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顧客満足度(CS)の重要性と向上に必要なこととは?
顧客に自社の商品やサービスが満足感をもたらしているのかどうかは、とても重要な指標であり、昨今では、企業価値向上や利益拡大のために顧客満足度(CS)の重要性が上がってきています。
そのため、なんとなく顧客満足度を理解しているのでは、顧客満足度向上のための正しい施策を立てる事は難しいでしょう。
本記事では、顧客満足度についてのメリットや重要性、また顧客満足度向上のために必要なポイントについてお伝えします。
顧客満足度とは
顧客満足度(Customer Satisfaction/CS/カスタマー・サティスファクション)とは、企業が提供するその商品やサービスに顧客が満足しているかどうか、顧客の期待にどれだけ応えられているかという指標です。
「顧客は満足を買っている」という言葉を経営学者として有名なドラッカーが残しているように、顧客は商品やサービスの購入という手段を通して満足感を得ているのです。
企業がこの満足感を提供するためには、「顧客がその商品・サービスを購入する前に抱いていた期待値を、購入後の体験で上回っている」ことが必要です。
顧客満足度は、顧客の商品・サービスに対する事前期待を購入後の実績評価が上回るというギャップによって決まるのです。
もちろん、この事前期待が非常に低い場合は期待値を超えてもあまり意味を持たないということもあります。
この満足感は、商品・サービスの機能や品質だけでなく、デザイン面や、購入後のサポート、接客などのさまざまな面で得ることができます。
顧客満足度の重要性
自社の顧客満足度を知ることは、顧客である自社のお客様が期待し求めることを理解する事に繋がります。顧客の求めている事に取り合わず、自社の利益のみを追っていては不信感を招き、逆に利益損失になってしまうでしょう。
自社商品・サービスの顧客満足度が高ければ、多くの人が満足してくれているという事ですから、企業の評価や利益に結びつきます。
仮に低ければ、何が障害となって顧客満足度が低くなってしまっているのかというインサイトを知ることができ、今後の改善方法を見つけることができるのです。
顧客満足度向上することによるメリットとは
既存顧客のLTVの向上
LTVとはLife Time Valueの略であり、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれます。これは、ある顧客が、特定の企業やブランドと取引を開始してから終わりまでの期間にどれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標です。
LTVを高めるには、既存顧客のリピート率を高めることが効果的です。そのためには商品・サービスの満足度を高める事が必要なのです。
満足度の高い顧客は同じ商品・サービスのリピート率も高く、購入額も高いという特徴があります。
そのため、顧客満足度が高ければ、LTVは向上するとされているのです。
ブランド力強化
多くの業界で市場競争は激化しており、競合他社との顧客の奪い合いは当たり前になっています。
自社のブランドを強化し他社と差別化していくには、顧客満足度の指標を通して、自社と顧客の関係性を知り、評価することが必要になるでしょう。
顧客満足度向上を目指すことで、結果的に自社のブランディングにつながるのです。
顧客ロイヤリティの向上
顧客ロイヤリティとは、そのブランドを提供している企業に対しての忠誠心や愛着を示す指標です。
顧客満足度は顧客ロイヤリティの前提の一つであり、顧客満足度を向上させていけば、やがて顧客ロイヤリティの向上へと繋がっていきます。
顧客ロイヤリティが向上すれば、顧客のリピート率が上がり売上に直結するなどさまざまなメリットがあります。
そのためにもまずは顧客の満足度を上げることを目指すのが必要なのです。
顧客満足度向上にまず必要なことは?
前述したとおり、顧客満足度において重要なのは、顧客の商品・サービスに対する「事前期待」と購入後の「実績評価」です。
顧客満足度向上にまず必要なのはこの「事前期待」と「実績評価」をそれぞれ把握することです。
そこから自社が実施すべき施策を設計しなければなりません。
以下では「事前期待」と「実績評価」の把握方法について詳しく見ていきます。
事前期待の把握
顧客満足度向上のために最初に考えるのが顧客の事前期待です。
では、事前期待を把握するためにはどのような方法があるのでしょう。
主な調査方法はアンケート調査やネットの活用などがあります。
アンケート調査
既存顧客はもちろんですが、見込み顧客やターゲット層に当てはまる方にアンケート調査を行い、顧客のリアルな声を集めます。自社商品・サービスに期待する事や不必要だと思う点を機能面のみでなく金額やデザイン面などさまざまな切り口で質問を設定し、答えてもらうことで顧客の期待値を測定します。
ネットの活用
直接アンケートをとるよりも手軽にできるのがネット活用での情報収集です。
検索のサジェストやネットの口コミ、SNSでの呟きなど顧客や見込み顧客の事前期待を集める事ができます。また、世間の流行もネットで情報を拾うことができ、今後の成長に役立つでしょう。
他にも、行政などが公表している統計データなども活用でき、ターゲットやライバル業界の市場推移や規模の変動なども参考になるでしょう。
現在の実績評価を把握・改善
事前期待を把握した後に知っておくべきなのは現在の「実績評価」です。
現在の実績評価を把握することで、事前期待を上回るようにより良い商品・サービスの改善ができます。
調査方法は事前期待の把握と同様、顧客へ実際に使用感・満足度などを聞くアンケート調査や、ネットやSNSを活用し使用した人の口コミ評価を調べるなどの方法があります。
アンケート調査で注意しなければならないのは、購入者の意見をなるべく「広く」集める事です。既に好意を持っていたりリピーターの方だけの意見だけではなく、自社にあまり興味の無い人や、アンチ的なスタンスの方まで、幅広い意見を吸い上げる必要があります。ポジティブな意見だけでなく、ネガティブな意見もしっかりと聞き入れる事が重要なのです。
また、競合他社を調査し、商品展開や価格設定、売上そして顧客からの実績評価を知ることで、自社の現状評価と比較し、自社に足りない面や、逆に自社の強みを割り出す事ができます。その結果、自社商品の改善点を見つけたり、競合他社が補い切れていないニーズを拾い上げることも可能になり、競合他社との差別化がはかれるでしょう。
このような調査により得られた結果から改善を重ねることで、より顧客満足度を得られる商品・サービスの開発が可能になるでしょう。
顧客満足度を上げるための4つのポイント
CRMやSFAなどツールの活用
顧客分析に役立つのがCRM(顧客管理)やSFA(営業支援)などのビジネスツールです。
これらのツールを利用すれば、正確かつ素早く顧客を分析できます。
これらのツールを導入することで、顧客に関する情報を一元管理することができ、社内のスムーズな情報共有や、細かな顧客分析が可能になります。
特にCRMは、顧客のニーズを把握したり、マーケティング全般の業務に非常に有効であり、カスタマーサクセスなど、顧客満足度の向上のために活用することができます。
またSFAも、営業マンが営業活動を行う上では欠かせない業務をサポートするさまざまな機能が搭載されており、業務効率に役立てることができます。
既存顧客のカスタマーサクセス
カスタマーサクセスとは、商品・サービスを購入してくれた顧客を、企業の働きかけで成功に導き「顧客の成功体験」を実現する事を指します。
自社の商品・サービスを購入した顧客に対し、抱くであろう不満や疑問を予測し、先回りしてフォローするなど、売って終わりではなく、購入後も顧客と良い関係を築くことで顧客満足度を向上させることができます。
このように企業が顧客に能動的に働きかけるカスタマーサクセスを積極的に行うことは、顧客の成功のみならず、企業の成功につながるとされています。
従業員満足度の向上
顧客満足度と同時に注目されるのは、従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)です。
顧客と実際に接するのは従業員です。顧客満足度の向上を目指すには、まず自社の社員が高いモチベーションを持ち、上質なサービスを提供できる状態をつくる必要があります。
そのためにも、従業員に対して職場環境や待遇、働きやすさなどの調査を行い、社内の不満を解決・改善していくことで、従業員満足度を高める取り組みが必要です。
従業員満足度を高めた結果として、良い商品やサービスを顧客に届けることが可能になるのです。
顧客満足度の数値化と測定
顧客満足度は顧客の気持ちの変化ですから、実際の心理変化を明確に測ることは難しく、満足度を上げる施策をさまざま実施したとしても、その結果効果が出ているかどうかは漠然としか把握することができません。
顧客満足度向上施策のPDCAを回し、より改善させるためには、顧客満足度を数値化し可視化することが必要です。
顧客満足度の数値はリピート率や継続率など企業のビジネスモデルによってさまざまですが、そのなかで注目されているのはネットプロモータースコア(NPS:Net Promoter Score)です。
これは、商品やサービスまたは、企業、ブランドへの信頼をスコア化することを指します。
NPSのスコアのつけ方について詳しい記事はこちら↓
『企業ブランディングの効果測定方法とは?』
NPSは決まった質問で決まったデータを導き出す手法であるため、より客観的かつ定量的な情報を顧客満足度向上に活用することができるのです。
まとめ
顧客満足度向上のメリットはさまざまあり、自社の利益や企業価値の向上にむずびつく非常に重要な指標です。
昨今激化している市場競争で勝ち抜き、企業が存続・成長していくためには顧客満足度向上への取り組みが必要なのです。
顧客満足度向上の第一歩として、まずは事前期待と現在の実績評価を把握することからはじめると良いでしょう。
顧客満足度と密接な関係をもつ「ブランドロイヤリティ」という指標があります。
「顧客満足度」「ブランドロイヤリティ」「顧客ロイヤリティ」の違いについて解説している記事はこちら↓
『ブランドロイヤリティとは?そのメリットとロイヤリティ向上のためになにを行うのか』