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オウンドメディアリクルーティングとは?活用・導入方法について解説

# オウンドメディア
# デジタルマーケティング
# 採用

昨今、企業の採用手法は多様化してきています。そんな中注目されるのが「オウンドメディアリクルーティング」という採用手法です。

オウンドメディアリクルーティングに力を入れている企業も多くなっていますが、具体的にどのような手法で、どんなことをすれば良いのかわからないという方も多くいるでしょう。

本記事ではオウンドメディアリクルーティングについてなぜ注目されているのかやメリット、導入に至るまでのステップを詳しくお伝えします。

オウンドメディアリクルーティングとは

オウンドメディアとは?

オウンドメディアとは、オウンドメディアは、「企業が保有し、発信するメディア」のことを指します。これには、企業のウェブサイトやブログ、SNS、動画が含まれ、広義では出版物、パンフレットなどの紙媒体も含まれます。デジタルマーケティングにおいては自社で運営し情報発信しているているWebサイトやブログサイトのみの狭義の意味で捉えられていることが多いでしょう。

オウンドメディアは、企業が自社の情報を直接、自由に発信できるメディアであり、その内容や発信タイミングを自社でコントロールできるため、情報の信頼性やタイムリーさを確保することができます。

そして、オウンドメディアを通じて発信される情報は、企業のブランドイメージや価値観を直接伝えることができるため、そのメディアがタッチポイントとなり、顧客とのコミュニケーションツールとしても有効に活用できます。

また、メディアへ多くのコンテンツを発信することで、Googleなどの検索エンジンに登録され、内容によっては検索結果の上位に表示される可能性もあります。このように露出が増えるとその分多くの顧客との接触を増やすことができます。

オウンドメディアリクルーティングとは?

オウンドメディアリクルーティングとは、企業が所有するオウンドメディアを活用し求職者に向けて自社の情報を訴求するリクルーティング活動を指します。

採用情報の発信媒体となるオウンドメディアは採用サイトだけを指すのではなく、SNSや自社の社員、説明会などのイベントも含まれます。

オウンドメディアリクルーティングは「Owned Media Recruiting」の頭文字をとって「OMR」とも呼ばれることもあります。

オウンドメディアリクルーティングの具体的な効果は「求める人材と出会いやすくなること」と「マッチングの精度向上」です。

オウンドメディアを整備・充実させ、適切な施策をしていくことで、インターネット検索やSNSなどを通して求職者に発見してもらうことができるようになり、応募者の裾野を広げることで求める人材との接点も増えるのです。そして、自社の情報を詳細に掲載することで、求職者は自分に適した仕事か、価値観や社風が合っているのかを確認した上で選考のプロセスに進むことができます。そのため、雇用のミスマッチを防ぐことに貢献し、採用効率化や早期離職帽子、従業員エンゲージメント向上などが見込めます。

採用・求人サイトとの違い

オウンドメディアリクルーティング(OMR)と従来の採用・求人サイトは、その情報発信の方法と目的に大きな違いがあります。従来の求人情報サイトでは、さまざまな企業の求人情報を掲載し、ターゲットとなる求職者へ訴求し応募を募ることを目的としています。その企業の求める人材や職種、給与などの基本的な情報を掲載し求職者と効率よく接触することができますが、各求人サイトのフォーマットに沿った情報しか掲載できないため、ミレニアル世代の求職者の働き方や企業の姿勢に対する多様な問いに対して、細やかな回答を掲載することが難しい場合が多いとされています。

一方、OMRは自社が保有するメディアであるため、フォーマットは決まっておらず、自社の情報をどのように訴求するかは自由です。求人サイトは主に応募窓口としての役割が大きいですが、オウンドメディアの場合は自社の求める人材や企業文化、労働環境などについて詳細な情報や魅力を掲載期限無く、自由に発信・訴求することができるため、認知度・理解度の向上や自社のブランディング、質の高い求職者との出会いを目的として活用されます。

オウンドメディアの求人を見た求職者は納得した上で働く企業を決めることができ、入社後のギャップが生まれにくくなります。OMRは、企業と求職者双方にとって最適な選考状況を生み出す新しい採用手法と言えるでしょう。

 情報発信の2つの主要軸

オウンドメディアリクルーティングにおける情報発信の軸は、「ジョブディスクリプション」「シェアードバリューコンテンツ」の2つに分けられます。

一つ目の軸である「ジョブディスクリプション」は「職務記述書」のことであり、「仕事の役割」と「必要な能力」を言語化したものです。具体的には、職務内容・目的・意義・目標・必要とされる知識・技術・資格・パーソナリティ・経験・給与・賞与・福利厚生・就業時間などの項目が当てはまります。オウンドメディアではこれらの情報が求める人材に即してより詳細に情報を発信します。細かく記載することで求職者にとっても「自身がその会社に適してるか」を見極め、判断しやすくなり結果的にマッチング精度の向上が見込めます。

情報発信の軸2つ目である「シェアードバリューコンテンツ」は企業理念や社風、環境や職場の雰囲気など「自社の価値や魅力を求職者との間で”シェア(共有)”するためのコンテンツ」です。こう言った情報を発信することで、求職者の興味関心を喚起したり価値観やカルチャーの点でミスマッチを軽減することにつながります。

さらに、このシェアードバリューコンテンツを①パーパスコンテンツ②カルチャーコンテンツの2つのコンテンツに分けて考えます。

①パーパスコンテンツは企業理念や自社の社会的な存在意義を発信するものであり、自社のパーパス自体を明文化するだけでなく、パーパスに即した取り組みを「ストーリー」として発信することで求職者へ共感を促すことができます。

②カルチャーコンテンツは企業文化・社風・行動様式・行動範囲などその企業独自の価値観を言語化したものであり、どのような雰囲気の中で、どのような考えを持った人が働いているかを発信するもので、求職者にとって入社後の働き方をイメージするための大切な要素になります。

これらを軸とした情報発信で重要なのは「透明化」を忘れないことです。詳細が不明瞭な企業は求職者にとって不信感につながってしまいます。

採用手法の変遷

企業の採用手法は、社会背景の変化とともに進化してきました。高度成長期の日本では、企業が優秀な人材を囲い込むために、「終身雇用」と「年功序列」という日本特有の雇用形態が生まれました。しかし、1970年代後半からは、一部のビジネスパーソンの間で転職を適正なキャリア構築の手段と捉える動きも出始めました。そして、80年代には特定の業界や求職者層に特化した求人誌が登場し、企業も求職者もピンポイントでの求人・求職活動を実現できるようになってきました。

そして、1991年にバブル景気が終わりを迎えると、日本経済は長期の経済停滞に陥り、雇用情勢は急激に悪化し、結果として企業がとった策が、リストラと新卒採用の抑制でした。そしてその後10年近く「就職氷河期」と呼ばれる時代が続きました。

一方1995年に発売されたWIndows95の普及を契機にITバブルが加熱します。求人広告も従来の紙媒体を中心とした情報誌から、徐々にウェブ版の求人情報へと移行していきます。

そして2000年代移行の求人においては「セグメント特化型求人サイト」が次々と誕生していきました。職種や業界特化型など、求人広告よりもさらに絞り込んだセグメントに特化しているのが特徴です。

さらに、SNSの普及によって採用手法は一気に進化・多様化して行きます。「ビジネス特化型SNS」の活用が増え、企業はビジネスSNSを利用してターゲットに直接アプローチすることが可能となりました。さらに、TwitterやfacebookなどといったSNSの広がりから、SNSリクルーティングといった採用手法で企業自らがサイトに求人情報などを掲載してその内容をSNSを介して拡散していくことが可能になりました。このSNSの台頭で期待されたのが「リファラル採用の活性化」でした。

また、2010年代の採用手法のもう一つの進化と言えるのが「アグリゲーション型求人検索サイト」の登場です。これはインターネット上のさまざまな求人情報をクローリングして、サイトにまとめて掲載するサービスです。これによって「インターネット上もある求人情報」を媒体やサービスにとらわれずに検索・閲覧できるようになりました。

こうして現代の採用方法へと進化していきました。

リファラル採用について詳しい記事はこちら↓
リファラル採用とは?なぜ今注目されてる?メリット・デメリット解説!

求職者の価値観や探し方の変化

採用手法の変遷と共に、求職者の価値観や仕事探しの方法は大きく変化しています。ターニングポイントとなったのはインターネットの普及です。インターネットは社会のあり方を一変させましたが、それにいち早く適応したのが、「ミレニアル世代」です。かつては「高学歴、大手企業、ハードワーク、昇進」など、求職者の価値観は一元的でしたが、現在では多様化しています。ベンチャー、起業、パラレルワークなど、キャリアの選択肢が増え、仕事を選ぶ際も「やりがいを感じるか」「自分が成長できるか」「尊敬する人と仕事ができるか」など、自分の価値観を重視する傾向が強まっているのです。

また、求職者の情報収集方法も変わり、インターネット上で自らの価値観に合ったキーワードで検索を行って仕事を探すようになりました。さらに、SNSを活用して、自分にとって重要な情報を自然に集める「情報の引き寄せ」ともいえる行動が見られるようになりました。

これらの変化は、企業が採用活動を行う上で大きな影響を与えています。求人広告や人材紹介サービスのような外部媒体では情報が限られるため、多様化したニーズを持つ求職者に対応しきれなくなっています。そのため、企業自身が情報発信を行うオウンドメディアの重要性が増しています。

オウンドメディアリクルーティングが注目されている理由

なぜ、オウンドメディアリクルーティングが注目されているのか。それは求職者の価値観や求める情報が多様化し、従来の採用手法では対応しきれなくなっているからです。求人広告や人材紹介サービスでは情報が限られ、多様なニーズを持つ求職者に対応しきれず、価値観や社風に共感を持たない人材を採用してしまうことがあります。その結果、優秀な人材でも長く活躍できずに離職してしまう事態が起きています。このようなミスマッチを解消するため、企業は求職者が求める幅広い情報を伝え、自社が大切にしている価値観を積極的に発信することが求められていますその手段としてオウンドメディアリクルーティングが注目されています。企業はオウンドメディアを通じて、自社の求める人材や企業文化、労働環境などについて詳細な情報を掲載し、最適な人材獲得につなげていくことができます。

コロナ禍における変化

2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大は、景気の大幅な後退など企業に大きな悪影響を及ぼしました。
その一方で、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を一気に加速させる側面もありました。特に、採用領域におけるデジタル化の流れは、IT企業や外資系企業を中心に、コロナ禍以前から進んでいました。しかし、コロナ禍が起きたことで、日本企業もDXを大きく加速させ、その流れはテレワークやオンライン会議といった働き方改革に留まらず、採用領域にも及んでいます。

オンラインでの説明会や面接、ウェブサイトを活用した採用情報発信などがさらに一般化し、採用のオンライン化にこれまで以上に積極的に取り組む企業が増えました。コロナが収束しつつある現在もオンラインを主軸に、必要に応じてオフラインを活用する企業が増加していくと考えられます。オンライン採用は企業・求職者それぞれに、次のようなメリットがあります。
企業にとっては、リモートシステムの活用で物理的な距離による敷居が下がり、求職者市場を広げられること、説明会や面接を、場所や時間にとらわれず実施できること、動画などのコンテンツ拡充により、説明会の効率化が図れることが挙げられます。
求職者にとっては、説明会や面接に参加する移動負担・金銭的負担が軽減されること、企業が情報発信に力を入れるようになることで、オンライン上で幅広く情報収集を行えることが挙げられます。

DXについて詳しい記事はこちら↓
DX(デジタルトランスフォーメンション)とは?IT化と違いを徹底解説

オウンドメディアについてさらに詳しく知りたい人はこちら↓
オウンドメディアとは?始め方から運用までわかりやすく解説!

オウンドメディアリクルーティングを実施するメリット

オウンドメディアリクルーティングには、以下のようなメリットがあります。

 自社に適した人材の獲得

まず、ジョブディスクリプションを精緻化することで、自社に適した人材獲得の可能性が高まります。求人広告などの媒体は、スペースや記載する内容がフォーマット化されていることが多々あります。そのため、どうしても内容が同業他社と似てしまいます。その結果、求職者の判断基準が、会社のブランド力や給与・福利厚生などに偏ってしまいがちです。それに対してOMRは、スペースやフォーマットの制限がないため、ジョブディスクリプションを作成する際、より具体的かつ十分な情報量で自社が求める人物像を記載し、発信することができます。そのため、その企業の理念やカルチャーに共感した求職者が応募してくるため、自社にフィットした人材を獲得できる可能性が高まるのです。

企業と人材のミスマッチ軽減と転職潜在層へのアピール

次に、自社の魅力を伝えることで、入社後のミスマッチを減らせます。限られたスペースの中で情報をコンパクトに発信する必要がある求人広告と比較して、OMRは記載内容のルールやスペースの制約がされることなく自社の魅力を伝えることができます。

また、掲載期間を気にせずに求人ができ、転職潜在層にもアピールできます。これは、OMRが自社のメディアを活用するため、情報発信のタイミングや内容を自由にコントロールできるからです。

データ収集によるコンテンツ改善が可能

最後に、採用サイトのアクセス解析を行うことで、コンテンツの改善につなげることができます。これは、OMRがデジタルメディアを活用するため、ユーザーの行動データを収集し、分析することが可能であるからです。これにより、どのコンテンツが求職者にとって有益であるのか、どのコンテンツが求職者の応募につながるのかなど、具体的な改善点を見つけることができます。

以上のように、OMRを実施することで、自社に適した人材の獲得、ミスマッチの減少、転職潜在層へのアピール、コンテンツの改善といったメリットが得られます。これらは、採用活動をより効果的に進めるための重要な要素であり、OMRの実施が採用成功に大きく寄与することを示しています。

オウンドメディアリクルーティングの導入手順

①目的とKPIの設定

オウンドメディアリクルーティングの導入手順において、まず重要なのが目的とKPIの設定です。これは、企業がオウンドメディアリクルーティングを通じて何を達成したいのか、その達成をどう評価するのかを明確にするステップです。

企業の状況によって目的の設定はさまざまですが、以下のような目的を設定することが一般的でしょう。

  1. 自社採用比率を高める
  2. 母集団形成(応募数を増やす)
  3. マッチング精度を高める
  4. 転職潜在層へアプローチする
  5. インナーブランディング

このように目的が明確になったら次にKPIを設定します。ここでも企業によってさまざまな指標が考えられますが、OMRでKPIを設定する際の注意点があります。それは「短期間では実現できない指標を設定しない」ようにすることです。OMRは短期間で成果が出ることもありますが、より本質的な成果は中長期的な施策で出てきます。まずは敷居の低いKPIから設定し効果測定しながら、徐々にKPIの難易度を上げていき中長期的に成果を出していくと良いでしょう。達成できない場合は早めに改善していくことが求められるでしょう。

例えば、コンテンツの蓄積とその閲覧数増加とコンテンツ経由の応募増加を狙う場合、オウンドメディア開始初年度は「月に○本コンテンツを更新する」という行動指標をKPIに設定します。その後、1年間で「コンテンツ数を増やす」というKPIを達成したら、2年目からは「コンテンツの閲覧数」をKPIに設定します。そして、年間○万PVというゴールを達成したら、次は「応募者数」をKPIに設定するなど、毎年KPIの難易度を上げていくという方法を取っていくのです。

②ペルソナを利用して求める人材の明確化

次にペルソナを活用して求める人材を明確化します。ペルソナとは、マーケティング用語で、モノやサービスを利用・購入する「典型的な人物のイメージ」を指します。これを求職者に置き換え、「自社にとって活躍してもらえる人材」を理想的な候補者と仮定して、その人材像を文章化していきます。

ここで重要なのは、人材像を曖昧にせず、精緻に作り上げることです。そうして作ったペルソナに向けて、自社のどのような部分に魅力を感じるか、どんなキーワードやジョブディスクリプションなら惹きつけられるかを考えます。その結果、発信するメッセージに一貫性が生まれ、採用に携わる関係者全員が「自社の求める人材像」の共通認識を持つことができ、円滑な採用活動につながります。

ペルソナを作成する際には、

経歴:雇用状況/キャリアパス/希望勤務地/特長・性格
経験:これまでの職位/スキル/プロジェクト経験
目標:キャリア目標/会社に対して関心のある点
モチベーション:転職への影響要因/大切だと感じること
行動:候補者が雇用機会を知る方法(よく見る媒体/利用するSNS/利用デバイスなど)

これらの項目を検討します。

そして、ペルソナ作成のための情報収集と分析を行い、その結果をもとにペルソナを言語化することで、自社にとって最適な人材像を明確にすることができるのです。

ペルソナ作成のための情報収集や分析には自社で活躍する人材の共通点やその人材が自社を知るきっかけになった媒体、その人の経歴やキャリア目標などのヒアリングが有効でしょう。

またペルソナ作成の際には優秀な人材の良い点ばかりに注目して積み重ねてしまい、現実とはかけ離れた人材定義をしてしまうことがないように注意が必要です。

③自社の魅力と強みの整理

次は自社の魅力と強みの整理です。これは、求職者に対して自社がどのような価値を提供できるのか、どのような環境で働くことができるのかを明確に伝えるためのステップです。

まず、自社の魅力を整理する際には、4つの「P」で考えると良いでしょう。4つの「P」とは『THE TEAM 5つの法則』(麻野耕司 著)でチームメンバーのエンゲージメントを高める観点として提唱されており、「Philosophy(理念・目的)」「Profession(仕事・事業)」「People(人材・風土)」「Privilege(待遇・特権)」の4つの頭文字をとったものです。この4つの「P」の視点で整理することで求職者に訴求できる自社の魅力を挙げ出しやすくなります。

そして、魅力を挙げ出したら、次に自社視点だけでなく、ペルソナで設定した求職者視点から見ても魅力的なのか検討していきます。自社が取り組む事業領域や沿革、受賞歴、CSRやSDGsの取り組みなどをただ列挙するのではなく、それらがなぜ求職者にとって魅力的なのか、どのような価値を提供できるのかを深掘りし、具体的に伝えることが求められます。

続いて、競合との差別化を意識することも重要です。自社の魅力を箇条書きにしたとき、それが他社と同じであれば、求職者にとって自社を選ぶ理由が見つけにくくなります。そのため、自社が提供できる独自の価値や、他社とは異なる特徴を明確にすることが求められます。

このように、自社の魅力と強みの整理は、自社を選ぶ理由を明確に伝え、求職者にとって魅力的な企業像を描くための重要なステップです。自社視点だけでなく、求職者視点や競合との差別化を意識しながら、自社の魅力と強みを整理することが大切です。

④検索キーワードを意識したジョブディスクリプションの作成

ジョブディスクリプションは一般的な募集要項よりもさらに詳細な情報を記述する必要があります。詳細なディスクリプションによって、サイトを訪問した求職者に「仕事の役割」と「必要な能力」を明確に理解してもらうことができます。

そして、近年の求職者は高い情報リテラシーを持ち、ウェブでの検索を通じて仕事を探す傾向にあります。そのため、採用したい人材が仕事探しをする際に入力するであろう検索キーワードを予測し、それに合致させることが重要です。これにより、求職者とのミスマッチをなくすだけでなく、彼らの検索行動に応え、出会いの機会を増やすことが可能となります。

また、求職者が検索をする際のキーワードは日々刻々と変化します。そのため、ジョブディスクリプションを常にメンテナンスすることが必須となります。

具体的にどのようなキーワードで検索するのかを分析する必要があります。

従来は金融、IT、メーカーといった既存のカテゴリから企業を絞り込むのが主流でしたが、現在は働き方やスキルなど個々の関心に沿ったワードをかけ合わせて検索し、合致する企業のジョブディスクリプションを閲覧するようになっています。③で定めたペルソナを基にし、検索キーワードを想定していくと良いでしょう。

また、ジョブディスクリプションを記述する際のポイントは自社目線ではなくあくまで求職者ファーストで考えることが大切です。

このように、検索キーワードを意識したジョブディスクリプションの作成は、求職者との出会いの機会を増やし、より適切な人材を採用するための重要なステップとなります。

⑤シェアードバリューコンテンツの発信

ジョブディスクリプションまで決まったら、いよいよ本記事の前半にお伝えしました、OMRの情報発信の軸の一つであるシェアードバリューコンテンツを考えていきます。OMRにてコンテンツを作成する際に意識していきたい「4つの姿勢」を紹介します。

  1. 「求職者ファースト」の視点:求職者(ペルソナ)が自社について「知りたいことは何か」を常に意識し想像しながらコンテンツを作成すること
  2. 「ストーリーテリング」を取り入れる:情報の羅列ではなく、ストーリー(物語性)として語ることで求職者へのより深い共感の喚起が可能
  3. 「透明化」を心がける:都合のいいことばかりではなく、自社の等身大の姿を伝えることで求職者からの信頼を醸成することにつながる
  4. 「意味報酬」を伝える:従来重視されてきた金銭的な報酬だけでなく、仕事のやりがいや意義・働きやすさなどの意味報酬が重視されるようになっているため情報発信していく必要がある

以上のことを意識しつつ、実際にコンテンツの企画をする際は「4W1H」の観点で整理していくといいでしょう。

コンテンツ作成はプロに外注するか、社内で企画から執筆まで行うという場合がありますが、これはどちらにもメリット・デメリットがあるため、どちらを選ぶかは企業カルチャーやペルソナを基に決めるといいでしょう。

⑥PDCAを回す

OMRはジョブディスクリプションもシェアードバリューコンテンツも一度作ったら完成というわけではありません。最初に設定したKPIを測定・効果検証し、改善していくPDCAサイクルを回していくことでよりOMRの効果を高めることができます。

OMRに期待する効果は最終的には求める人材に自社を選んでもらい、活躍してもらうことです。そのためには、そもそもの採用戦略全体を見直す中で、OMRが与えた影響を総合的に掴んでいくことが大切です。

成功事例:オウンドメディアリクルーティングの活用企業

トヨタ自動車株式会社の採用サイトリニューアル

トヨタ自動車株式会社は、求職者が自社の情報を得る手段としてオウンドメディアリクルーティング(OMR)を活用しています。コロナ禍において、サイト経由でトヨタの情報を得ている人が増加しました。求職者も同様にオウンドメディアで情報を得ることが増え、トヨタのことを理解してもらえる手段としてオウンドメディアが有効であることを確信しました。

「自動車会社からモビリティカンパニーに変わる」と宣言したトヨタのキャリア採用サイトではリニューアルを行い、実際に社員、仕事、制度ともにどう変わったのか、変わりつつあるのかを鮮明に打ち出しています。

リニューアルに際して、社員インタビューも更新され、それぞれの仕事やキャリアステップなどを紹介しています。

トヨタの「今」を幅広く伝えるべく、若手からマネージャークラス、トヨタで活躍する多様な個を前面に出しています。これらの取り組みにより、トヨタ自動車株式会社の採用サイトは、求職者にとって有益な情報を提供する場となっています。

「トヨタで実現できること」をオウンドメディアを通してさらに発信していくことが目標となっているのです。

 株式会社グッドパッチの社内リレーション構築

株式会社グッドパッチは、オウンドメディアリクルーティングの活用企業として知られています。2011年に設立され、UI/UXデザイン、ビジネスモデルデザイン、ブランド体験デザイン、組織デザイン、ソフトウェア開発など、多様なビジネス上の課題をデザインで解決しています。2020年には、日本のデザイン会社として初めて東証マザーズに上場しました。

同社のオウンドメディアは、採用サイト、ブログ、SNSを活用しています。採用サイトでは、会社として大切にする価値観や文化が伝わるように設計されています。ブログ「Goodpatch Blog」では、カルチャーを作る取り組みや多彩なメンバーを紹介しています。また、SNSでは、社員が自主的に「一緒に働いてくれる人を探しています」と自分の言葉で発信しています。

同社の情報発信は、ビジョン「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」とミッション「デザインの力を証明する」が意識されています。その結果、入社してくる人材も「自分の想い」と「会社のビジョン・ミッション」がずれることは少ないといいます。

社内のリレーション構築に注力した理由は、社内外の意識の共有が図られるようになるまでに、苦難の時代があったからです。そのため、社内広報を強化し、「社内のリレーション構築」に力を入れることで、改善を行なって行ったそうです。

オウンドメディア「Goodpatch Blog」では、社内広報のブログにアップして好評だったコンテンツを掲載しています。これは、「社内向け」「求職者向け」「クライアント向け」と完全に分けるのではなく、「360度、全方位への発信」にすることで、読み手それぞれの見方で共感してもらうことを目指しているのです。

また、社長自身も外部のブログサイトであるnoteなどのメディアを使って積極的に発信しています。その中身も、良いことはもちろん、自社で起こった「組織崩壊」の話など、一見マイナスにとられがちなことであっても包み隠さずに伝えています。これは、グッドパッチのオープンな文化を体現しているといえるでしょう。

以上のように、株式会社グッドパッチは、社内リレーション構築とオウンドメディアリクルーティングの活用を通じて、社内外の意識の共有と共感を促進しています。これにより、社員と求職者、クライアントとの間で深いエンゲージメントを生み出しているのです。

まとめ

オウンドメディアリクルーティング(OMR)は、企業が自らコントロールできる情報接点をフル活用し、企業全体で採用に取り組む手法です。

昨今においては人材の流動性が高まり、様々な働き方が受け入れられるようになっていく中で企業と社員の関係が大きく変わりつつあります。それに伴い、求職者の仕事探しにおけるものさしも、これまでになく多様化してきています。

企業においても人においてもそれぞれの価値観に基づいた判断が求められる時代にあって、オウンドメディアリクルーティングが果たす役割は今後さらに大きくなってくるでしょう。

参考:オウンドメディアリクルーティングの教科書