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クリティカルシンキングとは?ロジカルシンキングとの違いやそのメリットに注目!
ビジネスシーンにおいては常に考える力である思考力が必要不可欠です。近年、前提や思い込みに囚われず本質を見抜くことができる思考法として、「クリティカルシンキング(批判的思考)」が注目されています。
本記事では、クリティカルシンキングの意味やロジカルシンキングとの違い、そしてそのメリットやデメリットなどについて詳しく説明いたします。
クリティカルシンキングとは?
クリティカルシンキングは、「批判的かつ論理的に物事を捉え、考える」ことを指します。要するに、情報を鵜呑みにせず常に「本当にこれで正しいのか?」という客観的視点をもって物事をみることで、より正しい論理につなげていく思考法のことなのです。
例えば、何か新しい企画を立ち上げるという時、「その企画は本当に効果的なのか」「そもそも可能なのか」「他にもっといい企画は無いのか」というようにあえて疑いを持って考えることで、より良い結果を導くのです。つまり、主観やこれまでの流れ、習慣、状況などに影響されることなく、物事の本質を見極めるための思考がクリティカルシンキングなのです。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い
クリティカルシンキングと似ている概念のひとつに「ロジカルシンキング」というものがあります。このロジカルシンキングは正しい論理展開が可能になり、課題解決力が高まり、会話に説得力が生まれます。そのため、ビジネスパーソンにとっては欠かせないスキルとされています。
一方、クリティカルシンキングは、前述した通り、論理的な正しさに加えて、「本当だろうか」といった疑いの視点を持ち、前提条件など物事の妥当性を含めて考えていく思考法です。
そして、この二つの考え方は相反するものではなく、お互いに補完しあうものとされています。なぜなら、ロジカルシンキングのみでは前提条件の正誤を判断できませんが、逆にクリティカルシンキングには物事を論理的に組み立てるロジカルシンキングが欠かせないからです。どちらの思考法も身につけることで、お互いの思考法をさらに効果的に発揮できるのです。
クリティカルシンキングはなぜ注目されている?
では、なぜクリティカルシンキングがビジネスパーソンの間で注目されているのでしょうか。その背景にあるものとして、急速かつめまぐるしい時代・環境の変化が挙げられます。
短いサイクルで最適解が変化する現代においては、以前は上手くいっていたことも、次に同じことをしても上手くいくとは限りません。「経験したことがある問題」よりも「未経験の問題」に対処する割合が増えてきているのです。この変化に取り残されない為にも、古い価値観や手法に固執せず、今までとは違った考え方やアイディアを取り入れていく必要があります。
そのため、この新しい時代で何を取捨選択していくのか、物事を多角的に見極めることが重要となり、さまざまな意見・主張に対して一度立ち止まって考えることができる、クリティカルシンキングの必要性が高まっているのです。
クリティカルシンキングのメリット
物事の本質を見極めることができる
クリティカルシンキングでは、「本当にこれは正しいのか」「どうしてこうなるのか」「なぜこうなったのか」という批判的かつ客観的視点で物事を考えていきます。情報を鵜呑みにせず、この思考を続けることで、余分な部分がそぎ取られていき、最終的には物事の本質に迫ることができます。
コミュニケーションがとりやすくなる
クリティカルシンキングは、個人の主観や価値観などの私情を含まないため、チームなどで課題解決の議論をする際には、お互いの感情に左右されず中立的な立場で話しあうことができるため、スムーズなコミュニケーションに繋がります。自分のもつ主張を正確に伝えられるため、ビジネスにおいての話し合いでは、とても重要なスキルといえます。
矛盾点や漏れを見つけやすくなる
クリティカルシンキングは前提条件や情報を疑いながら思考していくため、情報の漏れや重複などに気付きやすくなります。結果的にそのテーマや前提条件の矛盾点や論理的な誤りがあることを見つけやすくなり、議論が間違った方向へ進むことを防いでくれるのです。
新たな視点やアイディアが生まれやすくなる
クリティカルシンキングを用いることで、多角的な視点で物事をみていくことが可能になります。そのため、今までにないアイディアを生み出すチャンスを掴むことができます。革新的なアイディアが誕生すると、新規事業や企業成長に大きく貢献する可能性があります。
クリティカルシンキングのデメリット
まず第一に、この思考法は客観性を保って行う思考法のため、主観性の強い議題を考えるのには向いていません。
また、クリティカルシンキングを行うとき、どこまでその議題を掘り下げれば良いのか、掘り下げ方を間違えると、前提を壊してしまう恐れがあります。特に、既に議論されつくされた前提を掘り返してしまうと、テーマ事態が大きくずれてしまったり、会議に大きな遅れが出てしまう恐れがあります。
そして、批判的視点で物事を捉えることは、事実確認においては優秀ですが、その事実が必ずしも利益をもたらすわけではありません。場合によっては不利益に繋がる可能性もあるのです。クリティカルシンキングで導き出された解決策や事実が、現状とマッチしているかどうかは、検討が必要な場合があるでしょう。
クリティカルシンキングを実践する際のポイント
ゴール(目的)を意識する
まず、クリティカルシンキングを行う際は、「何のために」行うのかゴール(目的)を決めておく必要があります。目的なくクリティカルシンキングを行っていると、意味もなく思考を続けてしまい、着地点を見失ってしまったり、部分的な検討で終わってしまうということがあります。そのため、最初にゴールとなる目的を設定することが重要なのです。
思考の癖や偏りを意識し左右されないよう意識する
人は誰しも自分なりの思考や癖、思考の偏りがあります。いわゆる主観といわれるものです。それは今までの経験や生活、環境などによって形成されるものであり、悪いものではありません。しかし、クリティカルシンキングにおいては、客観性が重要になってきます。そのため、自身がどのような思考の癖や偏りを持っているのかを意識し、その思考に左右されないようにすることが大切です。
事実と意見を混同しない
「実際に起こった事柄」が事実であるのに対して、「ある問題に対する一個人の考え」が意見です。
相手が意見を話しているのか、事実を話しているのかを取り違えないようにしながら話に耳を傾けることがクリティカルシンキングには必要になります。また、自身の発言もデータに基づいた事実なのか、それとも意見なのか意識して話すと相手に伝わりやすくなるでしょう。
さまざまな視点から物事を疑う
何かテーマに対して議論するとき、ある一方からは正しく見えても、反対側から見ると矛盾点や誤りがみつかるかもしれないため、その議題やテーマに関して多角的な視点から疑うことが重要になります。
クリティカルシンキングによってさまざまな方向から検討することで、解決の糸口が見つけやすくなります。このとき、答えはひとつであると決めつけない様に気を付けなければなりません。これも、多角的に議論を行っていれば幾つもの答えがみつかるでしょう。そして、その複数の答えの中から自社にあった解決策を導き出すのです。
また、多角的な視点で考えるとき、常識や枠にとらわれた発想で頭を凝り固めないようにする必要があります。他の人が思いつかないような発想もクリティカルシンキングを行う上では大切なのです。
まとめ
前提条件や情報をうのみにせず疑うことで本質を捉えることができるクリティカルシンキングは、これから先の時代を歩んでいくためにも必要な能力です。
しかし、一朝一夕ではクリティカルシンキングは身につきません。日頃から、客観的かつ多角的な視点で物事をみること、そして「本当にそうだろうか」と疑って考えることでクリティカルシンキングのスキルを培うことができるでしょう。