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インサイトとは?マーケティングにおいて欠かせないインサイトの重要性について解説!
昨今、マーケティング用語として「インサイト」という言葉がよく聞かれるようになりました。
しかし、その意味を正しく理解している人は少ないのではないでしょうか。
本記事ではインサイトについてその重要性と共に詳しくお伝えします。
インサイトとは
インサイトを直訳すると「洞察」や「直感」「物事を見抜くこと」などの意味をもち、マーケティング領域では、消費者の心理を理解するための重要な概念となります。
マーケティングにおけるインサイトとは、「消費者の購買行動に対する隠れた動機や根拠」を指します。通常の動機や根拠ではなく、消費者自身が気づいていない無意識の心理であるというのが重要なポイントです。
例えば、何か商品を購入する際、「なんとなく気になったから」といったように、明確な理由は無く元々購入予定でなかった商品を選んだことはありませんか?この行動の背景には、無意識のうちに持っていた欲求を刺激する商品の存在があります。そして、「なんとなく」という心理こそがインサイトです。
消費者がどんな「なんとなく」を抱えているのかを見抜き、購買に繋げる仕掛けを作ることが消費者インサイトを利用したマーケティングになります。インサイトは「消費者インサイト」「顧客インサイト」などと呼ばれることがありますが基本的に同様の意味を持ちます。
インサイトとニーズの違い
インサイトと混同しやすいのが「ニーズ」です。
そもそもニーズとは、「必要」「需要」の意味を持つ言葉であり、マーケティング用語としては、消費者が商品やサービスに対して、実際に求めていることや必要と感じていることといった、消費者の潜在的な欲求を指します。
ニーズについて詳しい記事はこちら↓
『シーズとニーズとは?2つの違いを徹底解説!』
具体的には、ニーズが「何」を欲しているのかを示すのに対して、インサイトは「なぜ」そのニーズが生まれるのかを解明します。
例えば、新型スマホを欲しがっている消費者。そのニーズの背後には、「最新の機能によって生活を便利にしたい」という願望、「周囲に流行を教えて自己価値を高めたい」という欲求が潜んでいるかもしれません。このように、インサイトは消費者の表面的な欲求ではなく、もっと深層にある心理や感情を捉えることで、それをビジネスに活かすことが可能になります。それがニーズとインサイトの大きな違いといえるでしょう。
さらにニーズは細かく分けると「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」があります。以下では分類についても解説いたします。
インサイトと顕在ニーズ、潜在ニーズの違い
>顕在ニーズ
顕在ニーズとは「顧客自身が欲求や悩みを自覚している状態」を指します。これは相手が求めているものを自覚し、ニーズが表面化している状態であるため、「自分自身が欲しいものは何か」「なぜそれが欲しいのか」を説明することができます。
例えば、「新しいカメラが欲しいけど、どのメーカーから選べば良いか」「引っ越しをするので、新しい家具が欲しい」などの明確に欲しいものは自覚しているけれど、まだ決めきれていない状態が顕在ニーズなのです。ニーズが顕在化しているほど、顧客は購買行動を起こしやすいといえます。
>潜在ニーズ
潜在ニーズとは「何か欲しいという欲求はあるけれど、それが明確になっていない状態」を指します。顧客自身がまだ認識していない、言葉にできないような深層の欲求を指します。ニーズが顕在化する前段階であり、「健康になりたい」「快適な新生活を送りたい」「ストレス解消したい」など消費者の内面に潜む欲求や願望に根ざしています。
潜在ニーズを把握すれば、人気商品開発や営業戦績向上などが可能になります。そのため、潜在ニーズはビジネスにおいて非常に重要な存在です。
インサイトと潜在ニーズ・顕在ニーズの関係性
インサイト・潜在ニーズ・顕在ニーズの3つの関係性は氷山で説明されることが多いです。
上記の図のように、水面上に出ている表面化している部分が「顕在ニーズ」であり、水面下にある部分が「潜在ニーズ」そして、そのさらに深い部分が「インサイト」です。インサイトは潜在ニーズのさらに深い深層心理のことを指すのです。
つまり、顕在ニーズや潜在ニーズを明らかにし、それらを満たすための新たなアイデアを生み出すには顧客の「インサイト」を探り、理解することが重要です。それぞれ、マーケテイングにおいて非常に重要な要素であり、それぞれの関係性を正しく理解することは大切です。
なぜインサイトが注目されているのか
現代は世の中にモノが溢れており、品質も良く手頃な価格で商品やサービスが手に入るようになりました。どの商品・サービスを選んでも大きな失敗はありません。多くの消費者は、明確な理由を持たずに購買に至ることが増え、簡単に満たされるようになりました。
一方、企業は、今までのように顕在化したニーズに答えるだけでは、消費者の心を捉えることができなくなったのです。そのため、まだ顕在化していないニーズを掘り起こし、消費者が必要とするのは何なのか、「新たな需要を作り出す」ことが必要になってきました。
そこで注目されたのが「インサイト」であり、インサイトへの訴求はマーケティング戦略の上で非常に重要になりました。また、デジタル化が進み、消費者の行動履歴や感想など、膨大なデータが生成されるようになりました。
こういったデータを分析し、消費者の本音を見つけ出すことで、より効果的なマーケティング戦略を立案することが可能になったことも「インサイト」が注目されるきっかけになりました。
マーケティングにおいてインサイトを追求する重要性とは
前項でもお伝えしましたが、現代においては、消費者の表面的なニーズだけでなく、深層心理にあるニーズのインサイトを見つけることが必要になってきます。
モノで溢れ飽和状態となっている今の市場では、従来のように顕在化しているニーズを満たそうと商品開発を進めると、すでに他社が提供している商品・サービスと類似してしまうことがあります。競合他社が多い市場においてはレッドオーシャンであり、自社の商品を選び購入してもらうのは非常に難易度が高いといえます。結果として価格競争に突入しやすくなってしまうのです。
しかし、ここでインサイトを追求することにより、新たな需要の創出が可能であり、新しい商品・サービスの開発や、今までにない市場を開拓するきっかけになります。そうすることで、価格競争を回避し、他社との差別化をはかることができるのです。
このように、インサイトを追求することは、マーケティングにおいて極めて重要な要素と言えます。
インサイトの調査方法
データ収集
データ収集は、インサイトを明らかにするための最初のステップです。
データには、数量を示す「定量データ」と感情や心情、意見など数値で表しにくいデータを示す「定性データ」があり、インサイトを明らかにするためには、この2つのデータ情報が必要です。
「定量データ」は、数値として捉えることができるため、全体の傾向を把握するのに大きく役立ちます。
「定性データ」は、消費者の意見や感情、体験を捉えるために用います。この場合、一人の意見では結果が偏る場合があるため、複数人の意見サンプルを集めましょう。
データ収集を進める上で重要なのは、データの信頼性と有効性です。信頼性とは、同じ状況下で何度測定しても同じ結果が得られる確度のことで、有効性とは、意図したものを適切に測定できているかの確度を意味します。適切な方法でデータを収集し、それが正確で有効であることを確認することが必要です。
適切なデータ収集は、消費者の心理を理解し、商品開発や広告戦略の参考にすることができます。また、売上向上やブランドイメージの向上など、具体的な成果を生むことも期待できます。そして、データ収集は一度きりの作業ではなく、常に更新し続けることでインサイトはより鮮明になっていくのです。
データ分析
データ分析は、インサイトを導き出すために重要な手段となります。
定量データの分析では客観的な事実を掴み、定性データの分析では主観的な意見や感情を理解します。これら二つのデータを組み合わせることにより、より深いインサイトを導き出すことができるのです。
ここでは、定量データと定性データのそれぞれの分析方法について詳しく見ていきます。
定量データ
まずは定量データの分析です。数値で表される定量データは、具体的には売上データやアクセスデータなどが該当します。数値化されたデータは、簡単に集計や比較が可能であり、客観的な判断材料として優れています。売上データの分析は、どの商品がよく売れているか、どの時間帯に売上が伸びる傾向にあるかなどの情報を把握できます。
また、アクセスデータの分析では、ページの訪問頻度、滞在時間、閲覧数の多いページはどれなのかなどの情報を得ることができます。また、ヒートマップ分析などを使うことで、ページの一番閲覧されている箇所や、クリック頻度が高い箇所、表示をやめてしまった箇所などを調査することができます。
このような調査で顧客の意識を数値に基づき、客観的な立場で知ることができます。
定性データ
数値では表さないデータである定性データでは、インタビューやSNSでの口コミ情報などが該当します。これらは、数値化することは難しいものの、消費者の感情や意見、潜在的なニーズを理解するのに役立ちます。ユーザーインタビューの分析では、消費者の生の声を直接聞くことで、彼らが商品やサービスに何を求めているのか、どのような問題を感じているのかを理解できます。
また、SNSでの口コミ情報を分析することで、実際の利用者が自由に意見を述べている場を見ることができます。これをソーシャルリスニングといい、SNSやブログ、掲示板、レビューサイトなどに発信された情報をマーケティングに活かしていくことはSNSが普及するにつれ実施する企業が多くなりました。
このような取り組みにより、商品に対するリアルな評価や感想、改善点などを知ることが可能です。
まとめ
インサイトは顧客自身が意識していない、無意識の本音や本質です。
顕在化しているニーズを把握するだけでは十分とはいえなくなった昨今の市場では、インサイトを引き出すことは、新たな需要を創出するためのカギとなります。今後もマーケティング戦略においてインサイトの重要性は増す一方でしょう。
インサイトは言語化されていない心理です。そのためインサイトの発掘は決して簡単ではありません。まずは自社にあった調査を行い、企業視点ではなく、顧客視点で考えていく必要があるでしょう。