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企業イメージと企業ブランディングは同じ?ブランドイメージとの関係性を解説!
企業への印象や認識を指す「企業イメージ」ですが、皆さんは自社が顧客やステークホルダーが今どのようなイメージを抱いているかご存じでしょうか?
また、その顧客が抱いているイメージは、自社が思い描いている理想のイメージとマッチしているでしょうか?
このような企業イメージは企業のブランディングに非常に関わりがあります。
本記事では、企業イメージと企業アイデンティティ、そして企業ブランディングの関係性やそれを踏まえた、企業イメージを変える方法について詳しくお伝えします。
イメージという言葉、それって何?
「〇〇会社って、凄く洗練されたイメージだよね」
「ホテルAはホテルBより高級なイメージがあるな」
「ブランドCのバッグ持ってる人ってお金持ちみたいなイメージがある」
「〇〇君って頭良さそうなイメージじゃない?」
「政治家Dってなんか腹黒いイメージがあるな」
など、「イメージ」という言葉は商品にも人にもブランドにも、そして企業にも一般的に使われているかと思います。
イメージとは事実かどうかはともかく、「相手の目にそう映っている姿」です。
本人、もしくは当該商品・会社にとって
「このように思われているのは嬉しい」と感じるイメージもあれば
「それは全く不本意。事実とかけ離れている」と思われるイメージもあるでしょう。
または、
「今まではそれで良かったが、これからはそれではダメ」というのもあるでしょう。 「今、相手に映っている姿」と「こう映って欲しい姿」が違っている場合はどうしたら良いのでしょうか?
企業イメージと対極にある企業の(ブランド)アイデンティティー
「今、相手に映っている姿」が現状だとすれば、「相手に今後こう映って欲しい」は願望です。
企業にとっても「顧客(ステークホルダー)に今こう映っている」が現状の姿であれば、「顧客(ステークホルダー)に今後はこう映って欲しい」が理想の姿といえます。
企業としては、「現状の姿」と「理想の姿」が一致していることが理想の状態です。
しかし、実際に一致しているということは、なかなかありません。
では一致させるにはどうしたら良いのでしょうか?
それは今の企業イメージである「現状の姿」を、何らかの施策によって「理想の姿」に近づけていくことです。
この「理想の姿」とは、別の言い方をすると自身が思い描く「理想の自画像」といえます。 この企業自身が思い描く「理想の自画像」を企業のブランドアイデンティティー(企業アイデンティティー)と言います。
企業イメージを企業アイデンティティーに近づけるのが企業ブランディング
企業ブランディングとは、
①顧客(ステークホルダー)が自社に抱く現状の姿を客観的に把握する
②企業自身が「今後はこう映って欲しい」「本来こう映るべきだろう」という理想の自画像を描く
③前者を後者に近づけるためには、何をすべきか、どんな施策を打つべきかを考え行動する
企業イメージと企業アイデンティティーの例
某メーカーの企業ブランディング実例です。
多くの日本人には馴染みの深い日常商品で有名な某メーカーですが、実際にはその商品の売上は、全社売上の30%に過ぎず、70%は普通の消費者が使うことはないBtoB製品でした。
特に、社会の持続性に大きなインパクトを持つ先端技術を使った素材・製品が有望であり、今後はこれを売上の柱として展開していきたいと考えました。
そのためには、今の親しみやすいが軽くポピュラーな企業イメージは不向きであり、最先端・サステイナビリティーというイメージを醸成していくことを目指すことになりました。
そうすることで、社会の期待や、人材・資金も集まり、社員自身の意識もそれに向かって変わっていくことが予想されたのです。
企業イメージと企業アイデンティティーはどう把握・規定する?
企業イメージ
「今相手にどう映っているか」を客観的に知る
方法1:調査
顧客(ステークホルダー)に直接自社のイメージ、または意識している他社に、どんなイメージを抱いているか聞き調査をします。他社がオープンにしている調査を見るのもひとつの手段です。(例:日経企業イメージ調査)
客観性とわかりやすさの担保には、定量調査が良いでしょう。
方法2:ソーシャルリスニング
ネット上で自社はどんな書き込みがされているか、リスニングツールを使って見ていきます。上手くテキストマイニングされていれば、より把握しやすいでしょう。 これは、企画者のバイアスがかからない分、調査より中立的で想定外の発見もあることがあります。
企業(ブランド)アイデンティティー
「今後どう映って欲しいか」を自身の意志で明確化する
方法1:フォーマットに従って成文化
企業のブランドアイデンティティーを規定するフォーマットはさまざまです。
(ミッション、ビジョン、バリュー、コアコンピテンシー、コアバリュー、シンボル、パーソナリティー、理想のユーザー像などが構成要素となることが多い。)
方法2:シンプルに一行二行で言い切る
前章で紹介した実例の企業アイデンティティのように、シンプルでわかりやすい文で成文化します。
※成文化されたアイデンティティーは、経営者や現場との共有が必須。特定部署だけでやっても成功するものではありません。出来れば成文化のプロセス自体に社員を参加させることで、社員皆にとって腹落ちするものとします。経営者・管轄部署だけでなく社員全員が納得する企業全体の指針とすることが成功の秘訣です。
企業イメージって変えられるの?
かつて私個人で日経企業イメージ調査を参考に、対象企業全部、質問別回答全部を縦軸横軸の表で列挙し、3年間で5%以上変化があったものだけ調査したことがあります。
結果はほとんど真っ白で、変化した企業がほとんどありませんでした。
また、企業イメージを広告キャンペーンを打つ前後で調査して、どう変化したかを検証してみたことが何度かありますが、変化することは滅多にありませんでした。
つまり、企業イメージというものは、一回や二回の短期的施策で変えられるものではないのです。
自身の経験を鑑みても、今まで抱いていた企業イメージが何らかの広告や販促キャンペーン、もしくはウェブサイトなどを1,2回みた事で印象が変化したことはあまりないかと思います。 良く知らない企業について、新しいイメージを持つことはあるかもしれませんが、既に前から知っている企業のイメージが変化することは滅多にないのではないでしょうか?
メディアで大きく取り上げられるような不祥事があれば企業イメージが下がることはありますが、一度や二度のマーケティング施策で企業イメージを上げることは難しいのです。
それでもやっぱり企業イメージを上げたい時は?
人が一度抱いた企業イメージを覆すことは困難です。とくに長年知っている企業の場合は、固定観念に近い状態になってしまうので、短期的なマーケティング施策で変化させるのは容易ではありません。
では全くもって無理なのでしょうか?
実はそうでもありません。
私の経験でも実際に狙った企業イメージを上げていったことがあります。
そしてその成功の秘訣は明快です。
それは、イメージだけを操作しようとしないことです。
その「事実の変化」や「新事実」に基づいたマーケティングを行わなければ、上滑りするだけでイメージを変化させることはできません。
そしてもうひとつは、一度「この企業イメージを変えるのだ」と決めたら、少なくとも3年間程度はその方針を貫くことが重要です。
「少し取り組んだけど、無理だったら方針を変える」というように、コロコロと施策を変えてしまうと、イメージの変化は起こりません。
同じ施策を続けていると、どうしてもやっている企業自身が飽きてしまい、目新しいことに飛びつきがちですが、どんなに飽きても頑なにやり通すことが大切です。なぜなら、顧客やステークホルダーは全く飽きておらず、下手すれば気付いてもいないことの方が多いのです。
企業イメージを変化させるにはこのように、実際の事実に基づき、長期的に粘り強く、同じ施策をやり続ける事が必要なのです。
そこまで貫き通した後、「事実」が評価され、購入者・体験者が生まれ出すと、今度は企業ではなく、その購入者・体験者が
「あの企業(商品)って実は〇〇なんだよね。当初抱いていたイメージとは違うけど、自分が体験してみて実感したんだ」
と口コミやネットで発言・発信していき、その声の広まりに連れて、世の中全体のイメージも変わっていくのです。
すなわち
説得力のある事実がある×最低3年間迷わず貫き通す×購入者・体験者の声の広がり
=企業イメージを変える
と言えるでしょう。
まとめ
企業イメージは顧客や社員、企業自身に大きな影響を及ぼす要素です。
まず一度、自身の会社を振り返り、自社がどのようなイメージを抱かれているのか、そして、それは自社の理想の姿(ブランドアイデンティティー)と食い違っていないか、確かめてみるといいでしょう。
そして、現状の企業イメージを、自身が思い描く理想の姿である企業(ブランド)アイデンティティーに近づけたい時に行うのが企業ブランディングの一連の施策です。
すでに顧客が抱いている企業イメージを、変化させるのは非常に難しいです。企業のイメージを変えたいと思った場合は、実際の事実を踏まえた長期的な施策を行うことが重要なのです。