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パーセプションとは?意味や知名度と認知度の関係を解説
経営者やマーケティング担当の方は商品名や企業名をただ憶えてもらうだけでは、売上につながらなかったという経験があるのではないでしょうか?
Webマーケティングが発達したため、どんな企業でも簡単に企業名や商品名を広告で打ち出せます。その結果、顧客はさまざまな企業名や商品名をWebやSNS上で目にするようになりました。よく目にする企業名や商品名は記憶に残りこそするが、「購入しよう」とはなかなかならないですよね。ただ企業名や商品名を憶えてもらうだけでは購入意向や取引意向につなげることが難しい世の中。この記事を通じて、購入意向や取引意向につながる知名度とはどのようなものなのか見ていきましょう。
売り上げにつながる3つの知名度についての記事はこちら↓
『3つの知名度を理解して、最適なマーケティング施策を実施しよう』
パーセプションとは
パーセプションとは(Perception)とは、「認識」「認知」「知覚」という意味があります。マーケティング用語としては、人が商品や企業に抱く認識のことをさし、消費者の購買行動に関係する大きな要素を表す言葉として使用されます。
心理学やマーケティングに詳しい人ですと、頻繁に目にする用語かもしれません。
また、消費者の中ですでに形成された自社の商品やサービス、ブランド、企業に対するパーセプションを変化させ、理解や購入を促すことを、「パーセプションチェンジ(認識転換)」といいます。
知名度は名前を記憶すること?
知名度とは企業名・商品名がどれだけ知られているかの指標です。「この商品の知名度は70%だ」「企業Aの知名度は企業Bより知名度がかなり高い」のように使います。
「知名度を上げる=たくさんの人に名前を記憶されている」ということなのでしょうか?実際そう単純ではありません。なぜなら人は名前だけを意味もなく記憶することは少ないからです。広告やメール等で無理やり商品名を連呼したり、受験勉強で無理やり記憶したりすることはありますが、そうやって記憶したものをすぐに忘れてしまった経験はありませんか?
人間の記憶力は無限ではありません。自分が覚えておきたいと思ったものはちゃんと記憶するので忘れませんが、自分の人生・生活・ビジネスに何の意味ももたない名前は記憶しても何のメリットもないのですぐに忘れてしまいます。では、どういったものだと記憶に残すことができるのでしょう?
知名度とパーセプションの関係
前途した通りパーセプションとは、人が商品や企業に抱く認識のことです。
「商品Aって高級な自動車でしょう」
「商品Bはおしゃれだよね」
「商品Cはモノの割に安い気がする」
「商品Dの雰囲気が好きだな」
「企業Eは食品メーカー大手ですよね」
これらはすべてパーセプションです。理性的な評価のことも、漠然とした印象やイメージのことも、情緒的好き嫌いもすべてパーセプションなのです。
人の頭にはこのようなパーセプションとセットになって企業や商品の名前が記憶されます。パーセプションの伴っていない名前は、当人にとって何の意味もない記号に過ぎないため、脳が記憶してもメリットがないと考えてしまいます。マーケティングにとって大切なのは何らかの好意的なパーセプションとセットで商品名や企業名を記憶してもらうことです。
言語化されないパーセプションと知名度
「パーセプションとセットでない名前の記憶は難しい」に対して反論する人もいます。
テレビやラジオの広告を作っている広告制作者等の「人の記憶は言語化されたものとは限らない。音・サウンドの力を分かってない」という主張です。
確かに一理あります。例えばサウンドロゴ。テレビCMの最後に流れる企業や商品名が短い音楽になっているものです。
「チョコレートは明治」
「くらし安心クラシアン」
こういったCMサウンドが記憶に残っていることはありませんか?言語的説明はないのに商品名のサウンドだけが不思議と記憶に残ることがありますよね。人の記憶は言語や映像より音の方が長く記憶され続けるのです。また企業名、商品名の連呼をしているだけのテレビCMなのだけど、なぜかエンターテイメントとして楽しく印象に残るものもありますよね。このような広告により名前は印象に残る音や映像とセットで記憶され、忘れにくいのです。上手な知名度アップ広告です。
ただこれも一種のパーセプションです。その名前を聞くと「何か楽しそう!」「良く分からないけど幸せな気持ちになれる!」「エキサイティングで恰好いい!」という印象とセットで記憶されているからです。言語化されてないだけで、その商品や企業について付与したいパーセプションを無意識にうちに刷り込んでいるのです。巧妙に仕掛けられた「知名度×パーセプション」のセット記憶と言えるでしょう。
認知度は知名度+パーセプション
認知度と知名度は同じものでしょうか?全く同義語として使うこともあります。そうでない時もあります。そうでない時、その違いとは何でしょうか?
知名度の場合、文字通り名前を知っているか否かですが、認知度の場合は単なる名前だけではなく、商品や企業に関して何らかの理解がされていることを想定しています。
「商品Aって高級な自動車でしょう」
「商品Bはおしゃれだよね」
「商品Cはモノの割に安い気がする」
の状態になって初めて認知されたと言えるのです。
つまり、「認知度=知名度+パーセプション」となります。
知名度と認知度の定義はこのように異なりますが、
「知名度をもっと上げたい」
「認知度をもっと上げたい」
という課題の解決策には、名前だけを無機質に記憶させるのではなく、何らかの好意的なパーセプションとセットで記憶させることなので実質的には同じ解決策となります。
「知名度・認知度を上げて売る」マーケティングで一番大事なこと
「そう言われれば、その名前聞いたことあるな」と名前を憶えてもらっていることは確かに多少のマーケティング効果はあります。しかし、それだけでは「買いたい」「選ぶなら他のものではなく絶対にこれを選ぶ!」とはなりません。パーセプションとセットで記憶されて初めて購入意向、取引意向を生み出すのです。
すなわち知名度や認知度を上げて、売上を伸ばそうというマーケティングで大事なのは、名前をどうやって記憶させるか以前に、どのようなパーセプションを抱いて欲しいのかしっかりと見定めることなのです。
「自社商品を買いたい」
「他社ではなく自社を選びたい」
という気持ちを顧客に起こさせるためには、自社でできるパーセプションとは何かをデータや経験則を駆使して決めることが重要な第一歩なのです。それが決まれば、どのような打ち手を打つべきか指針が明快になってくるでしょう。