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カルチャーフィットとは?採用に取り入れるステップやその重要性を解説

#マーケティング基礎知識
#採用

昨今、人材の多様化や流動性が高まり、従来のスキルマッチの採用だけではなく自社と求職者の相性も採用の判断基準として必要になってきます。

それが「カルチャーフィット」です。

カルチャーフィットはあくまで採用の一要素に過ぎませんが、優秀な人材を惹きつけ、活躍してもらうためには欠かせない視点です。

本記事ではカルチャーフィットとは何か、なぜ注目されているのか、その重要性やメリット・デメリットについてお伝えします。

カルチャーフィットとは

カルチャーフィットとは、企業の価値観や文化と、働く人材の価値観や行動様式がマッチしている状態を表す言葉です。要するに、企業に所属している人材がその企業の雰囲気や風土に馴染めるかどうかということを指します。

例えば、スピード感を重視するベンチャー企業と、ゆったりとした働き方を好む人はカルチャーフィットしないでしょう。

逆に、チームワークを大切にする企業と、協調性のある人はカルチャーフィットすると言えます。

近年、企業はスキル面だけでなく、カルチャーフィットする人材かどうかという点も重視して採用を行うようになってきました。

グローバル化が進み、労働市場の流動性が高まる今の世の中で、カルチャーフィットの重要性は今後ますます高まっていくと考えられます。

スキルフィットとの違い

カルチャーフィットと似ている言葉に「スキルフィット」があります。

スキルフィットとは、企業が求めるスキルと個人の持つスキルがマッチしている状態を指します。つまりは、人材がその仕事を遂行するために必要な知識や経験、能力を兼ね備えているかどうかということです。

例えば、プログラミングの能力が求められるエンジニアの職種に、プログラミングができる人を採用するのはスキルフィット採用と言えます。

従来の採用では、このスキルフィットが重視されてきました。その人材の職歴や学歴、資格などを見て、どれだけその仕事ができるかを判断するのです。

しかし近年、スキルだけでなく個人の人間性や価値観も採用において重視されるようになりました。どれだけ優秀な人材でも企業との相性が悪かったり考え方に相違があると、十分な力を発揮できないと気づいたからです。そうして、上記でお伝えした「カルチャーフィット」という考え方が広がっていきました。

とはいえ、スキルフィットの重要性が下がったわけではありません。

人材に高いパフォーマンスを発揮してもらうには、スキルフィットとカルチャーフィットの両方を満たす必要があります。

そのため、採用担当者は応募者のスキルレベルと、価値観の両面を見極める力が問われます。

カルチャーフィットが重要視される背景

働き方の多様化

近年、働き方の変化による多様化が進んでいます。従来の画一的な働き方から、個人のライフスタイルや価値観に合わせた多様な働き方が選択できるようになってきました。

働き方の変化の一つとして、テレワークの普及が挙げられます。情報通信技術の発達により、場所や時間に縛られずに仕事ができるようになりました。そして、コロナ禍を経て在宅勤務やモバイルワークなど、柔軟な働き方がさらに推進されていきました。

また、副業・兼業の解禁も働き方の多様化を後押ししています。自身のスキルや経験を活かして、本業以外の仕事に挑戦する人が増えているのです。

そして、働き方の多様化は、ワーク・ライフ・バランスの実現にもつながっています。仕事と私生活の両立を重視する人が増える中、企業は柔軟な勤務制度の導入や休暇取得の促進に取り組んでいます。

この多様な働き方を実現するためには、企業の意識改革と制度整備が不可欠です。管理職のマネジメント能力の向上や、評価制度の見直しなどが求められます。また、社員一人ひとりが自律的に働くことができる環境づくりも重要です。

そのため、企業と社員、それぞれのライフスタイルや価値観に合った働き方を実現していくことが、これからの時代に求められているのです。

カルチャーフィットを重視することは多様化していく社会に適応していくためには必要な視点なのです。

採用の変化

近年、中途採用が一般的になってきています。中途採用とは、企業が即戦力となる人材を外部から採用することを指します。

昨今においては終身雇用は当たり前ではなくなり、転職への抵抗感が薄れてきています。

中途採用は企業と求職者双方にとってメリットがあるため、近年では多くの企業で積極的に行われるようになってきました。特に、IT業界や専門性の高い職種では、中途採用が主流となっています。

即戦力となる中途採用はスキルフィットが重要視されがちですが、転職者の中には元の勤務先と価値観が合わず退職した人も少なくありません。早期離職の防止のためにもスキルフィットだけではなく、カルチャーフィットも重視することが必要になるのです。

また、採用においてダイバーシティ&インクルージョンが推進されていることも、カルチャーフィットが重視される背景の一つです。ダイバーシティ&インクルージョンとは、多様な人材を受け入れ、その能力が発揮できるよう活かすことを目指す取り組みです。

多様な人材を活かすためには、一人ひとりの個性を尊重する企業文化が必要不可欠です。カルチャーフィットを重視することで、多様な人材が活躍できる環境を整えることができるのです。

人手不足による人材獲得競争の激化

日本では、少子高齢化による労働力人口の減少により、人材不足が深刻化しています。

人材不足は、企業の事業活動に大きな影響を与えます。

このように、人材不足が進むことによって企業の人材獲得競争の激化が起きています。要するに、現在の雇用情勢は求職者優位の売り手市場となっており、企業が優秀な人材を確保するのが困難になっているのです。

売り手市場化の影響は、求職者の行動にも表れています。単に報酬だけでなく、仕事のやりがいや企業の社会的責任、企業が持つ価値観なども重視し、仕事を選択する傾向が強まっています。

このような採用難のなかで、せっかく獲得した人材も企業に合わずすぐに離職してしまっては意味がありません。できるだけ長く自社に定着してもらうためにもカルチャーフィットという考え方を重視する企業が増えてきているのです。

カルチャーフィットを重視することのメリット

離職率の低下と人材定着率の向上

採用においてカルチャーフィットを重視することで、人材の離職率の低下とそれに伴った人材の定着率向上が考えられます。企業は、単に即戦力となる人材を採用するだけでなく、長期的に活躍してくれる人材を求めるようになってきました。長期的に活躍してもらうためには、社員と企業文化とのマッチングが重要となります。

社員と企業文化とのマッチングが高ければ、社員は仕事に対してやりがいを感じやすくなり、従業員エンゲージメントが向上します。やりがいを感じている社員は、離職する可能性が低くなるため、結果として離職率の低下と定着率向上につながるのです。

生産性の向上

次に、生産性の向上もカルチャーフィットを重視することのメリットの一つです。社員と企業文化とのマッチングが高ければ、社員は自分の力を十分に発揮しやすくなります。

また、社内コミュニケーションがスムーズになるため、業務の効率化やイノベーションの促進にもつながります。その結果、生産性の向上が期待できるのです。

企業ブランドの向上

企業ブランドの向上もメリットの一つとして挙げられます。魅力的な企業文化を持つ企業は、求職者から選ばれやすくなります。また、社員のモチベーションが高ければ、顧客満足度も高くなる傾向にあります。その結果、企業ブランドの向上につながるのです。

採用コスト削減

カルチャーフィットを重視することで採用コストの削減も見込めます。社員と企業文化とのマッチングが高ければ、離職率が低下するため、何度も採用を行う必要がなくなり、採用コストを削減することができます。

また、魅力的な企業文化を持つ企業は、求職者から選ばれやすくなるため、採用活動にかかる時間やコストを削減できるのです。

カルチャーフィットを重視することのデメリット

カルチャーフィットを重視することには、メリットだけでなく、デメリットもあります。

一つは、多様性の欠如です。カルチャーフィットを重視しすぎると、似たような価値観を持つ人材ばかりが集まってしまう可能性があります。その結果、多様な視点や発想が生まれにくくなる可能性があります。

また、変化への対応の遅れも、カルチャーフィットを重視することのデメリットの一つでしょう。環境の変化に応じて、企業文化を変えていく必要があります。しかし、カルチャーフィットを重視しすぎると、既存の文化に固執しすぎてしまい、変化に対応できなくなってしまうのです。

カルチャーフィットを重視する際は、このようなデメリットにも留意する必要があるでしょう。

カルチャーフィットを採用に取り入れるためのステップ

ステップ1:自社の企業文化、価値観を明確にする
ステップ2:カルチャーを踏まえてペルソナを設定する
ステップ3:カルチャーを外部発信する
ステップ4:カルチャーフィットを重視した選考の実施

ステップ1:自社の企業文化、価値観を明確にする

カルチャーフィットを採用に取り入れるための最初のステップは、自社の企業文化や価値観を明確にすることです。

企業文化というものは目にみえるモノではありません。従業員間で認識が異なってしまうこともあるでしょう。

そのため、まずは自社のカルチャーである企業文化や価値観を明確にし言語化することで、客観的に理解できるようにしておく必要があります。

カルチャーを目に見えるよう言語化するには既存の従業員への聞き取りや対話などの機会を用いることが有効です。

そして、このように言語化されたカルチャーは改めて社内で醸成・浸透させていくことが大切です。

ステップ2:カルチャーを踏まえてペルソナを設定する

次のステップは採用する人材のペルソナの設定です。

言語化されたカルチャーを基準にどういった人材を採用したら良いのか定義し、ターゲットを明確化します。思い描くペルソナはできるだけ具体的であるほうが良いでしょう。

この際も社内で活躍する従業員へのヒアリングを行い、どのような価値観を持っているのか、どのような特性があるのかといった情報収集が必要になってくるでしょう。

ステップ3:カルチャーを外部発信する

カルチャーフィットする人材を獲得するには、上記のステップで決まったカルチャーを採用サイトやオウンドメディア、SNSなどを用いて積極的に外部に発信していく必要があります。

明文化したカルチャーを発信することで、その内容に共感した求職者や転職潜在層からの応募が期待できます。

また、企業文化を外部に発信することは、対外的な企業イメージの向上にも繋がります。

実際の発信方法は様々ありますが、カルチャーを体現する従業員からの生の声を掲載するようなコンテンツも大切になります。

ステップ4:カルチャーフィットを重視した選考の実施

これまでのステップで明文化されたカルチャーとそれに併せたペルソナを採用のプロセスに組み込んでいきます。

ここまでの過程によって採用担当も自社のカルチャーを理解し、客観的に理解できるようになっていれば、カルチャーを重視した選考を行うのは難しくないでしょう。

では、実際に採用のプロセスに組み込むにはどうすれば良いのか。

具体的には、面接時に候補者の価値観や行動特性を確認する質問を用意するといいでしょう。例えば、「これまでの仕事で最も力を入れたことは何ですか?」「チームワークにおいて大切にしていることは何ですか?」といった質問です。

このような質問に対して候補者の回答から、自社の文化とのマッチングを見極めていきます。

また、採用面接だけでなく、インターンシップや社内イベントなどの機会を活用するのも有効です。

実際に職場で働いてもらったり、交流することで候補者の行動特性やコミュニケーションスタイルを観察できます。

自社の文化にフィットするかどうかを、より深く多面的に判断することが可能となるでしょう。

カルチャーフィットを高めるための社内施策

前項のカルチャーフィットを取り入れるステップ1でお伝えしましたが、言語化されたカルチャーは社内で醸成・浸透させていくことが大切です。

そのため、カルチャーフィットを高めるためには、採用だけでなく、社内施策も重要になります。

まずは、経営者や管理職が率先して企業文化や価値観を体現することが大切です。リーダーの行動が、社員の規範となり、組織全体のカルチャーを形作っていくのです。

また、社内コミュニケーションを活性化させることも有効です。

部署や職種を超えた交流の場を設けたり、社内SNSを活用したりすることで、社員同士の理解が深まります。多様な価値観に触れることで、自社の文化への理解も促進されるでしょう。

カルチャーフィットを高めるには、トップのコミットメントと、社員一人ひとりの意識改革が不可欠です。

地道な取り組みの積み重ねが、強固な組織文化を作り上げていきます。

自社のカルチャーを大切にしながら、社員の多様性も受け入れていく、その両立こそが、これからの企業に求められているのです。

まとめ:カルチャーフィットの重要性は今後どう変化するか

カルチャーフィットは、近年の採用トレンドとして注目を集めています。

スキルや経験だけでなく、企業文化との適合性を重視する採用手法は、今後さらに主流になっていくでしょう。

企業を取り巻く環境が大きく変化する中で、強固な組織文化は競争優位の源泉となりえます。

企業理念に共感し、価値観を共有できる社員を採用・育成することで、組織の一体感が生まれ、ビジネスパフォーマンスの向上にもつながります。

また、カルチャーフィットの重要性は今後も変わりませんが、その内容は時代とともに変化していくでしょう。

今後は、画一的な文化への適応ではなく、社員一人ひとりの個性を生かしながら、組織の目的に向かってチームプレイできるかどうかといった観点がより重要になっていくのではないでしょうか。

多様性を受け入れながら、同じ方向を目指すといった、柔軟でしなやかなカルチャーフィットのあり方が、これからの企業に求められているのです。