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ブランドアイデンティティとは?意味や効果、事例をわかりやすく解説!

#ブランディング手法
#ブランディング施策

ブランドアイデンティティはそのブランドの個性を表す概念を指します。

ブランドアイデンティティはブランド構築、そしてブランド戦略において非常に重要な核となる要素です。本記事では、ブランドアイデンティティを構成する要素から、ブランドアイデンティティの作成方法をご紹介します。

ブランドアイデンティティとは

ブランドアイデンティティとは、企業や商品の独特な個性や価値観を表現するための概念です。

そもそも、「アイデンティティ」という言葉は自己同一性や主体性という意味があり、要するに「さまざまな個性をもつ他者・社会との関わりにおける自分らしさ」を意味しています。

つまりブランドアイデンティティは「そのブランドらしさ」「ブランド独自の個性」のことを指しているのです。

強力なブランドアイデンティティは競合他社との差別化や、消費者に対してその価値や個性を伝えることができ、消費者がそのブランドを選ぶ理由を作り出す重要な要素になります。

ブランドアイデンティティの目的

ブランドアイデンティティの目的とは「ブランドの個性を明確に伝え、消費者の心に強い印象を残す」ことです。ブランドアイデンティティが強いほど、そのブランドは消費者の選考の中で優位に立つことが可能となります。

まず、ブランドの個性とは、製品の品質やブランドが持つイメージを指します。例えば、製品の耐久性やアフターサービスの良さを通じて「信頼性」をアピールすることも、個性の一部と言えます。また、高級感や可愛らしさといったデザインなど、視覚的要素でもブランドイメージを消費者に伝えることで、ブランドの個性をより強く打ち出すことが可能です。

ブランドアイデンティティが正しく構築されると、その効果は明確に現れます。具体的には、売上増加や顧客満足度の向上といった形で現れることが多いです。直接的な売上成長はもちろん、顧客満足度が向上することで間接的にも売上が増加する可能性が高まります。

ブランドアイデンティティが重要な理由

なぜブランドアイデンティティが重要なのでしょうか。それは、ブランドが消費者とコミュニケーションを取る上で、ブランド自身が何を大切にし、何を提供しているのかを明確に示すことが求められるからです。昨今の消費者は、商品やサービスだけでなく、ブランドの背景や哲学にも関心を持つ傾向にあります。そのため、ブランド自身が何を大切にし、どのような商品やサービスを提供しているのかを明確に伝えることで、消費者の理解と信頼を獲得し、長期的な顧客満足度の向上につながります。

また、ブランドアイデンティティは、競争が激しい市場において自社を差別化するための武器にもなります。同じ商品やサービスを提供する企業が溢れている現代、消費者は選択肢が多すぎて迷ってしまうことがあります。そんな時、ブランドアイデンティティが明確であれば、消費者はそのブランドが自分の価値観に合致するかどうかを判断しやすくなり、選択肢を絞る際の一助となるでしょう。

さらに、ブランドアイデンティティは、全社員が一体となってブランドを推進するための共通理解を作る上でも重要です。社員一人ひとりがブランドの個性やビジョンを理解し、それに基づいた行動をとることで、ブランド全体の方向性が一致し、一貫したメッセージを発信することが可能になります。

このように、ブランドアイデンティティは消費者との信頼関係を築き、競争優位性を確保し、社内の一体感を高めるために重要な存在なのです。

ブランドアイデンティティの構成要素

ブランドアイデンティティの構成要素は大きく分けて以下の4つになります。

  • フィロソフィー
  • ベネフィット
  • 属性
  • パーソナリティ

フィロソフィー

ブランドアイデンティティの根底に位置するのが、まさに「フィロソフィー」です。

フィロソフィーとは、直訳すると「哲学」「人生観」を指し、ここではブランドが追求する価値観や信念のことをいいます。これがブランドの行動指針となり、ブランドが何を大切にしどのような行動をとるべきかを示します。

フィロソフィーは、一瞬で作られるものではありません。企業の創業者や経営層の信念、企業文化や経営方針など様々な要素が融合して生まれるものです。そして、このフィロソフィーがブランドの振る舞いを決定づけます。

フィロソフィーが明確であれば、そのブランドが目指すビジョンが見えてきます。新製品開発や地域展開など、ブランドの成長戦略もこのフィロソフィーから派生します。強固なフィロソフィーを持つことで、ブランドは一貫性と説得力を持つメッセージを発信することができるのです。

フィロソフィーはブランドアイデンティティを形成する中心的存在と言えます。これはブランドを一貫して支え、ブランドの行動すべてを誘導します。ブランドのフィロソフィーを理解することで、そのブランドが何を大切にし、どう進化していくのかが見えてきます。

ベネフィット

ベネフィットとは直訳すると「利益」「報酬」という意味になります。ブランドアイデンティティにおけるベネフィットは、そのブランドが提供する利益や価値を指します。このベネフィットは、消費者がブランドを選ぶ理由となり、ブランドの価値を高めます。ブランドによっては、製品の耐久性やアフターサービスといった品質に関連するベネフィットを提供します。

ベネフィットには3つ種類があり、「機能的ベネフィット」「情緒的ベネフィット」「自己表現ベネフィット」があります。

「機能的ベネフィット」とは、商品やサービスを利用した時の基本的な便益のことであり、「操作が簡単になる」「時間が短縮される」などの実用的メリットを指します。

「情緒的ベネフィット」はそのブランドによって顧客に何らかのプラスの感情を与える便益のことです。例えば、あるサービスを受けることで「面白い」「楽しい」といった特別な気持ちにさせるようなものを指します。

また「自己表現ベネフィット」とは、そのブランドを所有していたり利用していることで、顧客が自己表現できることを指します。例えば、良いブランド品を身につけることでスマートな自分を表現できることが挙げられます。

このようにベネフィットは種類がありますが、どれも消費者がブランドを選ぶ理由を作り出します。リピート購入を促すためには、消費者が商品の購入やサービスの利用を通じて得られる満足度を高めることが重要です。それは、商品の品質やサービスの良さだけでなく、ブランドが持つ個性やビジョン、そしてそのブランドを通じて得られる特別な体験や満足感にも関連します。これらがブランドのベネフィットとなり、消費者がそのブランドを選び続ける理由となるのです。

属性

属性とは、ブランドが持つ固有の特性や個性のことであり、それが顧客にどのように認識されるかを示す客観的事実を指します。

例えば、あるブランドが環境に配慮しているというベネフィットを掲げていたとします。その製品の素材が「ペットボトル再生生地80%使用」「環境配慮された農園で生産しているオーガニックコットン使用」などの環境に配慮するための客観的事実が「属性」であり、このようなことをプラスして表示することで、商品の説得力が増し、顧客の信頼性向上に繋がります。

商品・サービスの「属性」が正しく示されることで、顧客の購買行動や商品選択への安心感や納得感を与えることができ、商品購入の後押しになるのです。

パーソナリティ

ヒトが性格を持つように、ブランドもまた「パーソナリティ」を持ちます。これは、ブランドの「性格」や「個性」を表す要素で、消費者がブランドを理解し、共感しやすくするために重要な役割を果たします。

ブランドパーソナリティの設定は、ターゲットに対してどのような印象を与えたいかによって決まります。例えば、高級感を演出したいブランドは「洗練された」「エレガントな」といったパーソナリティを持つことを目指したり、一方、若者をターゲットにしたカジュアルなブランドは「フレンドリーな」「遊び心のある」などのパーソナリティを目指すブランドも多いでしょう。

効果的なブランドパーソナリティの設定は、売上増加や顧客満足度の向上にも寄与します。消費者は、自分の価値観やライフスタイルに合うブランドに惹かれ、そこからの購入を続ける傾向があります。また、ブランドパーソナリティが明確なブランドは、消費者の心に強く印象付けることができ、その結果、商品評価やサービス評価が高まることが期待できるのです。

ブランドパーソナリティについて詳しい記事はこちら↓
ブランドパーソナリティーとは?企業ブランディングに欠かせない有効な一手!

ブランドアイデンティティの効果

ブランド認知度向上

ブランド認知度とは、消費者がそのブランドをどれだけ知っているか、また、そのブランドに対する理解度を指す指標です。ここで、ブランドアイデンティティが大きな役割を果たします。具体的には、ブランドの個性やビジョンが消費者に鮮明に伝わることで、そのブランドが他のブランドと区別され、消費者の心に深く印象づけられるのです。これがブランド認知度を向上させる第一歩となります。

ブランドアイデンティティを明確に打ち出し続けることで、消費者の心にそのブランドを強く印象づけ、ブランド認知度を高めることが可能です。ブランド認知度が高まると、そのブランドに対する信頼感や親近感も増し、商品やサービスへの評価も高まります。これが結果として売上増加につながるのです。

顧客ロイヤリティ獲得

ブランドアイデンティティの一つの重要な効果として、顧客ロイヤリティ、すなわち、「顧客の忠誠心の獲得」が挙げられます。これは、顧客が製品やサービスを一度利用した後も、そのブランドに対して信頼感を持ち、何度もリピートして利用したいと感じる心情を指します。

顧客ロイヤリティを獲得するためには、ブランドアイデンティティの確立が不可欠です。ブランドアイデンティティは、そのブランドがどのような個性や価値観を持ち、どのようなビジョンを追求しているのかを表現する手段なのです。

顧客ロイヤリティが高い顧客は一貫してそのブランドの製品やサービスを利用し続けるため、安定した売上を維持することが可能になります。また、購入者はブランドに対する信頼感から積極的に同じブランドの新製品を試したり、知人に推薦したりすることもあります。これにより、間接的な売上成長にもつながるのです。

さらに、顧客ロイヤリティが高まるとブランドに対する強い愛着や信頼感を持つため、市場の価格競争に翻弄されることなく、ブランド価値を維持し続けることが可能となります。これは、ブランドが価格だけでなく、品質やサービスなど独自の価値を提供することで、顧客に選ばれ続ける力を持つことを意味します。

しかし、顧客ロイヤリティを獲得するためには、ただ単に高品質な製品を提供するだけでは不十分です。ブランドアイデンティティを通じて、顧客がそのブランドを特別だと感じ、強く惹かれる理由を提供する必要があります。

顧客ロイヤリティを獲得し、長期的なビジネス成功を目指すためにも、ブランドアイデンティティの構築に力を注ぐことは非常に重要なのです。

競争優位性の構築

競争力とは、企業が他の同業者たちと比較して優れている点、つまり「強み」を指します。その「強み」を最大限に活用し、顧客に選ばれる理由を作り出すのがブランドアイデンティティの役割です。特に、市場が飽和している現代では、企業が生き残るためには競争優位性の確立が不可欠です。

そもそも、なぜブランドアイデンティティが競争優位性につながるのでしょうか。それは、ブランドアイデンティティが企業の「個性」や「ビジョン」を表現し、それを通じて顧客との「コミュニケーション」を図るからです。つまり、ブランドアイデンティティは企業の世界観を具現化し、それを顧客に伝えるためのツールとなります。

競争優位性は、企業が市場で成功を収めるための重要な要素です。その構築にはブランドアイデンティティが欠かせません。そしてそのブランドアイデンティティを構築するためには、自社の強みを理解し、それを最大限に活かす戦略が必要となります。その戦略の中心にブランドアイデンティティがあり、それが競争優位性を生み出すのです。

ブランドアイデンティティの作成手順

ビジョン・ミッション策定

ブランドアイデンティティの基盤となるのが、ブランドのビジョンとミッションです。ビジョンは、企業が長期的に追求する理想の姿、つまりは目指すべき未来像を示しています。一方、ミッションはビジョンを達成するための企業活動の方向性や目的を表現します。この二つを明確に設定することがブランドアイデンティティ作成の出発点となります。

まずは、ミッションの策定です。ここで重要なのは、自社の存在意義と価値提供の形を明確に表現することです。また、それがどのように顧客の課題を解決し、そしてどのように社会に貢献するのかを示します。

次に、ビジョンを策定します。ビジョンは、ミッションを達成した未来をイメージして描くものです。ここで大切なのは、具体的かつ直感的なビジョンを設定することです。これにより、社内外の人々が共感し、一緒に目指すことができる共通の目標が生まれます。

ミッションとビジョンの策定は、ブランドの方向性を定め、全員が同じ目標に向かって進むための羅針盤となります。これらによってブランドの個性や価値が明確になり、ブランドアイデンティティの核となるのです。

最後に、これらのビジョンとミッションは定期的に見直すことが重要です。市場環境や顧客ニーズ、社会情勢の変化に対応し、適切にアップデートすることでブランドの成長と持続的な価値提供が可能となります。これらを通じてブランドアイデンティティをしっかりと作り上げ、それを周囲に伝えることで、ブランド力の強化が実現するのです。

ビジョンやミッションについて詳しい記事はこちら↓
ビジョン(vision)とは?ミッションとバリューの関係性を解説

ターゲット市場分析

ブランドアイデンティティを定義する上で欠かせないプロセスの一つが「ターゲット市場分析」です。これは、商品やサービスを最も販売したいと考える顧客層の特性やニーズを詳しく把握するための分析です。適切なターゲット市場の把握は、商品開発やマーケティング戦略、PR活動の方向性を決めるための重要な基盤となります。

まずは、ターゲットとなる市場の規模を詳しく調査します。これは市場全体の売上高や成長率などの経済的な指標だけでなく、人口構成や消費行動の傾向などの社会・文化的な要素も含みます。市場規模だけを追求するのではなく、自社の強みや特性を生かせる市場を見つけることが肝心です。

次に、ターゲット市場を構成する具体的な顧客層を明確にします。顧客の年齢、性別、所得、居住地、教育水準、趣味、ライフスタイルなどの情報を集め、顧客像を描くことが重要です。これにより、商品開発や販売戦略がより明確になります。

そして、その顧客が何を求めているのか市場ニーズを把握することが大切です。

最後に、ターゲット市場の競合状況を分析します。他社がどのような商品を提供しているのか、どのようなマーケティング戦略を展開しているのかを調査し、自社のポジショニングを考えます。

このようにターゲット市場分析を通じて、ブランドアイデンティティを形成する基盤を作ることができます。

ブランドポジショニング設定

ブランドポジショニング設定とは、ブランドの独自性を明確にし、競争相手と比較した際の自社の位置づけを見つける作業です。市場内で他のブランドと差別化することにより、消費者の心に強い印象を残すことができます。このプロセスは非常に重要で、ビジョンやミッション、ターゲット市場と同様に、ブランドイメージを構築するための重要な要素となります。

ブランドポジショニング設定は、まずブランドの強みを理解することから始めます。製品の耐久性、アフターサービスの質など、消費者にとって魅力的な要素を探ります。更に、ブランドのイメージを考えることも重要です。高級感や可愛らしさなど、消費者がブランドに期待するイメージを見つけ、そのイメージを裏付ける証拠を見つけることが求められます。

そして、ブランドポジショニングの効果と評価方法を考えます。売上増加はもちろん、顧客満足度の向上も重要な指標となります。商品評価やサービス評価を通じて、ブランドポジショニングが適切に設定され、消費者に受け入れられているかを評価します。

このように、ブランドポジショニング設定というプロセスを通じてブランドは独自の存在感を市場に示し、消費者の信頼と忠誠を得ることができます。

まとめ

ブランドアイデンティティは自社のブランドの個性を明確化し「そのブランドらしさ」を指します。ブランドが自身のアイデンティティを確立し、それを一貫して顧客に伝えることで、顧客との信頼関係を築き、ブランドの成長を促進します。

ブランドアイデンティティはキャッチコピーやロゴ、社会活動、広報活動、商品デザインなど様々な場面で一貫した世界観を伝えるための核となるのです。

顧客からより長く愛され続けるブランドでいるためにはこのアイデンティティの確立はとても大切なのです。