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シーズとニーズとは?2つの違いを徹底解説!

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投稿日:2022年3月22日 | 最終更新日:2024年1月19日

シーズとニーズどちらが大事?メリット・デメリットまで徹底解説

「シーズ」と「二ーズ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

とくに「ニーズ」というワードは聞いたことがある人も多いでしょう。この2つのワードは商品開発の際やマーケティングの場でよく対比として使われるワードです。

みなさんはこの2つの用語を正しく理解しているでしょうか?

本記事では、「シーズ」と「ニーズ」、2つの志向の違いについてメリットやデメリットも含め詳しく解説いたします。

シーズとニーズの違い

シーズ

シーズ(seeds)とは、英語の「種」に由来するビジネス用語であり、商品やサービス開発の素となる企業独自の技術やノウハウ、特別な素材や材料、設備などビジネスの「種」となるものを指しています。

そして、その企業独自の技術や企画力を生かして新しい商品やサービス、事業を開発し市場を新たに作っていくことを「シーズ志向」と呼びます。

シーズ志向で生み出された商品やサービスは、生産者目線で創り出されていることが特徴です。

ニーズ

ニーズ(needs)とは「必要」「需要」の意味を持つ言葉であり、マーケティング用語としては、消費者が商品やサービスに対して、実際に求めていることや必要と感じていることなど、消費者の潜在的な欲求を指します。

たとえば、「冬を温かく過ごすモノが欲しい」「書類をまとめる便利なモノが欲しい」などの消費者の欲求・需要とされるのがニーズです。

そして、このように消費者のニーズに沿って商品やサービスを生み出そうとする考え方のことを、「ニーズ志向」といいます。

企業が商品やサービスをニーズ志向で開発・発売する場合、市場のターゲットを見極めた上で、「その商品に求められている事」を入念に調査し分析することが必要です。

ニーズ志向で生み出された商品やサービスは、消費者目線で創り出されていることが特徴です。

ウォンツ

また、ニーズと近い意味で使われる言葉として「ウォンツ(wants)」があります。

ニーズが「欲求」であったのに対して、ウォンツとは「手段」を指すため、具体的な商品やサービスを指します。たとえば先ほどのニーズと対応させると、「冬を温かく過ごすためのヒーター」「書類をまとめるためのファイル」となります。

シーズ志向とニーズ志向とは?

シーズ志向とは

前述したように、「シーズ志向」とは、企業独自の技術や企画力を生かして新しい商品やサービス、事業を開発し市場を新たに作っていくことです。

シーズ志向で生み出された商品の代表的な例としては、iPhoneが挙げられます。

この製品は、従来の携帯電話とは一線を画した類似品のない革新的な商品として市場に売り出され、消費者のニーズを獲得したことで大ヒットし、今では世界中で愛用されるようになりました。

新しい市場を創出し、その市場の中でリーダとして長期にわたるポジションを確保する商品は、シーズ志向で生み出された商品が非常に多いといえます。

iPhoneの事例は消費者の潜在的なニーズが、商品を通じて顕在化した事例でもあります。

このように、シーズ志向で生み出した商品やサービスがいかに画期的であっても、そこに潜在的、もしくは顕在的なニーズがなければ、市場を獲得しヒットになることはありません。
そのため、シーズ志向も消費者のニーズを満たすものであることが大切です。

シーズ志向のメリット・デメリット

シーズ志向で生み出された商品やサービスは、独自性が高く、既存の市場に存在しないものです。その商品、サービスが、消費者のニーズを満たすことができれば大ヒットとなり、新しい市場を創造・独占し、オンリーワンになれる可能性があります。その場合、他社との価格競争にも巻き込まれません。
これがシーズ志向のメリットといえます。

一方、シーズ志向のデメリットは、消費者のニーズを顧みず、企業側の技術やノウハウに基づいただけの商品、サービスでは、販売しても消費者に受け入れられず、売り上げにつながらないことです。

そのため、前述したように、シーズ志向での商品開発は消費者の潜在的、または顕在的ニーズを意識し、調査することが重要なのです。

しかし、市場調査を重視しすぎると自ずとニーズを重視してしまい、独自性や独創性が無くなり、シーズ志向は難しくなる可能性があるため、注意が必要です。

シーズ志向でビジネスをすすめる企業は、資金力や世の中の流れを読むという力が大切になるでしょう。

ニーズ志向とは

こちらも前述したように、消費者の欲求・需要であるニーズに沿って商品やサービスを生み出そうとする考え方のことを、「ニーズ志向」といいます。

具体的には、消費者が求めているものや既に顕在化しているニーズを調査、追求して商品を開発し、その商品やサービスが競合より優位性があることをアピールして売り出すスタイルのことを指します。

ニーズ志向のメリット・デメリット

ニーズ志向で生み出された商品、サービスは常に需要が高く、途切れる心配がありません。そのため、消費者のニーズを正確に汲み取り、価格や機能、品質などで競合との差別化をはかり、勝負をすれば、売れる可能性が高いというメリットがあります。

また、ニーズ志向のデメリットは、すでに同じ市場で類似する商品やサービスを販売する企業が他にもあるため、市場の独占が難しく価格競争に巻き込まれやすいことが挙げられます。

市場によってはすでに飽和している場合もあるため、競合の商品、サービスとの差別化やアプローチ方法の変更などの工夫が必要になってきます。

差別化について詳しい記事はこちら↓
差別化戦略を商品や製品・サービスで行うメリットとデメリット

 

シーズ志向とニーズ志向どちらが大事?

ご紹介したシーズとニーズですが、どちらの志向もマーケティング戦略を立てる際に重要なワードです。

ではどちらの志向での商品開発がより大事なのでしょうか?

モノが飽和している現代社会においては綿密な市場調査により、多様化している消費者のニーズを掘り下げ、満たすための商品、サービスを生み出し提供するというニーズ志向によるマーケティング戦略が多く、その手法が有効とされています。

しかし、一番望ましいのは、シーズ志向とニーズ志向をバランスよく両立することです。

シーズ志向によって新たな市場を創造し、独占できるような新商品やサービスを生み出す事は必要ですが、その商品が消費者の二―ズとかみ合わないとその商品、サービスは売れません。

また、ニーズ志向だけで生み出された商品は、実はすでに似たモノがあったりと、他の競合との差別化が必須であり、市場によっては激しい価格競争にまきこまれるため、シーズ志向を用いた新たな商品開発は重要です。

ニーズとシーズはどちらも今後のマーケティングには欠かせないものなのです。

そのため、どちらの志向のほうが重要ということではなく、消費者のニーズを見つけた上でそれが今もつ自社の技術(シーズ)で実現可能であるのか、また技術的には可能だけれど、その商品やサービスに対して市場のニーズが存在するのか否かの両方の面を考え商品開発をする必要があります。

企業が提供できるシーズと消費者のニーズをマッチングさせ、新しい価値または他社と差別化できる商品、サービスを見つけることができれば、大ヒット商品を生み出せる可能性があるのです。

そのため、大きな成功を目指すならば、ニーズとシーズどちらも両立したマーケティングが必要です。

まとめ

「ニーズ」と「シーズ」は、どちらもマーケティングでよく用いられる言葉ですが、その言葉の意味は大きく違う事をご理解いただけたでしょうか?

企業活動の上ではそれぞれの意味を正しく理解して、使い分けられるようにしていきましょう。

そして、マーケティング戦略を立てる時は、シーズ志向かニーズ志向によって戦略が大きく異なります。

昨今においてはニーズ志向の商品開発が一般的とされていますが、どちらが有効という訳ではなく、企業の方針に合わせて重視する志向は変わってくるでしょう。ただし、ビジネスで大きな成功を目指すなら、ニーズ志向とシーズ志向はどちらも重要であるといえます。

マーケティングの市場調査についての記事はこちら↓
STP分析とは?マーケティングの基本を解説!
 


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