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インフルエンサーとは?SNSごとの特徴や起用のメリット・デメリットを解説
SNSの普及により「インフルエンサー」という言葉がさまざまなシーンで使われるようになりました。最近はビジネスシーンでもこのインフルエンサーを活用したマーケティング施策も多く実行されています。
本記事ではインフルエンサーとはどんな人のことを指すのか、そしてインフルエンサーマーケティングとは何か、その意味やメリット・デメリットなどについてお伝えします。
インフルエンサーとは
インフルエンサーとはどんな人?
インフルエンサーとは、影響・効果・感化といった意味を持つ「influence」という英単語が元になった言葉であり、世の中の人々に対して大きな影響力を持つ人や物事を指します。
例えば、タレントやモデル、スポーツ選手といった著名人から、特定の専門知識を持っておりそれを発信している人、インターネット上で知名度がある人などが該当します。
昨今は特に、TwitterやInstagram、facebookといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの消費者生成メディア(CGM:Consumer Generated Media)が世の中へ浸透したことから、インフルエンサーという言葉が一般に普及していきました。インスタグラマー(Instagramで発信を行うインフルエンサー)やユーチューバー(YouTubeで発信を行うインフルエンサー)など、特定のSNSプラットフォームにおけるインフルエンサーを指す用語も生まれ、現在では一般的に使用されるようになりました。
注目されるインフルエンサーマーケティング
時代が変化するにつれ、生活者の行動や心理、消費購買行動も変化してきました。特にインターネットやSNSの普及、CGMの浸透によって、我々生活者はたくさんの情報を気軽に入手できるようになりました。情報の取捨選択が難しくなり、商品を購入する際は企業が発信する商品情報だけではなく、同じ消費者の立場から発信される口コミ(SNSをはじめとしたネットメディアから)などを重視する傾向が強くなっています。
この変化に付随してSNSや動画サイトなどのメディアで情報発信を行うインフルエンサーという存在は世の中に浸透していき、企業にとってもインフルエンサーの存在は無視できないものになりました。口コミはあくまで第三者の発信する情報であり、あまり信ぴょう性が高いとは言えず、生活者は信頼できる情報の取捨選択が大切になります。
その点、自分と興味関心や趣味嗜好が似ているインフルエンサーによる情報発信は、第三者の口コミよりも信頼性が高く、「この人が薦めるから欲しい」「この人が使用してるなら信頼して購入できる」といった心理から、購買行動が喚起されやすいのです。
このような背景から、企業の顧客に対するアプローチ方法が変わってきました。その中で生まれた手法の一つが「インフルエンサーマーケティング」です。インフルエンサーマーケティングとは、インフルエンサーの影響力をマーケティングに活用する手法であり、さまざまな企業がこのインフルエンサーマーケテイングに取り組んでいます。
インフルエンサーのカテゴリー区分
インフルエンサーと一括りにしてもファンの数であるフォロワー数やその影響度に応じていくつかのカテゴリーに分けられます。
メガインフルエンサー(トップインフルエンサー)
メガインフルエンサー(トップインフルエンサーともいう)は、フォロワー数が数十万〜100万人を超える、非常に高い知名度があるインフルエンサーを指します。フォロワー数が多ければ多いほど幅広い範囲へのリーチ力が高く、より多くの人に情報を届ける事ができ、話題になりやすいのが特徴です。
ミドルインフルエンサー
ミドルインフルエンサーは、フォロワー数が10万人を超えるインフルエンサーを指します。メガインフルエンサー程ではありませんが、特定のコミュニティー内で支持を集めている事が多く、高いリーチ力があります。
マイクロインフルエンサー
マイクロインフルエンサーは、フォロワー数1万〜10万人程のインフルエンサーを指します。このカテゴリーのインフルエンサーは、著名人だけでなく一般人も数多くいます。影響力は大きくないものの、ファッションや料理、美容といった特定ジャンルでの情報拡散力が高く、さらにフォロワーとの距離感が近いためエンゲージメント率が高いことが特徴です。
ナノインフルエンサー
ナノインフルエンサーは、フォロワー数が数千〜1万人程のインフルエンサーを指します。マイクロインフルエンサー以上に狭い特定のコミュニティーに対しての影響力が高く、さらにフォロワーとも親密な関係性を築いているのが特徴です。そのため、投稿に対するいいねやコメント、リツイート(リポスト)などのリアクションをもらいやすく、フォロワーのアクティブ率が高いことも特徴に挙げられます。
SNSごとの特徴
インフルエンサーの主な活躍の場はSNSです。現在ではさまざまなSNSが普及しており、それぞれ特徴やターゲット層が異なり、インフルエンサーの投稿内容やそれに対するエンゲージメントも違いがあります。
以下では主なSNSについて詳しく説明していきます。
Twitterはリアルタイム性に優れ、情報拡散力が早いという特徴のSNSです。利用層としては20代~40代が多く、140文字のテキストと動画や画像、音声などのコンテンツを投稿することができるコミュニケーションツールです。テキストがメインのプラットフォームであるため、文字で表現されたお役立ち情報や面白いコンテンツが好まれますが、最近ではイラストやマンガの投稿も人気があります。
また、Twitterの機能である「いいね」や「リツイート」(もしくは引用リツイート)によるリアクションを取ることで情報拡散がされやすく、何気なくつぶやいた一言でも爆発的に広まり瞬く間にインフルエンサーとして人気を得ることもあり得ます。一方、情報拡散力の高さゆえに、時にはある発言に対して非難・批判が殺到してしまう「炎上」という状態が生まれることもあります。
インフルエンサーの中にはこのような炎上を逆手にとって知名度を挙げていく「炎上商法」という手法をとるインフルエンサーもいますが、企業が起用するインフルエンサーとしては適さないないでしょう。
Instagramは、写真や動画の投稿がメインであり、視覚的な情報発信に特化したSNSです。Instagramで活躍するインフルエンサーをInstagramer(インスタグラマ―)と呼び、統一感のあるデザインや、雑誌のように美しいビジュアルなど視覚的に目を引きやすい「インスタ映え」と呼ばれる投稿が多いのが特徴です。
利用者層としては20〜40代と幅広いですが、旅行やファッション、美容、グルメなどの投稿が検索されることが多い傾向があるため、特に若い女性(10〜20代)を中心に利用率が高いです。投稿後24時間で自動的に消えるストーリー機能や、ハッシュタグ検索が特徴的な機能として挙げられます。
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YouTube
YouTubeは世界中で利用されているユーザー投稿型の動画配信がメインのプラットフォームです。文字数や動画時間の制限が比較的少なく、動画は視覚、聴覚など多角的に情報が発信できるため、文字や画像よりも濃くわかりやすい情報をユーザーに伝えられます。利用者層は10代〜30代が多く、他SNSと比較しても1つの動画コンテンツの視聴時間が長い傾向にあります。
また、YouTubeで人気のインフルエンサー(動画投稿または配信者)はYouTuber(ユーチューバー)と呼ばれ、今ではテレビなどのメディアに出るほど一般認知度の高い人やグループが多くいます。
YouTubeに投稿されるコンテンツは、エンタメ性が高いものや商品を実際に使った紹介動画、料理動画、旅動画など「やってみた」「行ってみた」「使ってみた」などの体験系の動画も多く見られます。最近では技術を教えるような専門性が高い動画も多いため、情報収集に利用するユーザーは多いでしょう。
また、最近はYouTubeのライブ配信も盛んになり、フォロワーとのリアルタイムコミュニケーションでエンゲージメントを高めているYouTuberも多くいます。
TikTok
TikTokもYouTubeと同様、ユーザー投稿型の動画プラットフォームですが、基本的に動画の長さが15秒〜1分程度のshort動画の発信に特化しています。利用者層は10~20代の若い年齢層を中心に人気を集めるSNSです。
TikTokで活躍するインフルエンサーはTikToker(ティックトッカー)と呼ばれ、最近では若者の中で絶大な人気を誇っています。このTikTokの特徴としては、あらかじめ音楽や加工ツールが用意されており、誰でも動画編集しやすい仕様になっていることです。
TikTok上でのトレンド音楽やそれに合わせたダンスなどが流行るとそれを真似した一般ユーザーの投稿が増え、一気にブームを巻き起こすことがよくあります。TIkTokのインフルエンサーであるTikTokerはこのようなネタの起爆剤となるのです。
このように、SNSの媒体ごとにインフルエンサーが投稿するコンテンツには違いがあります。多くのインフルエンサーはこれらSNSを複数活用し、横断的に情報発信を行うことで、ユーザーとのタッチポイントを増やしています。
企業がインフルエンサーを起用するメリット・デメリット
メリット
ターゲット層にリーチしやすい
インフルエンサーは、ファッションやスポーツ、旅行、美容など特定ジャンルに特化し情報発信を行っている人がほとんどであり、それぞれのジャンルへの興味関心が高く趣味嗜好が似ているフォロワーを多く抱えています。
そのため、自社のターゲット層とフォロワーの層がマッチしているインフルエンサーをマーケティングに起用することで、そのインフルエンサーのフォロワーに自社商品・サービスの魅力を知ってもらうことができます。
例えば、美容を中心に情報発信しているインフルエンサーに自社の美容製品をPRしてもらうことで、その情報をいつも見ている美容に興味が高いフォロワーに自社商品を効果的に訴求する事ができるのです。
第三者目線でのレビューを発信してくれるため信用されやすい
企業が出す商品情報は自社のアピールポイントを中心に発信しますが、インフルエンサーのレビューは実際に使用した感想としてその良し悪しを消費者目線で伝えてくれます。
企業発信のメッセージが届きにくくなっている現代において、このような第三者が発信してくれる情報は信用されやすく、購買意欲を向上させてくれます。また、自分が信頼し、フォローしているインフルエンサーからの発信は、その商品に対して良いファーストインプレッションを与える事ができるのです。
UGCの獲得が期待できる
インフルエンサーの発信するコンテンツにフォロワーが共感した場合、SNSの機能を活かしてその投稿やコンテンツを拡散したり、フォロワー自身が使用した感想を投稿してくれることもあります。SNSで「○○さんが紹介して実際に購入したけどとても効果があった」といった感想を発信してくれるなどUGCの獲得も期待できるのです。
多くの人の共感が得られるほど、情報は拡散されていき、その商品・サービスの信頼性を高める事や認知度の向上に繋がるのです。
※UGCとは:「User Generated Content」の略で「一般ユーザーによって作れられたコンテンツ」のことを指します。口コミ投稿などが該当します。
デメリット
ステルスマーケティングだと思われてしまう場合がある
ステルスマーケティングとは、実際は広告であることを隠して、あたかも購入者のように体験談を発信し、消費者に対し投稿が宣伝だと気付かれないように商品PRを行う手法を指します。一般的に「ステマ」と略され、いわゆる「やらせ」や「サクラ」とほとんど同義で使われます。
インフルエンサーマーケティングは、場合によっては、このステルスマーケティングだと思われる危険性を秘めているのです。例えば、自社の商品を宣伝してくれるインフルエンサーが宣伝であることを明記せずに商品紹介を行ってしまったり、企業の社員などが一般の消費者を装って商品紹介をしてしまうなどがあります。
ステルスマーケティングは消費者を騙す行為になるため、炎上しやすく消費者からの信頼を著しく失ってしまうことに繋がります。また、その企業だけでなく宣伝をしたインフルエンサー、そして業界全体の信用を失ってしまう可能性が非常に高いのがステルスマーケティングなのです。日本の法律では罰則はありませんが、悪質な場合は景品表示法違反に該当する場合もあるため、注意が必要なのです。
炎上の恐れがある
インフルエンサーマーケティングは方法やタイミングによっては炎上して逆効果になってしまう恐れがあります。
上記でお伝えしたステルスマーケティングでも炎上の恐れがありますが、他にも、インフルエンサー自身が不祥事を起こしてしまったり不適切な発言をし、炎上してしまった場合、そのインフルエンサーが宣伝した商品にまで飛び火してしまう恐れがあるのです。
インフルエンサーマーケティングを行う場合はインフルエンサー選びの段階で炎上の恐れが無いかを精査する必要があるのです。
インフルエンサーを起用する際のポイント
フォロワー数で判断しない
インフルエンサーを起用する際、ついフォロワー数が多いインフルエンサーがいいと思い、数十万・数百万人というフォロワー数だけを見て選んでしまうと、そのフォロワー層が自社のターゲット層とかけ離れてしまうと、宣伝してもその効果を見込みことは出来ません。
フォロワー数が少なくとも、自社のターゲット層とマッチしていれば充分に影響を与えることが可能です。むしろ、ターゲット層や商品によってはフォロワーとの距離が近いマイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーなどの方が相性がいい場合もあるのです。
イメージと合っているか確認する
インフルエンサーの過去の投稿やいままで宣伝してきたもの、そしてそのインフルエンサーがもつイメージやフォロワーの属性を確認し、自社のイメージに合っているか確認する必要があります。
上記でもお伝えしましたが、インフルエンサーマーケティングではインフルエンサーのフォロワー層と自社のターゲット層がマッチしている事が重要です。例えば、女性向けのファッション商品なら女性のフォロワーが多く、ファッションに普段から気を使っているインフルエンサーを起用するなど、自社商品とインフルエンサーの相性はしっかりと確認することが大切なのです。
ルールの設定
投稿の際のPR表示や投稿する時間帯、回数、投稿内容について事前にしっかりとしたルールを設定する事で、炎上を回避する事につながります。
事前にルールをインフルエンサーとすり合わせをしておけば、食い違いや間違いがなくなりトラブルの回避になります。また、投稿内容についてあまりにも縛りを設けてしまうと、そのインフルエンサーの個性や魅力を潰してしまう事になりかねない為、注意が必要です。
まとめ
世の中にSNSが浸透すると共に目が離せなくなってきたのがインフルエンサーという存在とその影響力です。企業がSNSを活用したマーケティング施策を行う上で非常に重要な存在になりました。最近ではインフルエンサーマーケティングを専門とする企業も増えてきており今後ますます広がっていくでしょう。
インフルエンサーマーケティングを行う場合は、メリット・デメリットを理解し、しっかりとした計画の元、リスク管理を怠らず炎上に注意しながら行うことが求められます。SNSを用いたマーケティング施策に行き詰っている企業はインフルエンサーマーケティングという新しい可能性 を視野に入れてみるといいでしょう。
SNSを用いたブランディングについて詳しい記事はこちら↓
『SNSブランディングとは?5大SNSの種類と特徴、運用方法を解説』