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ブランディングとマーケティングの違いとは?
ブランディングとマーケティングの違いをご存じでしょうか?
どちらも企業において重要なものですが、「マーケティングとは◯◯」「ブランディングとは◯◯」というように、明確に説明できるという人は少ないのではないでしょうか。なかにはこの2つを混同してしまう人もいるようです。
実は、マーケティングとブランディングの本質は異なります。この違いを理解することで、より一層効果的なマーケティング活動やブランディング活動を行うことができます。本記事では、マーケティングとブランディングについてそれぞれ解説した後にこの2つの違いについて触れていこうと思います。
マーケティングとは
マーケティングというと昨今のビジネスにおいて聞かない日はないほどよく使われる単語ですが、マーケティングが意味する概念はとても幅広いため、人によって市場調査だったり、販促活動だったりとイメージはバラバラです。Wikipediaでは
マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。
(by Wikipedia)
と定義されています。
また、有名な経営学者ピーター・ドラッカー氏は、「マーケティングの理想は、販売を不要にするものである。」と述べ、また、フィリップ・コトラーはマーケティングの定義を「ニーズに応えて利益を上げること」と述べています。
要するに、顧客が自然に買いたくなる状態をつくるためには、ターゲット像を絞り、そのニーズに合った価値を持つ商品・サービスを生み出し、それを顧客に届けるために情報発信していくことで利益を得ていくことがマーケティングであるとされています。
より簡単に一言で言うと、マーケティングとは売るための仕組みを作りを展開していくことといえます。
そのためにSTP分析やSWOT分析などのマーケティングのフレームワークを駆使し、市場分析、顧客の適切なターゲティングを行い、ニーズに合わせた自社のサービス・商品の価値を伝えるべく、様々な手段で販促活動を行っていくのです。そしてその効果を検証し、今後の施策へフィードバックすることで、さらに精度を高めていくサイクルがマーケティング活動なのです。
ブランディングとは
では、ブランディングとはいったい何でしょう。ブランドという言葉を耳にするとエルメスやフェラーリなど、高級ブランドを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、ブランドやブランディングという言葉は高級ブランドのみを示すものではありません。こちらの単語もWikipediaで調べたところ、
ブランディング、またはブランドマネジメント (英: branding, brand management)は、ブランドに対する共感や信頼などを通じて顧客にとっての価値を高めていく、企業と組織のマーケティング戦略。(by Wikipedia)
(by Wikipedia)
と定義されています。また、ブランディングの重要性が語られたある書籍では、ブランディングとは
戦略的に企業、商品やサービスの強みを引き出し
(小山田育、渡邊デルーカ瞳 著『ニューヨークのアートディレクターかいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと 世界に通用するデザイン経営戦略』p16)
環境や時代、消費者のニーズを踏まえながら
消費者や社会に伝わるようなかたちで表現し
企業のブランド価値を向上させる
経営戦略です。
と述べられています。要するにブランディングの目的は商品・サービス・企業の価値の向上といえます。
「ブランド」とは企業の「柱」です。企業はプロダクトやその背景にある経営者や企業の強い想いといった柱があってこそ安定して自立できるのです。その柱、もしくは柱にしたいもの、するべきものを、誰もが納得するブランドとして確立させる施策を「ブランディング」と呼びます。
ブランディングとは決して企業やプロダクトの知名度を単にあげようとする広告宣伝のことではないのです。
そして、ブランディングの最終目標は顧客ロイヤリティの獲得であり、すなわち自社のファンになってもらうことです。企業と顧客の間に信頼関係を築くことで、市場における地位を築き上げていくことが重要なのです。
ブランディングとマーケティングの違いとは?
マーケティングとブランディングについておわかりりいただけたでしょうか?
それぞれについては理解できても、では具体的にどのように違うのか、以下では図を用いて説明していきます。
図は左側、右側どちらもマーケティングの施策を示したものです。左側の施策は、消費者にダイレクトにメッセージを届ける広告です。消費者へのメッセージ性が強い反面、あまりに直接的に伝えすぎると受け取る側が引いてしまう可能性があります。
そこで、もう少し間接的で信頼を得やすい方法として、右側のようなPR (広報活動)の施策が活発になってきました。
メディアやニュース等を通じて、第三者から消費者に情報やメッセージを配信してもらうマーケティング施策です。このように、あるターゲットに対して自身の価値を自分自身で、あるいは他者を通じて消費者に伝えるのがマーケティングといえます。
一方、ブランディングは施策を通し消費者自身に自社に対するイメージを蓄積していくものです。そのため、ブランディングが成功すると図のように既に消費者側に自社に対するイメージをもってもらうことが可能になります。
どちらも重要なブランディングとマーケティング
上記ではブランディングとマーケティングの違いについて説明してきましたが、どちらがより重要なのかと言えば、どちらも企業にとっては欠かせない大切なピースと言えます。この二つは切っても切り離せない関係なのです。
ブランディングが企業価値を向上させることを目的としている一方で、マーケティングの役割は、情報を発信し企業価値 (商品・サービス)を顧客に届ける仕組み、 つまり売れる仕組みを作ることで、顧客のニーズを満たすことです。
マーケティングという届ける手段や売れる仕組みがなければ、せっかくの価値も誰にも伝わりません。また反対に、売れる仕組みがあってもブランド力がなく高い価値が提供できなければ、買ってくれる人は少ないでしょうし、顧客満足度も低くなるでしょう。
このようにどちらも密接に関わり合い、片方が欠けてしまうとビジネスとして大きな飛躍は望めません。どちらがより大切かということではなく、自社の現状に合わせて、ブランディングをより重視すべきか、マーケティングをより重視すべきかを見極めることが大切です。両者のバランスが取れた戦略を練ることで最大の効果を生み出すのです。
まとめ
本記事ではマーケティングとブランディングの違いと重要性をお伝えしてきました。
マーケティングとは売れる仕組みづくりが目的であり、ブランディングは自社のファン創出のために企業価値を高めることが目的でした。そして、この二つはお互いが密接に関わり合っているため、マーケティングとブランディングは地続きで戦略をたて実行していくことでより効果的に力を発揮できるのです。
(出典:小山田育、渡邊デルーカ瞳 著『ニューヨークのアートディレクターかいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと 世界に通用するデザイン経営戦略』p75)