」企業ブランディング

大企業、特に日本の大企業は長い年月を経て組織がかなり硬直しており、360度のうち1度でも方向を変更させるのは大変難しいのです。

ブランドでもデジタルでも、社員に意識改革を迫り、今まで慣れ親しんだやり方ではないやり方を実践させるには膨大なエネルギーが必要です。

これは、社長といえど容易なことではありません。

その点、中小企業は社長に「企業ブランディングやるぞ!」という強い意思と情熱があれば、実行するにあたって大きな障害はなく、社員皆に自身の意思を伝え実践させることが容易に可能です。

漠然としてでも自身に目指すビジョンがあり、何となくでも「こんな姿になりたい」「こんな姿だ、と世の中から見られたい」という思いがあるのであれば企業ブランディングに取り組むには十分です。

それをわかりやすく整理し、指針化するのは外部の専門家の助けを借りれば良いのです。

広告費や販促費とは比較にならないくらい少ない投資で実現することが可能なのが企業ブランディングなのです。

まとめ

企業ブランディングに取り組むにはどの部署が担当するべきなのか、多くの企業が悩む議題ですが、結論としては、その企業のトップが率先して担当することが一番なのです。

逆に言うと、企業ブランディングはトップが本気にならなければ難しいとも言えます。

このような特性からしても、トップが本気になれば方向転換がしやすい中小企業こそが企業ブランディングに積極的に取り組むべきなのです。

中小企業におけるブランディングの重要性についてはこちら↓
中小企業にこそ必要なブランディングという経営戦略

【監修プロフィール】

東京大学文学部仏文科卒業後、電通に入社。
本社マーケティング・ソリューション局次長、電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)専務取締役経て小川事務所を設立。
著書に『マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』『マーケティングオートメーションでおもてなし~ITがマーケティングにしてくれること』『戦略から始めるエンゲージメントマーケティング』(クロスメディア・マーケティング)