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安価なBtoC商材のリードナーチャリング施策の事例
リードナーチャリングという言葉を知っていますか?
獲得した見込み顧客の購入意欲を高めて、顧客を育成することにより商材の受注につなげるマーケティング手法です。顧客との関係性を築く時間が必要になるため、購入までの検討に時間を有する高価な商材において、有効な手法とされています。
そのためBtoB向きの商材やBtoCでも高額な商材にしか用いることのできないマーケティング施策だと多くの人が勘違いしているのです。安価なBtoC商材でもナーチャリング施策を行うことはできるのです。
そこで今回は、安価なBtoC商材に使えるナーチャリング施策を紹介していきます。
安価なBtoC商材をマーケティングするときの手法はBtoB商材などの高額商品を売る時のナーチャリング手法とは大きく異なることを見ていきましょう。
【監修プロフィール】
小川事務所代表
小川 共和
東京大学文学部仏文科卒業後、電通に入社。
本社マーケティング・ソリューション局次長、電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)専務取締役経て小川事務所を設立。
著書に『マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』 『マーケティングオートメーションでおもてなし~ITがマーケティングにしてくれること』 『戦略から始めるエンゲージメントマーケティング』(クロスメディア・マーケティング)
リードナーチャリングが有効な商品
購入前の見込み顧客を育成するのにある程度時間を必要とするため、購入検討までに長い時間を有する商材にリードナーチャリングは活用されます。
商品の購入検討期間と価格には相関関係があるため、BtoB向けやBtoCの中でも高価な商材に活用されるのはこのためです。
100円のものを購入するときと100万円のものを買うときを想像してみてください。
100万円の商品を買うときは、
本当に必要なものなのか?
どこの会社が出している商品はなのか?
使ったことある人の口コミはどうなのか?
このような情報をしっかりと集めるために長い購入検討期間を要する必要があります。逆に100円の商品を購入するときに詳細な情報を調べる人は稀でしょう。
リードナーチャリングに向いているのは不動産・高級自動車・金融商品などの高額なものから始まり、定期的に購入し続けるサブスクリプション商品などにも有効だと言えます。購入という行為ではありませんが、採用等の人材獲得や大学等の学生獲得も長い検討期間を有するためナーチャリング施策が有効だと言われています。
BtoC向けの価格が安く長期の検討期間を必要としない商材に対してナーチャリング施策を実行することは不可能なのでしょうか。
BtoC商材に向けたナーチャリング
安価なBtoC商材を買うときにどのような購買行動を取るのか考えてみましょう。普段生活をしている中で、200円前後の洗剤やペットボトル飲料を購入するときにどんなことを考えていますか?
「テレビ広告で見て気になったいた飲み物だから買ってみよう」
「店頭でイチオシって書かれているし、新しい洗剤をためしてみようかな」
このように、何となく気に入ったから買っていることが大半ではないでしょうか。事前に時間を掛けて慎重に検討している人はほとんどいないのです。
安価なBtoC商材、特に趣味趣向の入る余地の少ない日常品は慎重に検討することが少ないため、事前のアプローチは認知を高めることが中心で、商品の深い理解に力を入れることは実はあまり効率的な施策とは言えません。
リード段階のナーチャリングだけではなく、別のタイミングでのナーチャリングが必要なのです。
商品購入前以外でもナーチャリングに最適なタイミングがあります。それは、購入直後のナーチャリング。購入直後に買い続けてもらうこと、リピーターになってもらうことに力を入れたナーチャリングをするべきなのです。
ECサイト等で顧客の行動を分析すると、1つの分岐点が浮かび上がります。同じ商品を2度まで買う人は多いのですが、そこからのリピート率は一気に落ちることが分かったのです。
つまり1度のリピートではなく、2~3回リピートしてもらうことができて初めてリピーターを獲得できたことになります。
そのためのナーチャリング施策を打っていくことがBtoC商材では必要なのです。
BtoC商材のナーチャリングは購入直後が勝負
安いBtoC商材を顧客がリピートするかどうかは、初回購入直後に掛かっています。
初回購入直後にどれだけ商品への理解・好意を醸造できるかがBtoC商材におけるナーチャリングのポイントになります。初回購入から安定したリピーターになるまでが勝負なのです。
顧客は商品の購入直後が一番商品に関する情報に敏感になります。テレビ広告やネットで自分の購入した商品に関する情報が出ていたら、熱心に見てしまいますよね。商品を買った直後は関心が高いため、情報に耳を傾けやすいのです。
しかし、いつまでもその関心が続くわけではありません。広告などが溢れる現代では、人の関心はすぐに他のものに移ってしまうのです。そこで、初回購入直後に徹底的な刷り込みによるナーチャリングを行うのです。
商品を購入した顧客の情報を追えるようにして、初回購入直後から商品の価値や商品開発に込めた想い、商品開発の秘話など顧客の興味や関心を引く情報で訴求します。
このとき、多くの企業がやってしまっているのは、1回リピートがあったら、リピート顧客になったと思い込み、リピーターに向けた施策に移行してしまうことです。
上でも述べたように、何となくで2回まで購入する顧客は多いので3、4回購入してもらうことができてやっとリピーターと見なすことができるのです。
安価なBtoC商材ナーチャリング事例
BtoC商材でナーチャリングを活用している企業はそこまで多くありません。
いまだにナーチャリングというと、高額な商品にしか活用できないという考えが多くの企業で根強く残っているためです。また、購入直後の顧客にナーチャリングを行うことは簡単ではありません。
ある化粧品会社では、化粧品にコードを付けて、その化粧品を活用したさまざまなメイク術の動画を視聴できるようにしました。その結果、化粧品のリピーター率は劇的に増え、メイク動画で使っている他の化粧品の売上も増えたそうです。
また、ECサイトで調味料を販売している企業は、製造過程の情報を購入した人に送るようにしたのです。安心して使用できるとして、この取組みも多くの反響があったそうです。
このように、購入直後のナーチャリングは工夫や手間が必要になりますが、上手くいったときの効果もまた大きなものになります。
購入後顧客へのナーチャリング注意点
「さっそくBtoCのナーチャリングに向けて取り組んでいこう」
とお考えの方は、1つ注意が必要です。
それは、「購入経験のある顧客なのだから商品のことは既に理解しているはずだ」と思わないことです。初回購入のハードルが低いと言うことは理解も好意も醸造される前に購入してしまったということなので、調査してみるとびっくりするほど理解も好意もないことがあります。
購入経験があると言っても、1回や2回購入したくらいでは価値を理解した顧客とは言えないのです。「心理的にはまだ未購入の見込顧客だ」という認識でナーチャリングし、安定したリピーターに育成しましょう。
ナーチャリング施策をする前にしっかりと商材を分析することが大切です。
高額な商品であれば、リードナーチャリングに力をいれて、購入検討段階に積極的にアプローチをしましょう。購入しやすい安価な商品の場合は購入直後のナーチャリングに力を入れて、リピーターにしましょう。
リードナーチャリングの基本を抑えたい方はこちら↓
『リードナーチャリングとは?意味からわかりやすく説明』